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滑
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なめ
ふりがな文庫
“
滑
(
なめ
)” の例文
しかしながら色は必ずしも白色でなければならぬとは限らない、
印度
(
インド
)
の女の皮膚の色には別な
軟
(
やわら
)
かみと
滑
(
なめ
)
らかな光沢があって美しい
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
最初はプリプリしていた鉄も、平次の心持が解ると次第に打ち解けて、
晩酌
(
ばんしゃく
)
を付合いながら、
滑
(
なめ
)
らかに話すようになっていたのです。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
俊亮も、ビールのせいか、口がいつもより
滑
(
なめ
)
らかだった。彼はわかいころの政治運動の失敗談などをもち出して、みんなを笑わせた。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
白い
襦袢
(
じゅばん
)
に白い腰巻をして、冬大根のように
滑
(
なめ
)
らかな白い
脛
(
すね
)
を半分ほど出してまめまめしく、しかしちんまりと静かに働いていた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そしてその魅力をさらに大ならしむるものは、
浄
(
きよ
)
い
温
(
あたた
)
かい
滑
(
なめ
)
らかな声の惑わしだった。一語一語が美しい和音のように響いていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
洋傘直しは引き出しから
合
(
あわ
)
せ
砥
(
ど
)
を出し
一寸
(
ちょっと
)
水をかけ黒い
滑
(
なめ
)
らかな石でしずかに
練
(
ね
)
りはじめます。それからパチッと石をとります。
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
かくばかり
滑
(
なめ
)
らかに通されて、温かいお言葉に接することは、神尾の身にとって、近ごろ絶えて無いこと、よろこばしう存ずる。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
手桶
(
てをけ
)
の
冷
(
つめ
)
たい
水
(
みづ
)
で
曝
(
さら
)
した
蕎麥
(
そば
)
は
杉箸
(
すぎはし
)
のやうに
太
(
ふと
)
いのに、
黄蜀葵
(
ねり
)
の
特色
(
とくしよく
)
の
硬
(
こは
)
さと
滑
(
なめ
)
らかさとで
椀
(
わん
)
から
跳
(
をど
)
り
出
(
だ
)
し
相
(
さう
)
に
成
(
な
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
月光
(
げつくわう
)
其
(
その
)
滑
(
なめ
)
らかなる葉の
面
(
おも
)
に落ちて、葉は
宛
(
さ
)
ながら
碧玉
(
へきぎよく
)
の
扇
(
あふぎ
)
と
照
(
て
)
れるが、
其上
(
そのうへ
)
にまた黒き
斑点
(
はんてん
)
ありてちら/\
躍
(
おど
)
れり。
李樹
(
すもゝ
)
の影の
映
(
うつ
)
れるなり。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
私はふと
何故
(
なぜ
)
だか分らずにその
滑
(
なめ
)
らかそうな柵をいじくろうとして手をさし
伸
(
の
)
べたが、それにはちょっと
触
(
ふ
)
れただけであった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そうなれば、自分一個人だけではなく、我々の住んでいる社会全体がいかにも
滑
(
なめ
)
らかに
滞
(
とどこお
)
りなく愉快なものとなるであろう。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
故郷のさまが今一度その眼前に浮かぶ。母の顔、妻の顔、
欅
(
けやき
)
で囲んだ大きな家屋、裏から続いた
滑
(
なめ
)
らかな
磯
(
いそ
)
、
碧
(
あお
)
い海、なじみの漁夫の顔……。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
橋から見える限りの
辺
(
あた
)
りの水面は、油のようなべっとりした感じの黒光りを放った、いっこうに皺のない
滑
(
なめ
)
らかさであった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
怜悧
(
りこう
)
なお延は弱らせられた。会話が
滑
(
なめ
)
らかにすべって行けば行くほど、一種の物足りなさが彼女の胸の中に頭を
擡
(
もた
)
げて来た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが風に
揺
(
ゆ
)
らぐと、反射で
滑
(
なめ
)
らかな
崖
(
がけ
)
の赤土の表面が
金屏風
(
きんびょうぶ
)
のように
閃
(
ひらめ
)
く。五六
丈
(
じょう
)
も高い崖の
傾斜
(
けいしゃ
)
のところどころに
霧島
(
きりしま
)
つつじが
咲
(
さ
)
いている。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
金色の髪がふさふさと肩に垂れ、海のように青い眼をし、
薔薇
(
ばら
)
色の
頬
(
ほほ
)
をして、肌は大理石のように
滑
(
なめ
)
らかでまっ白でした。
手品師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
玉は乱れ落ちてにわかに繁き琴の手は、再び流れて清く
滑
(
なめ
)
