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嫌
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きらい
ふりがな文庫
“
嫌
(
きらい
)” の例文
梓その時はその美しい眉も
逆釣
(
さかづ
)
ッていたであろう。まさに洋燈を取って車の台に
抛
(
なげうた
)
むとする、
眦
(
めじり
)
の
下
(
さが
)
ったのは
蝮
(
まむし
)
より
嫌
(
きらい
)
な江戸ッ
児
(
こ
)
肌。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
江戸川縁
(
えどがわべり
)
に住んでいる
啓吉
(
けいきち
)
は、いつものように十時
頃
(
ごろ
)
家を出て、
東五軒町
(
ひがしごけんちょう
)
の停留場へ急いだ。
彼
(
かれ
)
は雨天の日が
致命的
(
フェータル
)
に
嫌
(
きらい
)
であった。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
子供はまた「旦那の
嫌
(
きらい
)
な
大晦日
(
おおみそか
)
」という
毬歌
(
まりうた
)
をうたった。健三は苦笑した。しかしそれも今の自分の身の上には痛切に
的中
(
あてはま
)
らなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その遺臣論は
姑
(
しばら
)
く
擱
(
さしお
)
き、私の身の進退は、前に申す通り、維新の際に幕府の門閥制度、鎖国主義が腹の底から
嫌
(
きらい
)
だから佐幕の気がない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
諸書に採録せられたこの逸事談は五山をして甚しく尊大の人たらしむるに
非
(
あら
)
ざれば、枕山をして
殆
(
ほとんど
)
礼を知らざるものたらしむる
嫌
(
きらい
)
がある。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
明治維新の行政庁は、名義を正すの目的をもって、かくのごとき官名の
僭称
(
せんしょう
)
の
嫌
(
きらい
)
ある
字
(
あざな
)
は一時禁ぜられたことがあります。
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この度の選挙に既に多数の医師の候補者が現れているのはやや不自然の
嫌
(
きらい
)
はありますが
悪
(
わ
)
るくない現象であると思います。
選挙に対する婦人の希望
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
私もあなたが好きだともいえないし、私は
嫌
(
きらい
)
だといったら怒るかも知れないし、先ず一苦労せねばならない処だった。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
艶といえば艶なようなものの、少しつき過ぎる
嫌
(
きらい
)
がある。
但
(
ただし
)
普通の春雨よりは、花の雨の方がいくらかいいかと思う。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
満山は信州の称呼で、上州の万座山に外ならない。白根山が上信の両国に跨るが如く描いてあるのは、誤でないにしても少しく誇張に失した
嫌
(
きらい
)
がある。
上州の古図と山名
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
しかしそう云っては生硬になるのが
嫌
(
いや
)
です。家常茶飯と云うと、また
套語
(
とうご
)
の
嫌
(
きらい
)
がある。それでも生硬なのよりは
増
(
まし
)
だと思うのは、私だけの趣味なのです。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
記載せられた一々の歴史的事実の間に脈絡がよくとれていない
嫌
(
きらい
)
があるから、大勢の動いてゆく道すじがそれによって説明のできるような組みたてにすること
学究生活五十年
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
石田は障子に穴のあるのが
嫌
(
きらい
)
で、一々自分で切張をしているのだから、この話を聞いて
嫌
(
いや
)
な顔をした。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
此間
(
このあいだ
)
野球の勝負へ、一番好きなものを賭ける約束で、僕が勝つと、塩豆を買って来るじゃないか、そんなものは
嫌
(
きらい
)
だって言うと、でもこれは私が一番好きですからと言うんだ
青い眼鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「エゴのない作家は
嫌
(
きらい
)
です。誰が何と云おうとも、たとえ全世界を捨てても……」
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
呉家の血統を
繋
(
つな
)
ぎ残すべく、姉との黙契の下に家出したるものにして、これあるがために、その
行衛
(
ゆくえ
)
捜索に対する姉の態度は、
稍々
(
やや
)
不熱心の
嫌
(
きらい
)
なきに非ざりしやの疑を存する余地あり。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
