月光ひかり)” の例文
髪を乱し襟を拡げ、返り血を浴びた主税がその間に立ち、血にぬれた刀を中段に構え、開いている雨戸から射し込んでいる月光ひかりに、姿を仄かに見せていた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
月光ひかりの中へ出て、いよいよ白く見える老人の白髪は、そこへ雪が積もっているかのようであり、洋犬のように長い顔も、白く紙のようであった。顔の一所ひとところに黒い斑点しみが出来ていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)