ぎらい)” の例文
初め抽斎は西洋ぎらいで、攘夷に耳をかたぶけかねぬ人であったが、前にいったとおりに、安積艮斎あさかごんさいの書を読んで悟る所があった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その兄の派出好はでずきで勉強ぎらいであった昔も眼の前に見えるようであった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
浅黄の天鵝絨びろうどに似た西洋花の大輪おおりんがあったが、それではなしに——筋一ツ、元来の薬ぎらいが、快いにつけて飲忘れた、一度ぶり残った呑かけの——水薬すいやくの瓶に、ばさばさと当るのを、じっみつめて立つと
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)