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此方
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このはう
此方から
行くと
家の
恥辱にもなる
實に
憎むべき
奴ではあるが、
情實を
酌んでな、これほどまで
操といふものを
取止めて
置いただけ
憐んで
遣つて
呉れ
宜道は
斯んな
話をして、
暗に
宗助が
東京へ
歸つてからも、
全く
此方を
斷念しない
樣にあらかじめ
間接の
注意を
與へる
樣に
見えた。
宗助は
謹んで、
宜道のいふ
事に
耳を
借した。
此方は、やゝ
細面で。
結綿の
娘は、ふつくりして
居る。
二人とも
鬘を
被つたかと
思ふ。
伊留満喜三郎 如何にも伊留満あんとにゆすは
此方ぢや。
聞き
實事と思ひ然らば我等と
同職なれば
委く尋る程ならば
譬へ廣き御
城下でも知ぬ事は有まじ
今夜は
此方に
泊り明日
未明より餠屋
仲間を一々尋ね見るべし我も
仲間帳面を
却つて
此方が
兄弟らしかつた。
オヽおもしろし
覺悟とは
何の
覺悟許嫁の
約束解いて
欲しゝとのお
望みかそれは
此方よりも
願ふ
事なり
何の
迂りくどい
申上ぐることの
候の
一通りも
二通りも
入ることならず
後とはいはず
目の
前にて
切れて
遣るべし
切れて
遣らん
他人になるは
造作もなしと
嘲笑ふ
胸の
内に
沸くは
何物
取所存なれば今吉三郎が來りしを
忌々敷思ひ何卒して
田舍へ
追歸さんと心に
巧み夫は
態々尋ね來りしかど
此方に
變る事なければ今
母公に
對面するには及ばず
早々國へ歸りて母を