“嫌(い)” の例文
園(その)さま我(わ)れに遠慮(ゑんりよ)は入(い)らず、嫌(い)やな時(とき)は嫌(い)やといふがよし、我(わ)れを他人(たにん)の男(をとこ)と思(おも)はず母樣(はヽさま)同(どう)やう甘(あま)へ給(たま)へと優(やさ)しく慰(なぐ)さめて日毎(ひごと)に通(かよ)へば
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
僕も今までこんな世話はした事はないが、もし当人同士が嫌(い)やでないなら中へ立って纏(まと)めるのも、決して悪い事はないからね——それでやって来たのさ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
幸(さいはひ)に一杯(ぱい)を酌(く)みて歇息(やす)ませ給へとて、酒をあたため、下物(さかな)を列(つら)ねてすすむるに、赤穴九一袖をもて面(おもて)を掩(おほ)ひ、其の臭(にほ)ひを嫌(い)み放(さ)くるに似たり。左門いふ。
ともあれあの子も両親の手で育てられまするに、つまらぬ事を思ひ寄(より)まして、貴君にまで嫌(い)やな事を御聞かせ申(まをし)ました
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
仏菩薩(ぶつぼさつ)は九九名聞利要(みやうもんりえう)を嫌(い)み給ふとこそ聞きつる物を、など貧福の事に一〇〇係(かかづら)ひ給ふべき。
何故(なぜ)でもいけませぬ、私(わたし)は我(わが)まゝ故(ゆゑ)、申(まをす)まいと思(おも)ふ時(とき)は何(ど)うしても嫌(い)やでござんすとて、ついと立(た)つて椽(ゑん)がはへ出(いづ)るに、雲(くも)なき空(そら)の月(つき)かげ凉(すゞ)しく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
兎(と)もあれ彼(あ)の子(こ)も兩親(れうしん)の手(て)で育(そだ)てられまするに、つまらぬ事(こと)を思(おも)ひ寄(より)まして、貴君(あなた)にまで嫌(い)やな事(こと)を御聞(おき)かせ申(まをし)ました
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
太皷(たいこ)の音(ね)、うたはせて舞(ま)はせて人(ひと)の爲(せ)ぬ事(こと)して見(み)たいと折(をり)ふし正太(しようた)に咡(さゝや)いて聞(き)かせれば、驚(おどろ)いて呆(あき)れて己(おい)らは嫌(い)やだな。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お前(まへ)さん其(その)お酒(さけ)が買(か)へるほどなら嫌(い)やとお言(い)ひなさるを無理(むり)に仕事(しごと)に出(で)て下(くだ)されとは頼(たの)みませぬ、私(わたし)が内職(ないしよく)とて朝(あさ)から夜(よ)にかけて十五錢(せん)が關(せき)の山(やま)
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夫(そ)れほど別(わか)れるがお嫌(い)やかと背(せ)を撫(な)せられて默頭(うな)づく可愛(かあい)さ、三年目(ねんめ)の今日(けふ)今(いま)さらに寧(むしろ)いつもの愁(つ)らきが増(ま)しなり。
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日歩(ひぶ)とかや言(い)ひて利金(りきん)安(やす)からぬ借(か)りなれど、これなくてはの金主樣(きんしゆさま)あだには思(おも)ふべしや、三公(こう)己(お)れが町(まち)へ遊(あそ)びに來(こ)いと呼(よ)ばれて嫌(い)やとは言(い)はれぬ義理(ぎり)あり
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
園(その)さまにも言(い)ひきかせたきこと多(おほ)くあれど我(わ)が口(くち)よりいはヾ又(また)耳(みヽ)に兩手(りようて)なるべし、不思議(ふしぎ)に縁(ゑん)のない人(ひと)に縁(ゑん)があるか馬鹿(ばか)らしきほど置(お)いてゆくが嫌(い)やな氣持(きもち)と
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と母親(はゝおや)よりの言(い)ひつけを、何(なに)も嫌(い)やとは言(い)ひ切(き)られぬ温順(おとな)しさに、唯(たゞ)はい/\と小包(こづゝ)みを抱(かゝ)へて、鼠小倉(ねづみこくら)の緒(を)のすがりし朴木齒(ほうのきば)の下駄(げた)ひた/\と、信如(しんによ)は雨傘(あまがさ)さしかざして出(いで)ぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