らかなる声は次いで起れり。客はまたもそなたを見上げぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
「聽き手の熱心さは話し手の舌を
滑
(
なめ
)
らかにするものです。」と私はジプシイにと云ふよりは寧ろ自分に向つて云つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それは僕の油断を見すまし、その河童が僕の万年筆を盗んだことに気がついたからです。しかし皮膚の
滑
(
なめ
)
らかな河童は容易に我々にはつかまりません。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこをいざり尽すと、私たちは崩れの上に直立している、
滑
(
なめ
)
らかな花崗岩の面を伝わらなければならなくなった。
烏帽子岳の頂上
(新字新仮名)
/
窪田空穂
(著)
これ程の大事件を依然として馬鹿にし切って、
弄
(
もてあそ
)
んでいるような、
滑
(
なめ
)
らかな、若々しい声で言葉を続けた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
半分ほどあらわに出した
滑
(
なめ
)
らかな光沢のある二つの肩には、
瑪瑙
(
めのう
)
と大きい真珠の首飾りが首すじの色と同じ美しさで光っていて、それが胸の方に垂れていました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
滑
(
なめ
)
らかに湯を浴び桜色に色づいた
腿
(
もも
)
の線は流し場に群れた人の
脊
(
せ
)
に区切られて見えなかった。女は浴び終ると、くるりと、脊中を向けて上り口に大股に踏み出した。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
そして自分の方が金を借りでもしたかのように、男には珍らしい
滑
(
なめ
)
らかな頬の皮膚をやや紅くした。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
鉛
(
なまり
)
の
重
(
おもり
)
かとおもふ
心持
(
こゝろもち
)
、
何
(
なに
)
か
木
(
き
)
の
実
(
み
)
でゞもあるか
知
(
し
)
らんと、二三
度
(
ど
)
振
(
ふつ
)
て
見
(
み
)
たが
附着
(
くツつ
)
いて
居
(
ゐ
)
て
其
(
その
)
まゝには
取
(
と
)
れないから、
何心
(
なにごゝろ
)
なく
手
(
て
)
をやつて
掴
(
つか
)
むと、
滑
(
なめ
)
らかに
冷
(
ひや
)
りと
来
(
き
)
た。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
取りだしたのは
藁苞
(
わらづと
)
である、グイとしごいて、苞からむきだされたのは、
蝋色鞘
(
ろいろざや
)
の
滑
(
なめ
)
らかな大小。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白い
滑
(
なめ
)
らかな、朝霧を含んだ絹のような、はり切った皮膚を見る度に、彼は頬を摺りつけ、舐めてみたり、或は、そっと噛んでみたいような、激しい憧れを感ずるのです。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
三日月
(
みかづき
)
の
淡
(
あわ
)
い
光
(
ひかり
)
が
青
(
あお
)
い
波紋
(
はもん
)
を
大
(
おお
)
きく
投
(
な
)
げて、
白珊瑚
(
しろさんご
)
を
想
(
おも
)
わせる
肌
(
はだ
)
に、
吸
(
す
)
い
着
(
つ
)
くように
冴
(
さ
)
えてゆく
滑
(
なめ
)
らかさが、
秋草
(
あきぐさ
)
の
上
(
うえ
)
にまで
映
(
は
)
え
盛
(
さか
)
ったその
刹那
(
せつな
)
、ふと
立上
(
たちあが
)
ったおせんは
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
お吉の言ふ所では、迎への人が今朝着いたといふ事で、昨日上げた許りなのに誠に申譯がないけれど、これから直ぐお定を歸してやつて呉れと、言葉
滑
(
なめ
)
らかに願つてゐた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
船檝
(
ふねかじ
)
を具え飾り、さな
葛
(
かずら
)
という蔓草の根を臼でついて、その汁の
滑
(
なめ
)
を取り、その船の中の
竹簀
(
すのこ
)
に塗つて、蹈めば
滑
(
すべ
)
つて仆れるように作り、御子はみずから布の衣裝を著て
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
愈
(
いよい
)
よ不可思議な大和めぐりだと自ら
呆
(
あき
)
れる、しかしこの狸の舌はなかなかに
愛嬌
(
あいきょう
)
の
滑
(
なめ
)
らかだ。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
私たちは受け取ることの徳を得ないならば偉い人間とはいえない。人間と人間との接触の
滑
(
なめ
)
らかにゆかないのは一つは近代人が受け取ることの徳を持っていないからである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あの男は町人の伜だったが、
鞣
(
なめ
)
した皮のように
滑
(
なめ
)
らかだったよ。あの男は若いご家人だったが、足の力が強かったよ。あの男は下等な
船夫
(
かこ
)
だったが、胸が広くて厚かったよ。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たとえば、帯は
緞子
(
どんす
)
の帯ならば、その
滑
(
なめ
)
らかな地質がその物の如く現われ、また
緋鹿
(
ひが
)
の
子
(
こ
)
の帯上げならば、鹿の子に絞り染めた技巧がよく会得されるように精巧に試みました。
