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通夜
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つや
ふりがな文庫
“
通夜
(
つや
)” の例文
財布
(
さいふ
)
から五十銭銀貨を三四枚取り出して「これで今夜は酒でも飲んで
通夜
(
つや
)
をするのだ、あすは早くからおれも来て始末をしてやる。」
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
康頼 わしはこの間も権現様に
通夜
(
つや
)
をして祈りました。そして祈り
疲
(
つか
)
れてうとうとしました。するとわしは不思議な夢を見たのです。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「師匠。折角此處へ來たんだ、お袋と仲直りをした上、暫らく手傳つて、佛樣の始末をして行くがよい。あのまゝぢや
通夜
(
つや
)
もなるめえ」
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この晩は大杉に親しいものだけが遺骸の前で
通夜
(
つや
)
するという予定だったので、午後からは待受けしてボツボツ集まるものがあった。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
通夜
(
つや
)
の連中に飲ましてやるつもりで、残しておいた酒は一滴も残らず破れ畳が吸い込んで、そこいら一面、真赤になって酔払っている。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
刀詮議のため今晩は此の弁天堂へ
通夜
(
つや
)
をして、祈念を致す心得で参ったが、これへ来ると図らずお前に逢ったが、誠に思いがけないことで
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「へえ。こちらなぞでは、宿屋と違いまして、割合いに早く休みまするが、わたくしはどうせ今夜も
通夜
(
つや
)
をいたしまするのでございます。」
蛇
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
雨風のなほはげしく
外
(
おもて
)
をうかがふことだにならざる、静まるを待てば
夜
(
よ
)
もすがら
暴通
(
あれとお
)
しつ。家に帰るべくもあらねば姉上は
通夜
(
つや
)
したまひぬ。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ほんとうに、いやんなっちまうな。いくら木魚庵だからって、これじゃまるでお
通夜
(
つや
)
に来たようなもんじゃござんせんか」
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「うん所天は陸軍中尉さ。結婚してまだ一年にならんのさ。僕は
通夜
(
つや
)
にも行き葬式の供にも立ったが——その夫人の
御母
(
おっか
)
さんが泣いてね——」
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
机代用のリンゴ箱の上の
蝋燭
(
らふそく
)
の灯が静かに上下に
揺
(
ゆら
)
いでゐる。それを眺めてゐると、遠からず来るであらう自分のお
通夜
(
つや
)
のさまが聯想された。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
その
通夜
(
つや
)
の席で、一軒置いた隣りの紙屑屋の女房がこんなことを云い出した。この女房は四、五日まえに七つになる男の児を
亡
(
うしな
)
ったのであった。
半七捕物帳:39 少年少女の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『あらそわれないものだ、ゆうべが、おまえの母の
通夜
(
つや
)
だった。今年、五十二よ。まだ死ぬ年じゃないが、おまえに似て、細っこいでな、病死じゃ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて親戚や近所の人達が、
集
(
あつま
)
って来て、
彼地
(
あちら
)
でいう
夜伽
(
よとぎ
)
、
東京
(
とうきょう
)
でいえば
通夜
(
つや
)
であるが、それが
或
(
ある
)
晩のこと
初
(
はじま
)
った。
子供の霊
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
そのお
通夜
(
つや
)
には、
緒方先生
(
おがたせんせい
)
の
教
(
おし
)
えをうけたものが、たくさんあつまってきました。その
中
(
なか
)
に、
村田蔵六
(
むらたぞうろく
)
(のちの
大村益次郎
(
おおむらますじろう
)
)もいましたので、
諭吉
(
ゆきち
)
が
福沢諭吉:ペンは剣よりも強し
(新字新仮名)
/
高山毅
(著)
青山北町の岡っ引留五郎の家では、昨夜は
老衰
(
ろうすい
)
で死んだ父親の
通夜
(
つや
)
とあって、並み居る人達の眼ははれぼったかったが、岩吉の声に、一斉に眼をみはった。
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
定め當年十一歳なる
悴
(
せがれ
)
忠右衞門を
呼出
(
よびいだ
)
し
委細
(
ゐさい
)
に
言含
(
いひふく
)
め又家中一同を呼出して今宵は
通夜
(
つや
)
を致し
明朝
(
みやうてう
)
六ツの時計を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その
