肉腫にくしゅ
「残念ながら、今となっては手遅れだ。もう、どうにも手のつけようが無い」 私は、肌脱ぎにさせた男の右の肩に出来た、小児の頭ほどの悪性腫瘍をながめて言った。 「それはもう覚悟の上です」と、床几に腰かけた男は、細い、然し、底力のある声で答えた。「 …