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無情
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つれな
ふりがな文庫
“
無情
(
つれな
)” の例文
「そうか、咲いたか。……今朝も
箒
(
ほうき
)
を持って掃いたに、気がつかなんだ。花も、武骨者の軒に咲いては、
情
(
じょう
)
なしよと、
無情
(
つれな
)
かろうな」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此春より來慣れたる道なればにや、思はぬ方に迷ひ來しものかなと、
無情
(
つれな
)
かりし人に通ひたる昔忍ばれて、
築垣
(
ついがき
)
の
下
(
もと
)
に我知らず
彳
(
たゝず
)
みける。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
夫
(
それ
)
は
餘
(
あま
)
りのお
取
(
とり
)
こし
苦勞
(
ぐらう
)
岩木
(
いわき
)
の
中
(
なか
)
にも
思
(
おも
)
ひのなきかは
無情
(
つれな
)
き
仰
(
おほ
)
せの
有
(
あ
)
る
筈
(
はづ
)
なし
扨
(
さて
)
も
御戀人
(
おんこひゞと
)
は
杉原
(
すぎはら
)
さまとやお
名
(
な
)
は
何
(
なん
)
とぞ
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「ほんとうにですよ、今度いらっしゃって又
無情
(
つれな
)
くされていらっしゃると又どんなにお歎きになるかそれを思うと私はたとえ様もないほど悲しいんです」
錦木
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
鼻は木石のように
無情
(
つれな
)
く、まるでコルクみたいな奇妙な音をたててはテーブルの上へおっこちるのだった。
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
▼ もっと見る
ロミオ
其樣
(
そのやう
)
に
貧
(
まづ
)
しうあさましう
暮
(
くら
)
してゐても、
汝
(
おぬし
)
は
死
(
し
)
ぬるのが
怖
(
おそろ
)
しいか?
飢
(
うゑ
)
は
頬
(
ほゝ
)
に、
逼迫
(
ひっぱく
)
は
眼
(
め
)
に、
侮辱
(
ぶじょく
)
貧窮
(
ひんきう
)
は
背
(
せ
)
に
懸
(
かゝ
)
ってある。
無情
(
つれな
)
い
此
(
この
)
浮世
(
うきよ
)
に
法度
(
はっと
)
はあっても、つゆ
汝
(
おぬし
)
の
爲
(
ため
)
にはならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
火を入れるところまで見届けて、焼場から帰つた後、丑松は弁護士や銀之助と火鉢を
取囲
(
とりま
)
いて、扇屋の奥座敷で話した。
無情
(
つれな
)
い運命も、今は丑松の方へ向いて、
微
(
すこ
)
し笑つて見せるやうに成つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
思ふにかの
無情
(
つれな
)
男子
(
をのこ
)
は君が色を愛して、君が心を愛せざりしなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
さりげなき
無情
(
つれな
)
さに晴れ渡りぬる。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
菊枝 さても
無情
(
つれな
)
の人々候ぞや。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
「ところが、その後は
無情
(
つれな
)
い。とんと
文
(
ふみ
)
の返辞もない。ひとつ御僧が参って、兼好流に小右京の
頑
(
かたく
)
なを、説法してはくれまいか」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無情
(
つれな
)
かりし妾をこそ
憎
(
にく
)
め、
可惜
(
あたら
)
武士
(
ものゝふ
)
を世の外にして、樣を變へ給ふことの恨めしくも亦痛はしけれ。茲
開
(
あ
)
け給へ、思ひ
詰
(
つ
)
めし一念、聞き給はずとも言はでは
已
(
や
)
まじ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
忘
(
わす
)
れて
抱
(
いだ
)
き
合
(
あ
)
ひ
詞
(
ことば
)
もなくよゝと
泣
(
な
)
きしがお
前
(
まへ
)
さまに
其
(
その
)
やうな
御覺悟
(
おかくご
)
させますほどなら
此苦勞
(
このくらう
)
はいたしませぬ
御入來
(
おいで
)
の
無
(
な
)
きは
不審
(
いぶか
)
しけれど
無情
(
つれな
)
き
御返事
(
おへんじ
)
といふにもあらぬを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そのため初めて人の
無情
(
つれな
)
さをしみじみ身に知り申し候、まったく
一途
(
いちず
)
に思いつめて心の知れぬ人の
許
(
もと
)
へ走り候ことはかえすがえすも私の
過
(
あやま
)
り
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
而
(
しか
)
も世を捨てし其人は、命を懸けて己れを戀ひし瀧口時頼。世を捨てさせし其人は、
可愛
(
いとし
)
とは思ひながらも世の
關守
(
せきもり
)
に隔てられて
無情
(
つれな
)
しと見せたる己れ横笛ならんとは。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
この
樣
(
やう
)
の
取次
(
とりつぎ
)
するなとさへ
仰
(
おつ
)
しやりし
無情
(
つれな
)
さ、これ
程
(
ほど
)
の
耻
(
はぢ
)
を
見
(
み
)
て
我
(
わ
)
れ
男
(
をとこ
)
の
身
(
み
)
の、をめをめお
邸
(
やしき
)
に
居
(
を
)
られねば、
暇
(
いとま
)
を
賜
(
たま
)
はりて
歸國
(
きこく
)
すべけれど、
聞
(
き
)
き
給
(
たま
)
へ
我
(
わ
)
れ
田舍
(
ゐなか
)
には
兩親
(
りやうしん
)
もなく
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「その人前でなかったら、私こそお馬の脇へ、すがりついたかもしれません。だのに小殿は