答者
(
こたえて
)
は即ち二十年間雪中
通夜
(
つや
)
の問答の苦しみを積み重ね
鍛
(
きた
)
え来ったところの、いわゆる問答的学問をその時に発表して大いに三大学の間に名声を
轟
(
とどろか
)
し
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼女が大層
他人
(
ひと
)
当りがよくなったという事を聴いたのもかなり前のことで、抱月氏のお
通夜
(
つや
)
の晩に、坂本
紅蓮洞
(
ぐれんどう
)
の背中を、立ったまま
膝
(
ひざ
)
で突つくものがある。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
鉄斎をはじめ
横死者
(
おうししゃ
)
の遺骸は、道場に安置されて、さっきから思いがけない
通夜
(
つや
)
が始まっている。二人はその席を抜けて、そっとこの室へ人眼を避けたのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「わての亭主も病気や」それを自分の肚への言訳にして、お
通夜
(
つや
)
も早々に切り上げた。夜更けの街を歩いて病院へ帰る
途々
(
みちみち
)
、それでもさすがに泣きに泣けた。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「私が死んだらな、お
通夜
(
つや
)
にみんなで
賭場
(
とば
)
を開帳してな、石塔は花札の模様入りにしてもらいまっさかい。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
嘉七さんは
白樺
(
しらかば
)
の皮を取りにあの辺へ通りかかって、そうして頭巾を見つけ出して来たまでです。ああ、また今夜はみんなしてお
通夜
(
つや
)
をしなければなりません。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
メルキオルの死体の
傍
(
かたわ
)
らで
通夜
(
つや
)
をしたこと、種々誓いをたてたこと、などを考えた。そしてその後の自分の生活を調べてみた。ことごとく誓いにそむいていた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこで屍体は一時亭主の吉蔵に下げ渡され、今戸の家へ親戚一同が集ってしめやかな
通夜
(
つや
)
をする事になったが、其の席上で端なくも意外な喧嘩が始まってしまった。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お
通夜
(
つや
)
のつもりで、ヘンリーの死体の上にシーツの白布をかけ、森の中から探して来た草花を、その枕もとに供えて、少年達は、例の椰子の油のともしびをかこみ
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
二九
殊
(
こと
)
にも来りて
通夜
(
つや
)
し奉り、
三〇
後世の事たのみ聞ゆべきに、
幸
(
さいはひ
)
の
時
(
をり
)
なれば、
霊廟
(
みたまや
)
に夜もすがら
三一
法施
(
ほふせ
)
したてまつるべしとて、杉の下道のをぐらきを行く行く
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「お
通夜
(
つや
)
みたい」と女が云った、「それとも人に聞かせられないような悪い相談でもするの」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
立って電燈を点じる足元へ茶ぶ台を持ち運ぶ女の顔を見ると、それは
不断
(
ふだん
)
使っていた
小女
(
こおんな
)
ではなくて、
通夜
(
つや
)
の前日手不足のため臨時に雇入れた派出婦であるのに気がついた。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
コックさんをよこしてちょだい……お
通夜
(
つや
)
? なにを言ってんのよ……なんのお祝いだか知らないけど、ともかくお祝いなの……夕食ですから、そのつもりで……いいわね……
喪服
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
死は
凡
(
あら
)
ゆる
経緯
(
いきさつ
)
を清算するものらしい。二晩目の
通夜
(
つや
)
に集った連中は皆喧嘩相手だった。
変人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
書斎でお
通夜
(
つや
)
をしていると、いつもこの芭蕉がいちばん早く、うす暗い中からうき上がってきた。——そんなことをぼんやり考えているうちに、やがて人が減って書斎の中へはいれた。
葬儀記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
親戚の
妻女
(
さいじょ
)
だれかれも
通夜
(
つや
)
に来てくれた。
平生
(
へいぜい
)
愛想笑いをする癖が、悔やみ言葉の間に出るのをしいてかみ殺すのが苦しそうであった。近所の者のこの際の無駄話は実にいやであった。
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その夜の
通夜
(
つや
)
は「談笑平日の如くなるべきこと。」という
予
(
か
)
ねての居士の意見に従って自然に任せておいた。余は前夜の睡眠不足のために堪え難くて一枚の布団を
檞餅
(
かしわもち
)
にして少し眠った。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
八幡宮の社殿に「お