我らはわが内界に
不抜
(
ふばつ
)
の確信を豊強なる実験の上に築き、そしてまた同時にその外的表現に留意すべきである。外にのみ走りて浅薄になる
虞
(
おそれ
)
あると共に、内にのみ
潜
(
ひそ
)
みて
狭隘
(
きょうあい
)
となる
嫌
(
きらい
)
がある。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
われらのいはゆる文学はわれらがしばしば説明するが如きをいふなり。もしこれも文学といふ語が当らぬとならば美文となり言ふべし。字の定義などを説くは枝葉に
渉
(
わた
)
るの
嫌
(
きらい
)
あればここに説かず。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「日本人に対し寛大に失せるの
嫌
(
きらい
)
あり」と、あとから叱られている。
汽船が太平洋を横断するまで
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
が、私は、それだからヂュパンやホームズが
嫌
(
きらい
)
であるというのではない。どちらかというと私はそういう人間が好きであって、むしろ、彼等に近づき得ないのが悲しいといった方が適当かも知れない。
ヂュパンとカリング
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
美「お茶の御飯は私ゃ
嫌
(
きらい
)
、赤のお
飯
(
まんま
)
をお炊きなさいな」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
命を取られる裁判に引き出されるのは
嫌
(
きらい
)
です。3715
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
顔や手足の
嫌
(
きらい
)
なくチクチク刺す。
雪中富士登山記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
私は
性来
(
しょうらい
)
騒々
(
そうぞう
)
しい所が
嫌
(
きらい
)
ですから、わざと便利な市内を避けて、
人迹稀
(
じんせきまれ
)
な寒村の百姓家にしばらく
蝸牛
(
かぎゅう
)
の
庵
(
いおり
)
を結んでいたのです……
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これ無用の
徒事
(
とじ
)
たるのみに非ず、複雑なる北斎の作品に関する複雑なる評論をして更に一層の繁雑を
来
(
きた
)
さしむるの
嫌
(
きらい
)
あればなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「見やしませんけれど、御覧なさいな。お茶台に茶碗が
伏
(
ふさ
)
っているじゃありませんか、お茶台に茶碗を伏せる人は、貴下
嫌
(
きらい
)
だもの、父様も。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしそれはやや型に
嵌
(
はま
)
った見解で、哀れを強いる
嫌
(
きらい
)
がある。この句の場合はそう立入った気持でない、ああまた迷子があるな、という非人情的態度である。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
当時辻本君の一行が命名したように大小スバリの名があったと考えることも余りに拘泥し過ぎる
嫌
(
きらい
)
がある。
後立山は鹿島槍ヶ岳に非ざる乎
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
人の性情にも体質にも万人共通の点
即
(
すなわ
)
ち類性と、個人独得の点即ち個性とがあります。前代の社会心理の公準は類性のみを見て人の全部だと誤解した
嫌
(
きらい
)
がありました。
女子の独立自営
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
老生の
演
(
の
)
べんとする所は、慶應義塾の由来に
就
(
つ
)
き、
言
(
げん
)
少しく自負に似て俗に
云
(
い
)
う
手前味噌
(
てまえみそ
)
の
嫌
(
きらい
)
なきに
非
(
あら
)
ざれども、事実は座中諸君の記憶に存する通り
聊
(
いささか
)
も
違
(
たが
)
うことなく
〔気品の泉源、智徳の模範〕
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
人の死を説いて、直ちにその非を挙げんは、
後言
(
しりうごと
)
めく
嫌
(
きらい
)
はあるが、抽斎の蔵書をして
散佚
(
さんいつ
)
せしめた
顛末
(
てんまつ
)
を尋ぬるときは、豊芥子もまた幾分の
責
(
せめ
)
を分たなくてはならない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私は決して
嫌
(
きらい
)
なわけではないが、冬において私は日本服を着るのに際して、是非とも厚いシャツ二枚、ズボン下二枚を重ねて着込まなければならないのであるから悲しいのだ
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
僕の名前が新聞や雑誌に載ったりするのは
心
(
しん
)
から
嫌
(
きらい
)
だったらしいのです。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一体わたくしは荒々しい事は
嫌
(
きらい
)
でございますから
