“したあご”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
下顎65.8%
下頤18.4%
下腭5.3%
下腮5.3%
下顋5.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
佐八は眠っているらしかったが、眼も薄くあいているし、口は下顎したあごが外れでもしたように、力なくがくりとあいていた。
紳士 口でな、う其の時から。毒蛇どくじゃめ。上頤うわあご下頤したあごこぶし引掛ひっかけ、透通すきとおる歯とべにさいた唇を、めりめりと引裂ひきさく、売婦ばいた。(足を挙げて、枯草かれくさ踏蹂ふみにじる。)
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
眼はぱっちりしてまゆも濃く生際はえぎわもよいので顔立は浮彫うきぼりしたようにはっきりしている代り口のやや大きく下腭したあごの少し張出している欠点も共に著しく目に立って愛嬌あいきょうには至って乏しくうれいもまずきかぬ顔立であった。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「……万里泊舟天草灘ばんりふねをはくすあまくさのなだ……」と唯口のさきだけ声を出して、大きく動かしている下腮したあごの骨が厭に角張って突き出ている。斯うして見れば年も三つ四つ老けて案外、そう標致きりょうも好くないなあ! と思った。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
と見ると茶店の方から古びた茶の中折帽なかおれぼうをかぶって、れいくせ下顋したあごを少し突出し、れ手拭を入れた護謨ごむふくろをぶらげながら、例の足駄あしだでぽッくり/\刻足きざみあしに翁が歩いて来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)