わけ)” の例文
新字:
ところで、どういふわけで、そんな子ともの私が寫眞しやしんなどはじめるやうになつたかといへば、そのころわたしは、三宅克巳氏ちよの「せう寫眞術しやしんじゆつ
どうも、そうさんもあんまり近頃ちかごろ御出おいででないし、わたし御無沙汰ごぶさたばかりしてゐるのでね、つい御前おまへこと御話おはなしをするわけにもかなかつたんだよ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
拜借はいしやく仕つり度是迄推參すいさん候といふに強慾がうよく無道ぶだうの天忠和尚滿面まんめんゑみふくみ夫は重疊ちようでふの事なりさてわけは如何にと尋ぬるに大膳はひざすゝめ聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしときよりまぐれをおこすはひとのするのではくてみなこゝろがらのあさましいわけがござんす、わたし此樣こんいやしいうへ貴君あなた立派りつぱなお方樣かたさま
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一時頃いちじごろまで、みな戸外おもてすゞんでて、なんさわかただらう、何故なぜあゝだらう、からすふくろおどろかされるたつて、のべつにさわわけはない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何の目的も無く生まれたからツて………何さ、むでもらツたからと謂ツて、其れがかならずしも俺の尊嚴そんげんどろを塗るといふわけではあるまい。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
只今生れたりと云ふことを知て來たものでないから、いつ死ぬと云ふことを知らう樣がない、それぢやに因つて生と死と云ふわけがないぞ。
遺教 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
するとくまさんが、『發句ほつくツてそんなもんですかい、ぢやわけアねえ』とふので、『たまのでんぐりかへるあしたかな』とやりだす。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
「それでもまきつてわけにもかねえからいてつちやつた」勘次かんじみづかあざけるやうにからくちけてつめたいわらひうごいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何卒どうぞ是非ぜひ一ついていたゞきたい、とふのは、じつ然云さういわけであるから、むしろきみ病院びやうゐんはひられたはう得策とくさくであらうとかんがへたのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
湯原ゆがはら温泉をんせんぼくになじみのふかところであるから、たとひおきぬないでもぼくつて興味きようみのないわけはない、しかすでにおきぬつたのちぼくには
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
何故なぜこんなに苦しめられねばならないか? その後何年つたか、わざと云はない——今になつて、私は、そのわけが、はつきり判つて來た。
「どうだい、これは、自分じぶんはまあなんといふ幸福者しあはせものだらう。こんやは、それこそおも存分ぞんぶんはらぱいうまい生血いきちにありつけるわけだ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
あいちやんはなにからなにまで可笑をかしくてたまりませんでした、がみんそろひもそろつて眞面目まじめくさつてるので、眞逆まさか自分じぶんひとわらわけにもきませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
時間の都合で、博士が飯を食はずに出て行くことがあると、母君は數日間悔むのである。さういふわけで、今朝けさも湯の小言を言つたのである。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
途法もない馬鹿氣た想像かも知れませんが、あまりの靜けさと、明さと、暖さとに、わたしは自分ながらわけのわからない事を空想しはじめたのです。
畦道 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
これけつして責任せきにんらぬわけではい、物事ぶつじ無頓着むとんちやくわけでありません。習慣上しふくわんじやう缺點けつてんであらうとおもひます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
なにもそれを目的もくてきといふわけではなかつたが、三十六ねんの六ぐわつ二十三にちであつた。望蜀生ぼうしよくせいとも陣屋横町ぢんやよこちやう立出たちいでた。
これは勿論もちろん大正たいしやうねんぐわつ十二にち以來いらい實行じつかうせられたるきん輸出禁止ゆしゆつきんし解除かいぢよせられずしたがつ通貨つうくわ適當てきたうなる調節てうせつ物價調節ぶつかてうせつおこなはれざるに原因げんいんするわけではあるが
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
しかしをとこころさずとも、をんなうばこと出來できれば、べつ不足ふそくはないわけです。いや、そのときこころもちでは、出來できるだけをとこころさずに、をんなうばはうと決心けつしんしたのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
今の私には、その氣持ちがかなりはつきり理解できるが、當時は、それを怜悧な保身術と解し、京阪かみがたの人間としての本性とむすびつけて考へないわけにいかなかつた。
「鱧の皮 他五篇」解説 (旧字旧仮名) / 宇野浩二(著)
私のはいつのにかわきしたくゞつてゐました。私は東明館前とうめいくわんまへからみぎれて、わけもなくあかるくにぎやかなまち片側かたがはを、店々みせ/\うて神保町じんぼうちやうはうへと歩いて行きました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
妖怪えうくわい研究けんきうつても、べつ專門せんもん調しらべたわけでもなく、またさういふ專門せんもんがあるやいなやをもらぬ。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
云はないで濟むわけのものでない、その仔細をはつきりと云へ。女が一旦他家へ嫁入りをした以上は、むやみに離縁なぞすべきものでも無し、されるべき筈のものでもない。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
硫黄澤は大分惡い澤で、徒渉はわけはないが積み重なる岩石や、流水が可成りに大きくて馬鹿には出來ない。口元から三四町にして左に澤が𢌞りこむと幾らか平らとなつた。
