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此方
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こツち
ふりがな文庫
“
此方
(
こツち
)” の例文
其れも長屋で、
褓襁
(
おしめ
)
の干してあるのも見えれば、厠も見えて、
此方
(
こツち
)
では向ふの家の暴露された裏を見せつけられてゐるのであツた。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
然し大抵なら
那
(
あ
)
の校長は
此方
(
こツち
)
のいふ通りに都合してくれますよ。謂ツちや變だけれど、僕の
親父
(
おやぢ
)
とは金錢上の關係もあるもんですからね。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さあ、
之
(
これ
)
からが
名代
(
なだい
)
の
天生峠
(
あまふたうげ
)
と
心得
(
こゝろえ
)
たから、
此方
(
こツち
)
も
其気
(
そのき
)
になつて、
何
(
なに
)
しろ
暑
(
あつ
)
いので、
喘
(
あへ
)
ぎながら、
先
(
ま
)
づ
草鞋
(
わらぢ
)
の
紐
(
ひも
)
を
締直
(
しめなほ
)
した。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
西洋人に
贈
(
や
)
る進物の見立をして貰ふには、長く居る金田君に限ると思つてね、
彼方
(
あツチ
)
此方
(
こツち
)
とブロードウヱーの商店を案内して貰つた帰り、夜も晩くなるし、腹も
空
(
す
)
いたから、僕は何の気なしに
一月一日
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
して其の當座、兩人はこツそり其處らを夜歩きしたり、また
何彼
(
なにか
)
と用にかこつけて
彼方
(
あツち
)
此方
(
こツち
)
と歩き廻ツて、芝居にも二三度入ツた。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
背後
(
うしろ
)
へ
畝
(
うね
)
つて
切出
(
きりだ
)
したやうな
大巌
(
おほいは
)
が二ツ三ツ四ツと
並
(
なら
)
んで、
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
へ
層
(
かさ
)
なつて
其
(
そ
)
の
背後
(
うしろ
)
へ
通
(
つう
)
じて
居
(
ゐ
)
るが、
私
(
わし
)
が
見当
(
けんたう
)
をつけて、
心組
(
こゝろぐ
)
んだのは
此方
(
こツち
)
ではないので
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
別
(
べつ
)
に
言葉
(
ことば
)
も
交
(
か
)
はさず、
又
(
また
)
ものをいつたからといふて、
返事
(
へんじ
)
をする
気
(
き
)
は
此方
(
こツち
)
にもない。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と思ツて
机
(
つくゑ
)
の前へ引返すと、母親は
鈍
(
にぶ
)
い
眼光
(
まなざし
)
で
眩
(
まぶ
)
しさうに
此方
(
こツち
)
を見ながら
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
流の
彼方
(
あツち
)
此方
(
こツち
)
で、
何
(
ど
)
うかすると燦爛たる光を放つ……霧は淡い雲のやうになツて川面を這ふ……向ふの岸に若い
婦
(
をんな
)
が水際に下り立ツて洗濯をしてゐたが、
正面
(
まとも
)
に日光を受けて、着物を
搾
(
しぼ
)
る
雫
(
しづく
)
は
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“此方”で始まる語句
此方様
此方側
此方衆
此方面
此方等
此方向
此方持
此方組
此方樣
此方人等