光芒ひかり)” の例文
ふと見ると、赤銅しゃくどうのような色をした光芒ひかりの無い大きな月が、おほりの松の上に音も無く昇っていた。その色、そのかたち、その姿がいかにもわびしい。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
と思うと、今度は右手の沖合へ、仄明くサーチライトの光芒ひかりをひらめかして、大きく円を描きながら消え去って行った。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
懐中電灯の光芒ひかりが縦横に飛び動いて、四辺あたりの状態をそれぞれの眼にはっきりと映して呉れた。そこは、上って見ると、こうも広々としているものかと思われる程、ゆったりとした天井裏であった。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いままで空間を空撫からなでしていたヘッド・ライトの光芒ひかりが、谷間の闇を越して向うの山の襞襀ひだへぼやけたスポット・ライトを二つダブらせながらサッと当って
白妖 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)