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些
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ち
ふりがな文庫
“
些
(
ち
)” の例文
「
字
(
じ
)
に
顯
(
あら
)
はすと、
些
(
ち
)
と
畫
(
くわく
)
が
多
(
おほ
)
い、
翡翠
(
ひすゐ
)
とかいてね、お
前
(
まへ
)
たち……たちぢやあ
他樣
(
ほかさま
)
へ
失禮
(
しつれい
)
だ……お
前
(
まへ
)
なぞが
欲
(
ほ
)
しがる
珠
(
たま
)
とおんなじだ。」
鳥影
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「しかしそれは以前が元気過ぎたからでしょう? 初老になって丁度この頃の私達と同様なんですから、
些
(
ち
)
っとも心配ありませんや」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
『好い月!』
恁
(
か
)
う富江が言つた。信吾は自ら嘲る樣な笑ひを浮べて、
些
(
ち
)
と空を仰いだが別に興を催した風もない。ハヽヽと輕く笑つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
些
(
ち
)
と、ダーター、フアブラを
遣
(
や
)
らないか」と云ふと、「
今日
(
けふ
)
は
不可
(
いけ
)
ない」と答へたが、すぐ横を向いて、隣りの男と話を始めた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これで先ず死人の
身許
(
みもと
)
は判ったが、かれが何者に連れ出されて、どうして殺されたかということは
些
(
ち
)
っとも想像が付かなかった。
半七捕物帳:28 雪達磨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
実はネお前さんのお嫁の事に
就
(
つい
)
ちゃア
些
(
ち
)
イと
良人
(
うち
)
でも考えてる事があるんだから、これから先き母親さんがどんな事を言ッておよこしでも
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一時
(
いちじ
)
に思い詰るのは尤もだが、気の晴れることは
些
(
ち
)
ッともないんざますよ、まア正孝はん上んなましよ、
彼処
(
あすこ
)
に立ってる人は何
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして奥の間で「
些
(
ち
)
っと失礼します。」といって
蒲団
(
ふとん
)
を米の横へ持って出て来てから、楕円形の
提灯
(
ちょうちん
)
に火を
照
(
つ
)
けた。
蝋燭
(
ろうそく
)
は四
寸
(
すん
)
ほどもあった。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「第一、
勿体
(
もつたい
)
ないやね。こんな上等な土地を
玩具
(
おもちや
)
にするなんて、全くよくないこつた! それには
些
(
ち
)
つと広過ぎるよ。」
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
世人の唱ふる所、何が文明やら、何が野蠻やら
些
(
ち
)
とも分らぬぞ。予嘗て或人と議論せしこと有り、西洋は野蠻ぢやと云ひしかば、否な文明ぞと爭ふ。
遺訓
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
なんだか今夜は変なんだ。
些
(
ち
)
っとも
落着
(
おちつ
)
かない。後から絶えず追いかけられているような気持だ。前にもこんな気持を
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
殺風景も
些
(
ち
)
と
念入
(
ねんいり
)
の殺風景で、決して誉めた話でない。
畢竟
(
ひっきょう
)
少年の時から種々様々の事情に
逐
(
お
)
われてコンな事に成行き、生涯これで終るのでしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
こいつは
些
(
ち
)
っとも役に立たない車だと思い、上からがたがた揺ぶってみたが、ついにこの高貴な手押車は泌尿科の医師の眼にはとうとう触れなかった。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「
家
(
うち
)
の中よりは
戸外
(
おもて
)
の方が未だ可いので、もう
些
(
ち
)
と歩いてゐる中には
復
(
をさま
)
りますよ。ああ、
此方
(
こちら
)
がお宅ですか」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
『あんな
神様
(
かみさま
)
は
駄目
(
だめ
)
だ……
幾
(
いく
)
ら
依
(
たの
)
んだって
些
(
ち
)
つとも
利
(
き
)
きはしない……。』そんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
って
挨拶
(
あいさつ
)
にも
来
(
こ
)
ないのです。それが
又
(
また
)
よくこちらに
通
(
つう
)
じますので……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「いや、
些
(
ち
)
つとも。」彼は反對に私が思ひ出を悉く尊重して呉れたと云つた。だが本當に彼は私がさほど氣にするにも當らぬことを氣にするのを
恐
(
おそ
)
れてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