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
船頭が客人に、あなたは船が好きですかと聞いた時、好きも
嫌
(
きらい
)
も御前の
舵
(
かじ
)
の取りよう一つさと答えなければならない場合がある。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
紋は即ち往時家族制度の遺風なり。家族制度の弊を論じ個人主義を主張するの人紋所をつくるは
聊
(
いささ
)
か
牴牾
(
ていご
)
の
嫌
(
きらい
)
あるに似たり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ですけれども、貴方
嬰児
(
あかんぼ
)
はいらないんでしょう、ぎゃあぎゃあ泣いて
可煩
(
うるさ
)
いから大
嫌
(
きらい
)
だって言ったじゃあありませんか。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仏蘭西
(
フランス
)
未来派のサンポワン女史が三、四年来、婦人自ら内にある女性を絶滅せねばならぬと叫んでいるのも、女性の一切を不純不良な物として誇張した
嫌
(
きらい
)
はありますが
婦人改造と高等教育
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
現在藁草履を穿いている様も
叙
(
の
)
べず、藁草履の新なことにも言及せず、ただ「元朝にはくべき物や」という風に語を下し来ったため、やや観念的に
堕
(
だ
)
した
嫌
(
きらい
)
はあるけれども
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
純一は画なんぞを見るには、分かっても分からなくても、人と一しょに見るのが
嫌
(
きらい
)
である。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
且つ
此
(
かく
)
の如く親近なる参考事例を他に発見し得ざるを以て、
聊
(
いささ
)
か脱線を共にするの
嫌
(
きらい
)
あれども特にここに記述し、併せてこの事件の真相が、呉一郎の夢中遊行発作によって一貫せられおる事実を
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
僅
(
わずか
)
に三、五のものに就て大体を探究し、特に上州の一局部を精査したるに過ぎざれば、すべての古図皆
然
(
しか
)
りというは同じく危険なる結論に到達するの
嫌
(
きらい
)
なきに非ずと考えしも、一を以て他を類推し
古図の信じ得可き程度
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
正直を言えば僕は酸っぱい酒は
嫌
(
きらい
)
だ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
ほかの事なら一人の妹の事だから何でも聞くつもりだが、坊主だけは勘弁して貰いたい。坊主と
油揚
(
あぶらげ
)
は小供の時から
嫌
(
きらい
)
なんだから
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ペルヂンスキイもまた春信の色彩を以て曇りたる色となし、時としてあるひは平坦に過ぐるの
嫌
(
きらい
)
あれども、鮮明にして清楚なる感覚を与ふる力あり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
女房 (背を
擦
(
さす
)
る)若様は、
歎悲
(
かなし
)
むのがお
嫌
(
きらい
)
です。御性急でいらっしゃいますから、御機嫌に障ると悪い。ここは、楽しむ処、歌う処、舞う処、喜び、遊ぶ処ですよ。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし性急な変で、今晩
何処
(
どこ
)
で
逢
(
あ
)
おうとなっては、郵便は駄目である。そんな時に電報を打つ人もあるかも知れない。これは少し牛刀鶏を
割
(
さ
)
く
嫌
(
きらい
)
がある。その上
厳
(
いか
)
めしい配達の
為方
(
しかた
)
が殺風景である。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
坊さんの帰った
後
(
あと
)
で御仙がその
理由
(
わけ
)
を聞くと、「何坊さんも早く寝た方が勝手だあね。宵子だって御経なんか聴くのは
嫌
(
きらい
)
だよ」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お夏さんは
朋友
(
ともだち
)
が
嫌
(
きらい
)
だっていうんです、また番頭や小僧が
罷出
(
まかりで
)
ようという場じゃアありませんや。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
余の
卑見
(
ひけん
)
を以てすれば、水を
隔
(
へだ
)
てて対岸なる古城の石垣と老松を望まんには、此方の堤に柳あるは眺望を
遮
(
さえぎ
)
りまた眼界を狭くするの
嫌
(
きらい
)
あるが故にむしろなきに
如
(
し
)
くはない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
嫌
常用漢字
中学
部首:⼥
13画
“嫌”を含む語句
大嫌
上機嫌
御嫌
御機嫌伺
嫌疑
嫌厭
嫌忌
嫌気
気嫌
忌嫌
毛嫌
負嫌
去嫌
機嫌伺
好嫌
機嫌
嫌悪
御機嫌
不機嫌
嫌々
...