無情すげな)” の例文
三年五年はともかくも、廿年をその癖は、これが真実の偏人に、ならずに居らるるものかいやい。さこそは無情すげない父様と、不審も立つた事であろ。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
帝国ホテルで加十ではない本当の王様に無情すげない素振りをされて以来、どんなに思い悩んだのであろう。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
お吉のそういう様子を見ては、右衛門もいつまでも無情すげない素振りを続けていることは出来なかった。まして嫌な女ではない。これまでずっと久しい間愛し愛されて来た女である。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)