と叫んだのは、
些
(
ち
)
と
大袈裟
(
おおげさ
)
だったので、真っ先に笑い出したのは、
通称
(
つうしょう
)
源助町
(
げんすけちょう
)
の丹ちゃんこと鏡丹波だ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
意思の弱い人のことを「彼奴も善い男だが、
些
(
ち
)
っとばかりエクート・シル・プルーだね」などという。
雨の日
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
食物
(
たべもの
)
を
買
(
もと
)
めて
些
(
ち
)
と
肉
(
にく
)
を
附
(
つ
)
けたがよい。……(行きかけて藥瓶を見て)
毒
(
どく
)
ではない
興奮劑
(
きつけぐすり
)
よ、さア一しょに、ヂュリエットの
墓
(
はか
)
へ
來
(
こ
)
い、あそこで
汝
(
そち
)
を
使
(
つか
)
はにゃならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
『……鶴さん、
些
(
ち
)
っとも未練残さねえで、えれえ働きをしてね、人に笑われねえで下せえよ。』
昇降場
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
自分
(
じぶん
)
も
亦
(
また
)
、三
人
(
にん
)
の
園丁
(
えんてい
)
のやうに
平伏
(
ひれふ
)
さなければならないか
何
(
ど
)
うかは
些
(
ち
)
と
疑問
(
ぎもん
)
でしたが、
甞
(
かつ
)
て
行列
(
ぎやうれつ
)
に
出逢
(
であ
)
つた
場合
(
ばあひ
)
、かうした
規則
(
きそく
)
のあることを
聞
(
き
)
きませんでした
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
承知致さぬ
中
(
うち
)
は
些
(
ち
)
と敵の名前は申されぬ
善惡共
(
ぜんあくとも
)
御承知下されたる言御
挨拶
(
あいさつ
)
の上御話申べしと
言
(
いふ
)
に重四郎成程御
道理
(
もつとも
)
の儀武士たる者は義を見て
爲
(
せ
)
ざるは
勇
(
ゆう
)
無
(
な
)
きなりと云詞を
尊
(
たうと
)
ぶ
拙者
(
それがし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
踊子のようなのや——この近所の人達の内職にしても
些
(
ち
)
とどうも様子が変だと思っていると、その女たちが、
卓子
(
テーブル
)
と卓子のあいだの細い通路をすり抜けるようにして酒を配って歩く。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「え、何んで遊ぶよ。教へてくれよ、俺は
些
(
ち
)
つとは人並に遊んで見たいから。」
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
『いや
些
(
ち
)
と
庭
(
には
)
を
歩
(
ある
)
いて
來
(
く
)
るのだ。』と、アンドレイ、エヒミチは
怖々
(
おど/\
)
する。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
長順 (夢中に老いたる侍の後を追ひゆきて)お侍、
些
(
ち
)
と待たれい。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
お茶を飲んで、
素麪
(
そうめん
)
を食ったのは
些
(
ち
)
と怪しい——と考えた。
□本居士
(新字新仮名)
/
本田親二
(著)
殺すとは
些
(
ち
)
と受取憎いから色々考えて見ますと
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
尤
(
もつと
)
も
衣服
(
きもの
)
を
脱
(
ぬ
)
いで
渡
(
わた
)
るほどの
大事
(
おほごと
)
なのではないが、
本街道
(
ほんかいだう
)
には
些
(
ち
)
と
難儀
(
なんぎ
)
過
(
す
)
ぎて、なか/\
馬
(
うま
)
などが
歩行
(
ある
)
かれる
訳
(
わけ
)
のものではないので。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「警察へ自分の操行点を問合せに出頭するのかい? 坊ちゃんが笑っている。妙なことになって来た。これは
些
(
ち
)
っと
天王寺行
(
てんのうじゆき
)
だね」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
とんと
手前
(
てまい
)
商いのことは知りません、家来がやると申すので始めましたのだけれども、
廉
(
やす
)
う売るのを咎めるのは
些
(
ち
)
と
訝
(
おか
)
しいように心得ます
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
先生
今日
(
けふ
)
は
一日
(
いちにち
)
御勉強ですな。どうです、
些
(
ち
)
と御散歩になりませんか。
今夜
(
こんや
)
は
寅毘沙
(
とらびしや
)
ですぜ。演芸館で
支那人
(
ちやん
)
の留学生が芝居を
演
(
や
)
つてます。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その日は朝から急に
涼風
(
すずかぜ
)
が立つて、日が暮れるともう
単衣
(
ひとへもの
)
では
冷々
(
ひやひや
)
するくらゐでしたが、不思議なことにはその晩
些
(
ち
)
つともお客が無いんです。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「人が笑うわ、九つもなってるくせに一人で寝んなんて。」そして母は
