ぜき)” の例文
新泉はそ知らぬ顔をしていたが、悠二郎はてれくさくなってくびでたりそらぜきをしたりした。おまえと新泉の二人に望みをかけている。
桑の木物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
子供は風邪ばかり引いて、百日ぜきのひどいのにかかっている。お芳さんは大工さんと夫婦になる由なり。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
薫の従者はもう起き出して、主人に帰りを促すらしい作りぜきの音を立て、幾つの馬のいななきの声の聞こえるのを、薫は人の話に聞いている旅宿の朝に思い比べて興を覚えていた。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そして鋭い声で、平板にあまり正確でもなく健全な歌をうたっていた。ある家畜小屋の中では、牝牛めうしが鳴いていた。百日ぜきにかかってる一人の子供が、ある家の中で咳をしていた。
また筑後旅行の際、道路の四つ辻に当たる所に、木の杓子しゃくしへ人の顔をえがいて立ててあるのを見たが、これは百日ぜきにかかったとき、その顔を千人の人より見てもらえば治するとの迷信であるそうだ。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)