かそ)” の例文
「雪祭」かそけきかも、きよしはうれしきかも。その窓に富士を見さけて、狩野かのの瀬に月を仰ぎて、豊かなる心ばえやなほも、ほのぼのと朝夜あらし。
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
やまとたける或は、大国主・大鷦鷯オホサヾキ天皇・大長谷稚武オホハツセワカタケル天皇に仮託した文学は、所謂美的生活に徹した寂しさ、英雄のみが痛感するかそけさを表してゐた。
何というかそけくも気高いいろ気でしょう。それでいて、ひし/\と身に迫るのは不思議でなりません。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
とめと しのばるる 尼のみ寺の みほとけや 幾世へにけむ 玉の手の 光りふふみて かそけくも 微笑ゑませたまへる にふれつ 朝な夕なに おもはすは きその嘆きか うつし世の 常なきうれひか 頬にふるる 指のあはひに 春ならば くれなゐの薔薇ばら 秋日には
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
真の象徴発想をひらいたであらうに、黒人から赤人に、赤人から家持につたはつた調子の「細み」と、かそかでそして和らぎを覚える「趣き」は、彼にも完成せられず、壬生忠岑になつて
雪祭は睦月むつき神事かむごと、その雪は田の面のしづめ、雪こそはとよの年の、穂に穂積むみのりのしるし、その雪を神に祈ると、その雪に神と遊ぶと、山峡や小峡をがひの子らが、あなかそか、鬼の子鬼が、雪祭四方よもの鎮めと
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雨のふり觀のかそけくて眞深まぶかなりからかさもみのしだり緒の笠
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
雨のふり観のかそけくて真深まぶかなりからかさもみのしだり緒の笠
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
常ならず物のかそけくきこえゐて今宵の雲はみこごるなり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
常ならず物のかそけくきこえゐて今宵の雲はみこごるなり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
白檀びやくだんかそけき花にふる雨の雨あし繁し細く見えつつ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
群れて巣をもつかそけさよ。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)