無情つれ)” の例文
好かないやつだが、そうまでして来たものをと思うと、無情つれないこともできない。じゃまあ連れてきて逢わしてやろう。
復活祭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
吾輩の足下に大波瀾を捲き起して消え失せた友吉親子と、無情つれなく見棄てられた二人の芸妓げいしゃの事を思うと、何ともいえない悽愴たる涙が、滂沱ぼうだとしてとどまるところを知らなかったのだ。……
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「君の真綿のチョッキには、金比羅様こんぴらさまのお札が縫い込んであるそうだから、たいていの弾丸たまなんかとおりはしないでしょう」と、無情つれないことをいう。コン吉は、なるほどとうなずいて