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燈火
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あかり
ふりがな文庫
“
燈火
(
あかり
)” の例文
新字:
灯火
その姿の
悲惨
(
いじら
)
しいような、怖しいような、何とも云えない心持がして、思わずハッと眼を閉じると、
燈火
(
あかり
)
は消える、女の姿も消える。
お住の霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
路
(
みち
)
のわかるまで私の白い
燈火
(
あかり
)
を見せましょう。路がわかっても、声を出さないで下さい。上へ行き着いた時にも呼ばないで下さい」
世界怪談名作集:06 信号手
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
そこで目にはいったのは、なん千とも数知れない
燈火
(
あかり
)
が、見わたすこともできないほど、
幾列
(
いくれつ
)
にもならんでともっていることでした。
死神の名づけ親(第一話)
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
六部はなにか急ぎ足だったが、もう一度軒下へもどって行って、
隙洩
(
すきも
)
る
燈火
(
あかり
)
にかざしながら、仔細に印籠の模様や
緒〆
(
おじめ
)
を調べていた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見ると、間の
襖
(
ふすま
)
が二
尺
(
しゃく
)
ばかり
開
(
あ
)
いて、そこにKの黒い影が立っています。そうして彼の室には
宵
(
よい
)
の通りまだ
燈火
(
あかり
)
が
点
(
つ
)
いているのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
そうするとその前の方へ少し離れた所に
燈火
(
あかり
)
の仕掛があってこれがその絵に
依
(
よ
)
って
種々
(
いろいろ
)
な色の光を投げかけるようになっています。
銀座は昔からハイカラな所
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
電車
(
でんしゃ
)
に
乗
(
の
)
って、
腰
(
こし
)
を
下
(
お
)
ろすと、ひとり
言
(
ごと
)
をしました。
外
(
そと
)
は
暗
(
くら
)
くなって、ただ
町
(
まち
)
の
燈火
(
あかり
)
が
星
(
ほし
)
のように、きらきらしているばかりです。
夕焼けがうすれて
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「あゝ、やつぱりお父様が、
誰
(
だれ
)
かにいひつけて、
燈火
(
あかり
)
をおつけさせになつたんだわ。ジウラさんも、きつと、あすこにゐるでせう」
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
中流より石級の方を望めば理髪所の
燈火
(
あかり
)
赤く
四囲
(
あたり
)
の
闇
(
やみ
)
を
隈
(
くま
)
どり、そが前を
少女
(
おとめ
)
の群れゆきつ返りつして
守唄
(
もりうた
)
の
節
(
ふし
)
合わするが聞こゆ。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
電燈の
点
(
つ
)
いた食堂で、大塚さんは例の食卓に対って、おせんと一緒に食った時のことを思出した。
燈火
(
あかり
)
に映った彼女の頬を思い出した。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし、夜になると、屋敷の番人をしている男が食物を運ぶのと
燈火
(
あかり
)
をつけに来ることによって、そこに人がいることがわかりました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
燈火
(
あかり
)
はすっかり消えてるわ。皆もう眠っちゃったのね。だから、そっと誰にもわからないように、そっと這って行って来るわ。」
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
けれども、マドレーヌ氏のただ一人の
下婢
(
かひ
)
であって同時に工場の門番をしていた女は、彼の室の
燈火
(
あかり
)
が八時半に消されたのを見た。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
いまでは、そのあとに、
女髪結
(
おんなかみゆい
)
が越して来ましたが、夏になると、二階に蚊帳を釣って、
燈火
(
あかり
)
をつけて、毎晩のように花を引いています。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「幽霊。……」と時次郎は呟き、「なるほど幽霊と見える、
怪
(
け
)
しからん風体です。
夫人
(
おくさま
)
、
燈火
(
あかり
)
をずっと、はい、
宜
(
よろ
)
しい。おや、御邸の。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その石橋を渡って入っていくと石室が二つあって、そこには明るい光が照りわたっているので、
燈火
(
あかり
)
を用いる必要がなかった。
翩翩
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
ハアー……おや
燈火
(
あかり
)
を消したかえ。竹「
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
