無情すげ)” の例文
上の空の様子で機械的にったり取ったりしていたが、急に膝の前の紙幣を手提袋の中に納い込み、巧みに膝の下へ押し込まれていた参事官の足を無情すげなく跳ねのけると
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
いや、くどい男だ。……こないだ路考が言葉尻を濁したが、わしの察するところでは、年に一度、十年がけの手紙というのを欝陶うっとうしがって、無情すげないことを言ってやったものと見える。
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)