幕末維新懐古談:27 引き続き作に苦心したこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
マリーナは、合点合点をし、ダーリヤの
滑
(
なめ
)
らかな血色のよい頬を情をこめて撫でたたいた。
街
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
非常に素早い
滑
(
なめ
)
らかさですては起ち上って口元に手を
遣
(
や
)
り、手にべたつく一杯の血を草の間にぺっとりと吐きつけた、そしてなおぬたつく口元に手をやって、いそいで谷間に下りると
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
丘はいつもとは違つて見える——丘の雑木林の上には烏が群れて居た。うすれ日を上から浴びて、丘の横腹は、その凸凹が
研
(
と
)
ぎ出されたやうな丸味を見せて、
滑
(
なめ
)
らかに緑金に光つて居る。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
すると妻が彼の肩を軽く
叩
(
たた
)
いてくれた。それから、ふと思いがけぬところに、バスの乗場があり、バスは
滑
(
なめ
)
らかに山霧のなかを走った。——それはまだ昨日の出来事のように
鮮
(
あざや
)
かであった。
秋日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
このとき、
近
(
ちか
)
くの
水草
(
みずくさ
)
の
茂
(
しげ
)
みから三
羽
(
わ
)
の
美
(
うつく
)
しい
白鳥
(
はくちょう
)
が、
羽
(
はね
)
をそよがせながら、
滑
(
なめ
)
らかな
水
(
みず
)
の
上
(
うえ
)
を
軽
(
かる
)
く
泳
(
およ
)
いであらわれて
来
(
き
)
たのでした。
子家鴨
(
こあひる
)
はいつかのあの
可愛
(
かわ
)
らしい
鳥
(
とり
)
を
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
しました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
追っつけ三子の来そうなもの、と魚屋の名を
独
(
ひと
)
り
語
(
ごと
)
しつ、猪口を返して
酌
(
しゃく
)
せし後、上々吉と腹に思えば動かす舌も
滑
(
なめ
)
らかに、それはそうと今日の首尾は、大丈夫
此方
(
こち
)
のものとは
極
(
き
)
めていても
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
朝になって羅は起きようとしたが、
宵
(
よる
)
に女がこしらえてくれた着物は芭蕉のような葉であるから、とても着られないだろうと思いながら手にとって見ると、緑の錦のひどく
滑
(
なめ
)
らかなものであった。
翩翩
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
が、江戸ッ子のチャキチャキたる紅葉は泰然と澄ました顔をして、三人して食堂の卓を囲んだ。隣の卓では若い
岡倉天心
(
おかくらてんしん
)
が外国人と
相対
(
さしむか
)
いに
肉刺
(
フォーク
)
を動かしつつ巧みな英語を
滑
(
なめ
)
らかに
操
(
あや
)
つッていた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
百日紅
(
さるすべり
)
滑
(
なめ
)
ら
木肌
(
こはだ
)
のこぼれ日は花咲き足らひいとどしき搖れ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
何の苦も無く
自
(
おの
)
づから、
滑
(
なめ
)
らかにこそ動くなれ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
質、兩替の番頭といふよりは、歌舞伎役者にありさうな、柔かい
滑
(
なめ
)
らかさ、十九娘のお君が夢中になつてゐたのも無理のないことです。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その声はあおぞらの
滑
(
なめ
)
らかな石までひびいて行きましたが又それが波になって
戻
(
もど
)
って来たとき木霊はドキッとしていきなり
堅
(
かた
)
く胸を
押
(
おさ
)
えました。
若い木霊
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
別段食いたくはないが、あの
肌合
(
はだあい
)
が
滑
(
なめ
)
らかに、
緻密
(
ちみつ
)
に、しかも
半透明
(
はんとうめい
)
に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は父には渋面を向けても、手触りの
滑
(
なめ
)
らかな葉子には
諧謔
(
かいぎゃく
)
まじりに好意ある言葉を投げかけないわけに行かなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私の大好きな場處は、小川のちやうど中程に白々と
乾
(
かわ
)
いて現はれてゐる、
滑
(
なめ
)
らかな大きな石の上で、其處へは水の中を
跣足
(
はだし
)
で
渉
(
わた
)
つて行くより外はなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
しかし、呆れてしまった久助も、お雪も、この後家さんに
面
(
めん
)
と向えば、そのお世辞に魅せられて
滑
(
なめ
)
らかに話が合って、いい気持になるのが不思議なくらいです。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
滑
常用漢字
中学
部首:⽔
13画
“滑”を含む語句
滑稽
滑々
滑車
滑川
上滑
滑石
円滑
滑走
滑稽談
滑脱
潤滑油
滑稽感
狡滑
地滑
氷滑
滑稽雑談
滑稽納所
滑稽劇
滑落
滑稽的
...