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ちツ
此人も
生れ
落ちると
此山で
育つたので、
何にも
存じません
代、
気の
可い
人で
些ともお
心置はないのでござんす。
『
縱令、それが
全く
卵を
孵す
邪魔をしないにせよ』と
云つて
鳩は、『それにしても、
私は
晝夜蛇を
見張らなければならない!さう
云へば、
私はこの三
週間些とも
羊の
影も
見ないが!』
(
難有う
存じます、
未だ
些とも
眠くはござりません、
前刻体を
洗ひましたので
草臥もすつかり
復りました。)
『
矢張濡れてるは、
些とも
乾かなくッてよ』と
愛ちやんが
悲しさうに
云ひました。
『
私には
些とも
解りませんの』と
愛ちやんは
出來るだけ
丁寧に
云ひました。