黒岩山を探る (旧字旧仮名) / 沼井鉄太郎(著)
ほー、えれいいきほひだ、一方いつぽうでは輕氣球けいきゝゆうこしらへながら、海底戰鬪艇かいていせんとうてい豫定通よていどうりに竣成しゆんせいしたとなると、吾等われら馬鹿ばかつたあひだに、大佐閣下たいさかくかも、その水兵すいへいどもも、ないではたらいたわけだな。
かつまたこれまでのこよみにはつまらぬ吉凶きつきやうしる黒日くろび白日しろびのとてわけもわからぬ日柄ひがらさだめたれば、世間せけんこよみひろひろまるほど、まよひたねおほし、あるひ婚禮こんれい日限にちげんのばし、あるひ轉宅てんたくときちゞ
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
それがどうしたわけかその店頭みせさきの周圍だけが妙に暗いのだ。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
わけわかるくらゐなら、別の名がつく。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
見るなとかたせいせしは如何なるわけかとしきりに其奧の間の見まほしくてそつ起上おきあがり忍び足して彼座敷かのざしきふすま押明おしあけ見れば此はそも如何に金銀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うもゆるみますと、到底とてももとやうしまわけにはまゐりますまいとおもひますが。なにしろなかがエソになつてりますから」とつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そんなわけ伊豆いづ山からかへつてくると、早速家の近くに通ひの球突塲たまつきばを見つけて、さすがに學校をまつたくエスするといふほどではなかつたが
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
かれなにかにだまされたあとのやうに空洞からりとした周圍しうゐをぐるりと見廻みまはさないわけにはいかなかつた。かれ沿岸えんがん洪水後こうずゐじ變化へんくわ驚愕おどろきみはつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ッちやんは最早もうオイ/\いてばかりゐて、なんにもはないので、怪我けがをしたのかしないのか一かうわけわかりませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
遠方ゑんほう左遷させんことまり今日けふ御風聽ごふいてうながらの御告別いとまごひなりとわけもなくいへばおたみあきれて、御串談ごじようだんをおつしやりますな
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
折角せつかく、お大事だいじになせえよ。おいらは、これでやつと蘇生いきかへつたわけさ。まるで火炮ひあぶりにでもなつてゐるやうだつたんでね」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
それゆゑ規則きそくでやつたこと何處どこへも通用つうようするといふわけにはまゐりません。矢張やはり本人ほんにん獨立心どくりつしんまかせなければなりません。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
これを解禁後かいきんご推定相場すゐていさうば四十九ドルぶんの三と比較ひかくするとわづかに一ドルらずとなつて一わりさがつてつた爲替相場かはせさうばは九回復くわいふくしたわけであつて
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
なに那樣そんなよろこぶのかわたくしにはわけわかりません。』と、院長ゐんちやうはイワン、デミトリチの樣子やうす宛然まるで芝居しばゐのやうだとおもひながら、また其風そのふうひどつてふた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
季子すゑこは省線市川驛の待合所にはいつて腰掛に腰をかけた。然し東京へも、どこへも、行かうといふわけではない。
或夜 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
新夫人は頗る不服であつたが、娵に來た當座で、まだ遠慮勝であるので、兎も角もといふわけでついて行つた。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
たまには、こんなことをしてゐて結局けつきよく馬鹿ばかるのぢやたまらないとかんがへたこともあつたが、モウ二ヶげつあまりつゞけてると、今更いまさらやめるわけにはどうしてもかない。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
何卒御返濟いたし度、色々手段を𢌞めぐらし候得共、頓と御返べん之道も不相付而已のみならず、利息さへもわづか一年ぐらゐ差上候而已のみにて、何とも無わけ仕合に御座候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
彼女かのぢよいままでのくゐは、ともすればわけたてかくれて、正面まとも非難ひなんふせいでゐたのをつた。彼女かのぢよいま自分じぶん假面かめん引剥ひきはぎ、そのみにくさにおどろかなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
少しきよろつき氣味で、「成程こりや考へて見なければならん問題だ。俺等おれたちはたゞ生まれて來たのじやあるまいからな。然うさ、何か意味がなくつちやならんわけだ。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
これもつて、あのかたが、一寸ちよつとにはへもなさらないわけわかりました、おみもちでござりますよ。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
以上いじやう大體だいたい化物ばけもの概論がいろんべたのであるが、これ分類ぶんるゐしてるとどうなるか。これはなはだ六ヶしい問題もんだいであつて、見方みかたによりおの/\ことなわけである。差當さしあた種類しゆるゐうへからの分類ぶんるゐべると
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
『これではおそて、それですこしもらないものが、一ばん勝利しやうりわけですね』
わたしはこのままあなた一人ひとり、おのこまをわけにはまゐりません。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
たゞわけもなく考想かんがへてうちにふとおもうかんだ一事ことがある。