阿父おやぢ)” の例文
そのぼんやりし過ぎた事を言つたのはタゴールの賢い所以ゆゑんで、彼は日本の阿父おやぢ阿母おふくろが余り理想的で無い事をよく知つてゐるのだ。
早い話が阿父おやぢのやうな壓制君主あつせいくんしゆまでも、此處だけは治外法權ぢぐわいはふけんとして、何等の侵略しんりやくくはへ得ない奴さ。痛快つうくわいだ。いや、出まい。蟹も穴籠をしてゐた方が安全だからな。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
阿父おやぢの大事な桜の木をつて、嘘一つき得なかつたジヨオージ・ワシントンが先づそれで、食事をするにはいつも肉刀ナイフで済ましてゐた。
と、いふのは、「阿父おやぢのやうにあれ」とか、「阿母おふくろのやうにあれ」とか、いふのとは違つて、少しぼんやりし過ぎてゐる。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
と言ふのは「阿父おやぢのやうにあれ」とか「阿母おふくろのやうにあれ」とか言ふのとは違つて、少しぼんやりし過ぎてゐる。
「見窄らしいよ、何と言つたつて見窄らしいよ。」と友達はやけになつてわめいた。「第一君の阿父おやぢの事を考へて見給へ、阿父おやぢさんは何処へ出るにもちやんとした身装みなりをしてゐたよ。」
「だが、君、今僕の着込んでるのは、その阿父おやぢの服なんだよ。」