ふんだね、しつかりおしよ、お
前
(
まへ
)
何
(
なに
)
か夢でも見たのかえ、
額
(
ひたひ
)
へ汗をかいてゝさ。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ギョッとして
四辺
(
あたり
)
を見廻すと、一筋の火光が天井から、斜に足許へ射していた。二階から来た
燈火
(
あかり
)
である。ぼんやりと梯子段も見えている。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
通過ぎる人でもあらば
聞質
(
ききただ
)
したいと消えかかる
辻番所
(
つじばんしょ
)
の
燈火
(
あかり
)
をたよりに、
頻
(
しきり
)
と
四辺
(
あたり
)
を見廻すけれど、犬の声ばかりして人影とては更にない。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
両側の部屋にも
燈火
(
あかり
)
はない。ただ突き当りの通風窓からボンヤリ明りがさしているばかりだ。賊はその部屋にいるのであろう。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
暗い
燈火
(
あかり
)
の下に
蒐
(
あつ
)
まっている瑠璃子と女中達を、もっと脅かすように、風は空を狂い廻り、波は
断
(
しきり
)
なしに岸を
噛
(
か
)
んで殺到した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
まだ
燈火
(
あかり
)
もつけずに、牛込では、
陋居
(
ろうきょ
)
の主人をかこんでお仲間の少壮文人たちが
三五人
(
さんごにん
)
談話の最中で、私がまだ座につかないうちにたれかが
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
便所の中にあか/\と
燈火
(
あかり
)
が點いてゐるので、此方から聲をかけたが、答へはなくて、
燈火
(
ともしび
)
がふつと消えて
了
(
しま
)
つたといふことをも思ひ出した。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
燈火
(
あかり
)
に
背
(
そむ
)
いた其笑顏が、何がなしに艶に見えた。涼しい夜風が遠慮なく髮を
嬲
(
なぶ
)
る。庭には植込の繁みの中に螢が光つた。子供達は其方にゆく。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
便所には
燈火
(
あかり
)
がついてゐた。戸を開いてみると、当太郎が下一杯にうづくまつてゐた。首をくくつたのであつた。その縄が斬れて、落ちたのだ。
蒼茫夢
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
萌黄の
帷子
(
かたびら
)
。水色の
透綾
(
すきや
)
。境内は雜然としてかんてらの
燈火
(
あかり
)
が
四邊
(
あたり
)
一面の
光景
(
ありさま
)
を花やかに、闇の地に浮模樣を染め出した。
二十三夜
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
室長のヴィオロオヌは、くるりと左右を見廻し、みんなが
床
(
とこ
)
に
就
(
つ
)
いたかどうかをたしかめる。それから
爪先
(
つまさき
)
を立てて、そっと
燈火
(
あかり
)
を小さくする。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
やがて
燈火
(
あかり
)
を
持
(
も
)
った
人
(
ひと
)
がわせて、
墓
(
はか
)
を
發
(
ひら
)
かうと
爲
(
し
)
やしゃるやいな、
御主人
(
ごしゅじん
)
は
劍
(
けん
)
を
拔
(
ぬ
)
かしゃれました。それで
僕
(
わたくし
)
は
走出
(
かけいだ
)
して
夜番
(
よばん
)
の
衆
(
しゅう
)
を
呼
(
よ
)
びました。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
俯伏たまゝたゞ
唯
(
はい
)
、唯と答ふるのみにて、乱鬢の中に五六本の白髪が瞬く
燈火
(
あかり
)
の光を受けてちらり/\と見ゆるばかり。
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
錦の
帷
(
とばり
)
の見える
室
(
へや
)
の中に
燈火
(
あかり
)
が
点
(
つ
)
いていた。章はその室へ通されて一人で坐っていた。乳母と女が入ってきた。二人の手には肉を盛った鉢があった。
狼の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
うつくしい
菫
(
すみれ
)
色の大きな星が空に輝いている——と思ったが、それはどうやら
燈火
(
あかり
)
であるらしい。燈台の灯でもあろうか。かなり高いところにある。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ところで、あの
船室
(
ケビン
)
の前の白い
柱
(
マスト
)
の
尖端
(
さき
)
へ、御主人が
燈火
(
あかり
)
をお吊るしになったのは、度々のことではないですね?」
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
⦅ひやあ、どうもはや、これは何といふ
燈火
(
あかり
)
だらう!⦆と、鍛冶屋は心ひそかに呟やいたものだ。⦅村ぢやあ昼間だつて、かうは明るくないのに。⦆
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
街中に明るく
燈火