些
(
ち
)
っと黙っていたが、「お前の頭はほんとうにええ格好や。」と
呟
(
つぶや
)
いた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
徹夜
(
よどほし
)
三人で一斗五升飲んだといふ
翌朝
(
あくるあさ
)
でも、物言ひが
些
(
ち
)
と
舌蕩
(
したたる
)
く聞える許りで、
挙動
(
ものごし
)
から歩き振りから、
確然
(
しつかり
)
としてゐた。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「ナニネ、
先刻
(
さっき
)
我輩が明治年代の丹治と云ッたのが
御気色
(
みけしき
)
に障ッたと云ッて、この通り顔色まで変えて御立腹だ。
貴嬢
(
あなた
)
の
情夫
(
いろ
)
にしちゃア
些
(
ち
)
と野暮天すぎるネ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
何も解りもしないきみが、こすり附けたり噛みついたりしていても、それで
些
(
ち
)
っとも羞かしい気がしないのは、きみが
楽
(
らく
)
なことをらくに愉しんでいるからなんだ。
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「ああ、降る降る、面白い。かう云ふ日は
寄鍋
(
よせなべ
)
で飲むんだね。寄鍋を取つて
貰
(
もら
)
はう、寄鍋が好い。それから
珈琲
(
カフヒイ
)
を一つ
拵
(
こしら
)
へてくれ、コニャックを
些
(
ち
)
と余計に入れて」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その筆法は常に婦人の気を引き立つるの勢いを催して、男子の方に筆の
鋒
(
ほこさき
)
の向かわざりしは
些
(
ち
)
と不都合にして、これを
譬
(
たと
)
えば、ここに高きものと低きものと二様ありて
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
よくまァ
御無事
(
ごぶじ
)
で……
些
(
ち
)
ッとも
姫
(
ひい
)
さまは
往時
(
むかし
)
とお
変
(
かわ
)
りがございませぬ。お
懐
(
なつ
)
かしう
存
(
ぞん
)
じます……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
また、上役に
媚
(
こ
)
びる番士一同が、それといっしょになって新参の喬之助を嘲笑するのも、自然であり、決して珍しいことではない。が、この元日の場合だけは、
些
(
ち
)
と
度
(
ど
)
が過ぎたようだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
初めて私を見た人の務めでもなければ、私の性格を
些
(
ち
)
つとも知らない人の務めでもないことは無論である。そして私のハンカチをパンの代りに受け取らうとしなかつた女に就いてはどうか。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そして又
些
(
ち
)
と酒が廻つて来ると湯村の手を握つて
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
些
(
ち
)
と
覗
(
のぞ
)
いて見たいものぢや。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
銀杏返の方は、そんなでもなく、少し桃色がさして、顔もふっくりと、中肉……が
小肥
(
こぶと
)
りして、
些
(
ち
)
と肩幅もあり、較べて背が低い。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お母さん、この頃は私立も官立も同じことです。
些
(
ち
)
っとも
差異
(
かわり
)
ありません。しかし二郎は官立の型に
嵌
(
は
)
まらない頭ですからね」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
で、今迄言ったような訳だから、文学は男子一生の事業とするに足らぬとか云う人が出て来ても、
些
(
ち
)
っとも驚くことはない。
文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
買つてくれと
云
(
い
)
はれないやうに
瑾
(
きず
)
を
見出
(
みいだ
)
して、
惜
(
をし
)
い
事
(
こと
)
には
何
(
ど
)
うも
些
(
ち
)
と
軸
(
ぢく
)
ににゆうが
有
(
あ
)
りますと
云
(
い
)
つてにゆうなぞを
見出
(
みいだ
)
さなくツちやアいかねえ。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おれも気が
注
(
つ
)
かなかった。いや、それよりも……。(考える。)あんなおとなしい人が人殺しのお尋ね者とは、今まで
些
(
ち
)
っとも気が
注
(
つ
)
かなかった。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし、直ぐ金剛石のことを思い出すと裏へ廻って行って、
夕闇
(
ゆうやみ
)
の迫った
葉蘭
(
はらん
)
の傍へ
蹲
(
うずくま
)
って、昼間描いておいた小さい円の上を指で
些
(
ち
)
っと
圧
(
おさ
)
えてみた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
些
漢検準1級
部首:⼆
7画
“些”を含む語句
些少
些々
些事
些細
些末
些子
些程
些中
些細事
露些
一些事
今些
些額
些許
些計
些箇
些末事
些末主義
些技
些小
...