無情
(
つれな
)
い。私は恨んでおりました」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さりとては
無情
(
つれな
)
き仕打、會へば背き、言へば答へぬ意地惡るは、友達と思はずば口を
利
(
き
)
くも要らぬ事と、少し癪にさはりて、摺れ違うても物言はぬ中はホンの
表面
(
うはべ
)
のいさゝ川
一葉女史の「たけくらべ」を読みて
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
おのづと肩身せばまりて朝夕の挨拶も人の目色を見るやうなる情なき思ひもするを、其れをば思はで我が
情婦
(
こひ
)
の上ばかりを思ひつゞけ、
無情
(
つれな
)
き人の心の底が夫れほどまでに戀しいか
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「おお、よく訪ねて来た。正成もいちど会いとう思っていた。さるを
無情
(
つれな
)
い兄と恨んでくれるな。お
汝
(
こと
)
ら夫婦を、この地におくことは相ならぬのだ」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おのづと肩身せばまりて
朝夕
(
てうせき
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
も人の目色を見るやうなる情なき思ひもするを、それをば思はで我が
情婦
(
こひ
)
の上ばかりを思ひつづけ、
無情
(
つれな
)
き人の心の底がそれほどまでに恋しいか
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「半兵衛どのにも、度々のお訪ねに、
無情
(
つれな
)
く門を閉じたまま、無礼を重ねたが、戦国のならい、お互い武門に生きる者の
辛
(
つら
)
いところじゃ。……察しられよ」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おのづと
肩身
(
かたみ
)
せばまりて
朝夕
(
てうせき
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
も
人
(
ひと
)
の
目色
(
めいろ
)
を
見
(
み
)
るやうなる
情
(
なさけ
)
なき
思
(
おも
)
ひもするを、
其
(
そ
)
れをば
思
(
おも
)
はで
我
(
わ
)
が
情婦
(
こひ
)
の
上
(
うへ
)
ばかりを
思
(
おも
)
ひつゞけ、
無情
(
つれな
)
き
人
(
ひと
)
の
心
(
こゝろ
)
の
底
(
そこ
)
が
夫
(
そ
)
れほどまでに
戀
(
こひ
)
しいか
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「……ゆるせ。ゆるしてくれい。
無情
(
つれな
)
い者が、必ずしも、
無情
(
つれな
)
い者ではないぞ、
其女
(
そなた
)
ばかりが」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何
(
なん
)
と
御覽
(
ごらん
)
じて
何
(
なん
)
とお
恨
(
うら
)
みなさるべきにや
過
(
す
)
ぎし
雪
(
ゆき
)
の
夜
(
よ
)
の
邂逅
(
かいごう
)
に
二
(
ふた
)
つなき
貞心
(
ていしん
)
嬉
(
うれ
)
しきぞとてホロリとし
給
(
たま
)
ひし
涙
(
なみだ
)
の
顏
(
かほ
)
今
(
いま
)
も
眼
(
め
)
の
前
(
さき
)
に
存
(
のこ
)
るやうなりさりながら
思
(
おも
)
ふ
心
(
こゝろ
)
は
幽冥
(
ゆうめい
)
の
境
(
さかひ
)
にまでは
通
(
つう
)
ずまじきにや
無情
(
つれな
)
く
悲
(
かな
)
しく
引止
(
ひきと
)
められし
命
(
いのち
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その後事を千浪に
篤
(
とく
)
と頼んで併せて彼女に
無情
(
つれな
)
かりし永年の罪も
一言
(
ひとこと
)
詫びたい——と思った。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
描
(
ゑが
)
かぬ
畫
(
ゑ
)
もおなじ
事
(
こと
)
御覽
(
ごらん
)
じ
知
(
し
)
る
筈
(
はず
)
もあらねば
萬一
(
もし
)
やの
頼
(
たの
)
みも
無
(
な
)
きぞかし
笑
(
わら
)
はるゝか
知
(
し
)
らねども
思
(
おも
)
ひ
初
(
そめ
)
し
最初
(
はじめ
)
より
此願
(
このねが
)
ひ
叶
(
かな
)
はずは一
生
(
しやう
)
一人
(
ひとり
)
で
過
(
す
)
ぐす
心
(
こゝろ
)
憂
(
う
)
きに
送
(
おく
)
る
月日
(
つきひ
)
のほどに
思
(
おも
)
ひこがれて
死
(
し
)
ねばよし
命
(
いのち
)
が
若
(
も
)
しも
無情
(
つれな
)
くて
如何
(
いか
)
に
美
(
う
)
るは
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「いや待て。——われにこそ
無情
(
つれな
)
いが、やはり関羽は真の大丈夫である。来ること明白、去ることも明白。まことに天下の義士らしい進退だ。——其方どもも、良い手本にせよ」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたくしが、世の常の
白拍子
(
しらびょうし
)
のように、判官様へ
無情
(
つれな
)
くあれば、年老いたあなたに、こんな
艱苦
(
かんく
)
はおかけしないでもよいのに……私の
婦道
(
みさお
)
のために……お母様までを、
憂目
(
うきめ
)
に追いやって
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わしが迎えてやるまで、
義父
(
おや
)
の花夜叉の許にいるがよい。
無情
(
つれな
)
いと、恨むか」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なぜ鎌倉殿が、あのように、源九郎様に
無情
(
つれな
)
いか。
原因
(
もと
)
をよく考えてごらんなさい。——手前の観るところ、お二人のご性質は水と火です。元々合わないものでした。鎌倉殿は単に九郎様を
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
情
常用漢字
小5
部首:⼼
11画
“無情”で始まる語句
無情の牡鹿は戯るる