通夜
(
つや
)
」ということが行われる。男女相集ってかけ歌を催し、勝負を決する。その歌には一定の型があるが、文句は即席に作るのが多く、それをニガタ節という節調で歌う。
春雪の出羽路の三日
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
そのなかの丸いのを
盆
(
ぼん
)
にのせて
仏壇
(
ぶつだん
)
に供えたのだったが、
疫痢
(
えきり
)
という
噂
(
うわさ
)
が立って、だれもきてくれぬ
通夜
(
つや
)
の
枕
(
まくら
)
もとにすわって、いつもの停電がすんだあと、お母さんはふと気がついたように
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
殯宮
(
ひんきゆう
)
に
通夜
(
つや
)
をしてゐるやうな
赤楊
(
はんのき
)
よ、おまへの王樣は崩御になつた、
赤楊
(
はんのき
)
の民よ、靜かな
水底
(
みなぞこ
)
に
冠
(
かんむり
)
の光を探しても、
夜
(
よ
)
の
宴
(
うたげ
)
の
歌舞
(
かぶ
)
の響を求めても、詮ない事になつて
了
(
しま
)
つた、
赤楊
(
はんのき
)
の王樣、今
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
其中
(
そのうち
)
に親類の人達が集まって来る、お寺から坊さんが来る、其晩はお
通夜
(
つや
)
で、翌日は葬式と、何だか
家内
(
かない
)
が
混雑
(
ごたごた
)
するのに、
覩
(
み
)
る物聞く事皆珍らしいので、私は其に紛れて何とも思わなかったが
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
夫からの三日間、譲吉はお
通夜
(
つや
)
の席に連った。彼はお通夜などと云う仏教の形式に、反感を懐いて居たが、然し自分の悲痛や夫人に対する愛慕を、こうした形式で現わす外、何うとも仕様がなかった。
大島が出来る話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
大正八年一月三十一日午前十一時である。イボタの虫は、木村の家や原町の家などで、お
通夜
(
つや
)
や葬式などに風邪引きが沢山出来たので、母が飲ませようとしたけれども、誰もイヤがつて飲まなかつた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
通夜
(
つや
)
の夜を
燈火
(
ともしび
)
かこむ物語、
欠伸
(
あくび
)
かはゆき子の姿かな。
短歌
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
五月雨
(
さみだれ
)
もむかしに遠き山の庵
通夜
(
つや
)
する人に卯の花いけぬ
みだれ髪
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「そうか、
通夜
(
つや
)
はやってやるのだろうな」
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
悔
(
くい
)
と
夜
(
よ
)
のなげかひを
懇
(
ねもごろ
)
に
通夜
(
つや
)
し見まもる。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼はだからその母親が死ぬと間もなく、お
通夜
(
つや
)
の晩に、忘れ形見の太郎を引き寄せて、涙ながらに固い約束をしたものであった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「親父は
車夫
(
くるまひき
)
の野郎とけんかをして殺されたのだ。これをやるから
木賃
(
きちん
)
へ泊まってくれ。今夜は仲間と
通夜
(
つや
)
をするのだから。」
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「それから、下ツ引を狩出して、あの家の
通夜
(
つや
)
にやつてくれ。一人へ一人づつ見張りをつけるやうにするんだ、判つたか」
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
渠
(
かれ
)
は
些
(
ち
)
と遠方をかけて、遠縁のものの
通夜
(
つや
)
に
詣
(
まい
)
つたのである。其がために
女
(
むすめ
)
が一人だからと、私を
泊
(
と
)
めたのであつた。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
十二時過から御仙は
通夜
(
つや
)
をする人のために、わざと
置火燵
(
おきごたつ
)
を
拵
(
こし
)
らえて
室
(
へや
)
に入れたが、誰もあたるものはなかった。主人夫婦は無理に勧められて寝室へ
退
(
しり
)
ぞいた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それでもまだ金に未練があると見えて、隠居の
通夜
(
つや
)
の晩に、線香の箱かなんか持って来て、裏口から番頭の吉兵衛をよび出して、これを仏前に供えてくれと云う。
半七捕物帳:57 幽霊の観世物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“通夜”の解説
通夜(つや)は、仏教等で葬儀前に行う儀式のこと。
(出典:Wikipedia)
通
常用漢字
小2
部首:⾡
10画
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
“通夜”で始まる語句
通夜僧
通夜物語
通夜回向
通夜童子