“うなだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
首垂30.6%
項垂29.2%
頸垂9.7%
俛首6.3%
低頭4.9%
首低4.2%
頸低3.5%
2.8%
項低2.8%
頂垂2.1%
低首1.4%
垂頭0.7%
頭低0.7%
頭垂0.7%
頷垂0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
融川は俯向き首垂うなだれていた。膝からかけて駕籠一面飛び散った血で紅斑々こうはんはん呼息いきを刻む肩の揺れ、腹はたった今切ったと見える。
北斎と幽霊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
主人は項垂うなだれて聞いてゐたが、己の詞が尽きると頭を挙げた。そしてかう云つた。お前の礼儀を厚うした返事を聞いて満足に思ふ。
復讐 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
その後から、凄まじい騎馬が砂煙を立って城下へ七、八騎飛んだかと思うと、一隊の武士が悄然と頸垂うなだれ勝ちに跫音も湿って帰って来た。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勘次かんじ午餐過ひるすぎになつてそとた。紛糾こぐらかつたこゝろつてかれすこ俛首うなだれつつあるいた。あたゝかなひかりはたけつち處々ところ/″\さらりとかわかしはじめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そうして改めて、少年の異様な贅沢な身装みなりを見上げ見下していると、少年は暫く躊躇しているようであったが、やがて言葉を継ぎ足しながら低頭うなだれた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
とまた低声こごえに呼びて、もの驚きをしたらんごとく、肩をすぼめて首低うなだれつ。鉄瓶にそと手を触れて
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
悲し気に頸低うなだれると、今まで大切に抱えていた鍬を力なく取落して、自分の部屋へ引込んで行った……というのが、この遺言書に出ている呉一郎の治療順序の説明だ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
勘次かんじ卯平うへいまへてはたゞくびうなだれた。卯平うへい凝然ぢつよこいて勘次かんじをちらりともなかつた。かれ從來これまでとは容子ようす幾分いくぶんちがつてた。かれくせしたらしてたが
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
真の婚約の主題——二人の人間がその余りにも短い一生の間をどれだけお互に幸福にさせ合えるか? あらがいがたい運命の前にしずかに頭を項低うなだれたまま、互に心と心と、身と身とを温め合いながら
風立ちぬ (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
今までどこか屋根の下で、首を頂垂うなだれて寒さにいぢけてゐるのが、煖炉が温まつたので、火に近い方へ寄つて来て、煙突から出る白い煙の帯と、面白く飛び廻る火の子とを眺めてゐるのであらう。
う思つて小池は、ハツと夢からめたやうに、自分に引きつて低首うなだれつゝ弱い足を運んでゐるお光の姿を見た。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
黒き旗を立つ、垂頭うなだれしわがこうべの上に。
候補生は真黒く凍った両手で、私のひげだらけの両頬をソッと抱え上げた。両眼をシッカリと閉じて頭低うなだれた。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どうやら首尾が悪いのに気がついて、しょんぼり一間に頭垂うなだれていたお春は、はいって来た恋人を眺めつつ、はかなくにっこり微笑むのでした。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
青くなって伝二郎はふるえ上った。一難去ってまた一難とはこのことかと、黙ったまま彼は頷垂うなだれていた。