首肯しゆこう)” の例文
仮令面前にては小生の言葉に首肯しゆこうすとも、背後に於いては矢張り嘲笑し、遂にはタアマイエル発狂せりとまで申すに至ることと存じ候。
だがこの理論からひき出された判斷は、必らずしも私たちを首肯しゆこうせしめない。その理由は説明するまでもなく、誰でもちよつと考えて見ればわかることである。
種々の点に於て彼は其修業の不完全なりしことを嗤笑しせうさるゝなるべし。彼の漢文は或は漢学者の物笑ひたるべし。彼の史論は或は考証家の首肯しゆこうせざる所なるべし。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
燕雀生えんじやくせいといふ人、「文芸春秋」三月号に泥古残念帖でいこざんねんちやうと言ふものを寄せたり。この帖を見るに我等の首肯しゆこうし難き事二三あれば、左にその二三を記し、燕雀生の下問を仰がん。
念仁波念遠入礼帖 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
然りこの変化の尤も多くして尤も隠れ、尤も急にして尤も不可見みるべからざるのもの、他の自然界の物に比すべくもあらざるものあるは、人生の霊活を信ずるものゝいやしくも首肯しゆこうせざるはなきところなり。
心機妙変を論ず (新字旧仮名) / 北村透谷(著)