エン)” の例文
旧字:
エンにといふ聯想は、後から出た事で、「言へば言ひえに」或は「言へばえ言はに」の略せられた形であつた。言ふに言はれないでの義である。
えは艶の字の意味ではないが、恐らくは、えンにとエンの音とが似てゐるところから聯想して、更に濃厚にえンにの意味を出さうとして来たからであらう。
古代中世言語論 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
平安朝の文学に屡〻現れ、武家時代にかけて、次第に「エンに」と言ふ宛て字に適当な内容を持つて来た「えんに」と言ふ語は、実はこの「えに」の撥音化なのである。
副詞表情の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)