(
あかり
)
がともっていて、
大勢
(
おおぜい
)
の人がぞろぞろ通っていて、おもしろい
蓄音機
(
ちくおんき
)
の音までも聞こえています。
不思議な帽子
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
なるほど
燈火
(
あかり
)
が見えない。一度呶鳴って見ようというので北沢がオーイ、オーイと大きな声を出したが、返事もなければ燈火を出して見せるでもない。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
「家の中の
燈火
(
あかり
)
を消せい。電燈を消してもほかのあかりを
点
(
つ
)
けちゃなんにもならん。家の中のあかりを消せい。」
毒蛾
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
両方がずっと田圃で、田の
畷
(
あぜ
)
を伝って、畷とも道ともつかない
小逕
(
こみち
)
を無数の人影がうようよしている。田圃の中には
燈火
(
あかり
)
が
万燈
(
まんどう
)
のように明るく
点
(
とも
)
っている。
幕末維新懐古談:42 熊手を拵えて売ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
ふと、戸の隙間から廊下の敷ものの上に一
条
(
すじ
)
の
燈火
(
あかり
)
が射しているのを見て、私はごく静かに戸を開けました。
無駄骨
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
現に、
燈火
(
あかり
)
を消し、眼をつぶつてはみるが、すぐに臼本圭方の高飛車な口調が耳につき、いきり立つ自分の声がか細く消されて行く有様にじりじりして来る。
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
鴎外の花園町の家の傍に私の知人が住んでいて、自分の書斎と相面する鴎外の書斎の裏窓に
射
(
さ
)
す
燈火
(
あかり
)
の消えるまで競争して勉強するツモリで毎晩夜を更かした。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
まだここのみは、明けやらぬ、昨宵のままの
燈火
(
あかり
)
、掻き立て見れば、口の内、何やら含んだものがある。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
裏口へ廻った怪しい男は木戸から洩れる
燈火
(
あかり
)
を頼りに、そっと忍寄って、コツ/\と戸を叩き出した。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「ランプを點けつ放しにしといちや危ないぜ。」才次は二階から差して來る
燈火
(
あかり
)
を見上げて云つた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
母屋
(
おもや
)
の方はもうすっかり
燈火
(
あかり
)
が消えて、家の人達は誰もかも深い睡りに入っていた。屋外には冷やかな夜が、空にきらめく数限りもない星々を静かにはぐくんでいた。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
それから釜山の事務所に帰って、
銭湯
(
せんとう
)
に飛込むと、何か知らピリピリと足に
泌
(
し
)
みるようだから、おかしいなと思い思い、
上框
(
あがりかまち
)
の
燈火
(
あかり
)
の下に来てよく見ると……どうだ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
道端に芋の葉をかぶせた
燈火
(
あかり
)
を置いて臆病者を怖がらせたりと云ったような芸術にも長じていた。
重兵衛さんの一家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
燈火
(
あかり
)
は
私
(
わたし
)
が
唯今
(
たゞいま
)
點
(
つ
)
けたので
御座
(
ござ
)
んす、
誠
(
まこと
)
は
今
(
いま
)
までお
留守居
(
るすい
)
をして
居
(
い
)
ましだのなれど、
家
(
うち
)
のやんちやが六ツかしやを
言
(
い
)
ふに
小言
(
こごと
)
いふとて
明
(
あ
)
けました、
御親造
(
ごしんぞ
)
は
今日
(
けふ
)
の
晝前
(
ひるまへ
)
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
(窓に立ち寄る。)
何処
(
どこ
)
の
家
(
うち
)
でも今
燈火
(
あかり
)
を
点
(
つ
)
けている。そうすると狭い壁と壁との間に
迷
(
まよい
)
や涙で包まれた陰気な世界が出来て、人の心はこの
中
(
うち
)
に
擒
(
とりこ
)
にせられてしまうのだ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
「でも
未
(
ま
)
だ平民社の二階にや
燈火
(
あかり
)
が見えるぜ——少こし小降になつた様だ、オヽ、寒い/\」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
家の中には
燈火
(
あかり
)
がかんかんとついて、真暗なところを長い間歩いていたぼくにはたいへんうれしかった。寒いだろうといった。
葛湯
(
くずゆ
)
をつくったり、
丹前
(
たんぜん
)
を着せたりしてくれた。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
燈
部首:⽕
16画
火
常用漢字
小1
部首:⽕
4画
“燈火”で始まる語句
燈火占
燈火台
燈火節
燈火信号
燈火管制