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滑
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す
ふりがな文庫
“
滑
(
す
)” の例文
しかし、時折り牡山羊は檻から外へ
滑
(
す
)
べり出て、菜園の霜柱をピョンピョン踏みつぶしながら、表の通りへ逃げ出してゆくことがある。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
すると、間遠い魚の影が、ひらりと尾
鰭
(
ひれ
)
を
翻
(
ひるがえ
)
して、
滑
(
す
)
べらかな鏡の上には、泡一筋だけが残り、それが花瓣のような
優
(
しと
)
やかさで崩れゆくのだった。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
何という可愛らしさだろう、まるで眠っている西洋人形だ、細面で、
頤
(
あご
)
から首筋へかけての皮膚が
滑
(
す
)
べこそうで、東洋人には珍らしい濁りのない白さだ。
黒猫十三
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
やさしく
咽喉
(
のど
)
に
滑
(
す
)
べり込む長い
顎
(
あご
)
を奥へ引いて、上眼に小野さんの姿を
眺
(
なが
)
めた小夜子は、変る眼鏡を見た。変る
髭
(
ひげ
)
を見た。変る髪の
風
(
ふう
)
と変る
装
(
よそおい
)
とを見た。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
岩や岩窟の中へは無数の
小波
(
さざなみ
)
がすがる手を投げ入れ、又進んでは水のしたたる岩をつかみ、恐しく強い塩の力を持った、すばしこく
滑
(
す
)
べこく長い水の指を遠い陸の方へ振っていた。
髪あかきダフウト
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
▼ もっと見る
歸路
(
かへり
)
に
眞闇
(
まつくら
)
に
繁
(
しげ
)
つた
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
を
通
(
とほ
)
る
時
(
とき
)
、
僕
(
ぼく
)
は
斯
(
こ
)
んな
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ひながら
歩
(
あ
)
るいた、
若
(
も
)
し
僕
(
ぼく
)
が
足
(
あし
)
を
蹈
(
ふ
)
み
滑
(
す
)
べらして
此溪
(
このたに
)
に
落
(
お
)
ちる、
死
(
し
)
んでしまう、
中西屋
(
なかにしや
)
では
僕
(
ぼく
)
が
歸
(
かへ
)
らぬので
大騷
(
おほさわ
)
ぎを
初
(
はじ
)
める
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
芒
(
すゝき
)
の原を
滑
(
す
)
べる。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
台所の
廂
(
ひさし
)
から
家根
(
やね
)
に飛び上がる方、家根の
天辺
(
てっぺん
)
にある
梅花形
(
ばいかがた
)
の
瓦
(
かわら
)
の上に四本足で立つ術、
物干竿
(
ものほしざお
)
を渡る事——これはとうてい成功しない、竹がつるつる
滑
(
す
)
べって爪が立たない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ここです」と藤尾は、軽く
諸膝
(
もろひざ
)
を
斜
(
なな
)
めに立てて、青畳の上に、
八反
(
はったん
)
の
座布団
(
ざぶとん
)
をさらりと
滑
(
す
)
べらせる。
富貴
(
ふうき
)
の色は
蜷局
(
とぐろ
)
を三重に巻いた鎖の中に、
堆
(
うずたか
)
く
七子
(
ななこ
)
の
蓋
(
ふた
)
を盛り上げている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
銅板に砂を塗れる如き顔の中に
眼
(
まなこ
)
懸りて
稲妻
(
いなずま
)
を射る。我を見て南方の犬尾を
捲
(
ま
)
いて死ねと、かの鉄棒を脳天より下す。眼を
遮
(
さえぎ
)
らぬ空の二つに裂くる響して、鉄の瘤はわが右の肩先を
滑
(
す
)
べる。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いたずらに足の底に
膨
(
ふく
)
れ上る豆の十や二十——と切り石の鋭どき上に
半
(
なか
)
ば掛けたる編み上げの
踵
(
かかと
)
を見下ろす
途端
(
とたん
)
、石はきりりと
面
(
めん
)
を
更
(
か
)
えて、乗せかけた足をすわと云う
間
(
ま
)
に二尺ほど
滑
(
す
)
べらした。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「君が
滑
(
す
)
べると、二人共落ちてしまうぜ」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
滑
常用漢字
中学
部首:⽔
13画
“滑”を含む語句
滑稽
滑々
滑車
滑川
上滑
滑石
円滑
滑走
滑稽談
滑脱
潤滑油
滑稽感
狡滑
地滑
氷滑
滑稽雑談
滑稽納所
滑稽劇
滑落
滑稽的
...