些少ちつと)” の例文
ぼくね、あのウだつてもね、先生せんせい、人だつて、大勢おほぜいで、みんな体操場たいさうばで、てんでになにかいつてるのをとほくンとこいてると、なにをいつてるのか些少ちつとわからないで
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『いえ。』と叔父は対手の言葉をさへぎつて、『全く是方こちら不注意てぬかりから起つた事なんで、貴方あんたうらみる筋は些少ちつともごはせん。』とそれを言へば、先方さき猶々なほ/\痛み入る様子。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
お專にはなし早々御駕籠かごすぐに願はんといふにお專はいた打喜悦うちよろこび天へも登る心にてそんなら是より些少ちつともはやくとすぐに與惣次と同道なし中仙道の追分おひわけへ出て聞けば明日は當驛たうえき晝御膳ひるごぜんなりと言ふゆゑ與惣次お專は漸々やう/\むね落付おちつけねがひ書を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だの、くさだのだと、かぜくとうごくんだけれど、きのこだから、あの、きのこだからゆつさりとしもしませぬ。これが智恵ちゑがあつてつりをする人間にんげんで、些少ちつとうごかない。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『何だねえ、今始めたばかりぢや無いか。まだ、君、垢が些少ちつとも落ちやしない。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なんでございますか、わたしむねつかへましたやうで、些少ちつとしくございませんから、また後程のちほどいたゞきましやう、)と婦人をんな自分じぶんはしらずにふたツのぜんかたつけてな。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なに、さういふ様子やうすえるのは、つひ四五日前しごにちまへからで、其前そのさきには些少ちつともこんなことはありはしなかつた。かへつて母様おつかさんにさういつて、何故なぜだかいてやうとおもつたんだ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「さあ、これでもおきなさい、些少ちつとはたしになりますよ。さあ、」
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)