伯母(おば)が高慢(こうまん)がほはつく/″\と嫌(い)やなれども、あの高慢(こうまん)にあの温順(すなほ)なる身(み)にて事(こと)なく仕(つか)へんとする氣苦勞(きぐろう)を思(おも)ひやれば、せめては傍(そば)近(ちか)くに心(こゝろ)ぞへをも爲(な)し、慰(なぐさ)めにも爲(な)りてやり度(たし)と
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それ宜(よろ)しくば仰(おほ)せの通(とほ)りに成(な)りましよと、何(ど)うでも嫌(い)やがらせを言(い)ひて困(こま)らせける。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あんな浮いた心では何時引取つてくれるだらう、考へるとつくづく奉公が嫌(い)やになつてお客を呼ぶに張合もない、ああくさくさするとて常は人をも欺(だま)す口で人の愁(つ)らきを恨みの言葉
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よし歸(かへ)らずとて彼地(あしこ)はお前樣(まへさま)のお邸(やしき)ゆゑ、成長(おほきう)なり給(たま)ふまでのお留守居(るすゐ)、今(いま)もお連(つ)れ申(まうし)たけれど夫(それ)こそ淋(さび)しく、直(す)ぐ嫌(い)やに成(な)りて母樣(かあさま)こひしかるべし、何(なに)も柔順(おとな)しう成長(おほきう)なり給(たま)へと
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お客樣(きやくさま)を乘(の)せやうが空車(から)の時(とき)だらうが嫌(い)やとなると用捨(ようしや)なく嫌(い)やに成(なり)まする、呆(あき)れはてる我(わが)まゝ男(をとこ)、愛想(あいそ)が盡(つ)きるでは有(あ)りませぬか、さ、お乘(の)りなされ、お供(とも)をしますと進(すゝ)められて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼(あ)んな浮(う)いた心(こゝろ)では何時(いつ)引取(ひきと)つて呉(く)れるだらう、考(かんが)へるとつく/″\奉公(ほうこう)が嫌(い)やになつてお客(きやく)を呼(よ)ぶに張合(はりあい)もない、あゝくさ/\するとて常(つね)は人(ひと)をも欺(だま)す口(くち)で人(ひと)の愁(つ)らきを恨(うら)みの言葉(ことば)
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
只(たヾ)一寸(ちよつと)で宜(よ)し吾助(ごすけ)は一筆(ひとふで)にてもと言(い)ひたれば、此卷紙(このまきがみ)へ何(なに)か書(かき)て僕(ぼく)に賜(たま)はれ、吾助(ごすけ)は田舍(ゐなか)へ歸(かへ)りても行(ゆ)く處(ところ)の無(な)き身(み)なれば、大方(おほかた)は乞食(こじき)に成(な)るべきにや、夫(それ)れでは僕(ぼく)どうしても嫌(い)やなり
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此(この)迫(せま)りたる詞(ことば)に我(わ)れまづ悲(かな)しく、今日(けふ)こそは必(かな)らず返事(へんじ)を取(と)り、其方(そち)の喜(よろこ)ぶ樣(やう)にすれば、田舍(ゐなか)へ行(ゆ)くことは廢(や)めになし、何時(いつ)までも此處(こヽ)に居(ゐ)て呉(く)れよ、突然(だしぬけ)に田舍(ゐなか)へ行(ゆ)きては嫌(い)やぞと泣(な)き
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
立(た)ちし物(もの)の此文(このふみ)には何(なん)の文言(もんごん)どういふ風(ふう)に書(か)きて有(あ)るにや表書(おもてが)きの常盤木(ときわぎ)のきみまゐるとは無情(つれなき)ひとへといふ事(こと)か岩間(いはま)の清水(しみづ)と心細(こゝろぼそ)げには書(か)き給(たま)へど扨(さて)も/\御手(おて)のうるはしさお姿(すがた)は申すも更(さら)なり御心(おこゝろ)だてと云(い)ひお學問(がくもん)と云(い)ひ欠(か)け處(どころ)なき御方(おかた)さまに思(おも)はれて嫌(い)やとはよもや仰(おほ)せられまじ我(わ)れ深山育(みやまそだ)ちの身(み)として比(くら)べ物(もの)になる心(こゝろ)は
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)