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其譯
するぞ
而て藤兵衞が
所持の脇差を如何の譯で汝ぢが手に
入たるぞサア/\
其譯白状すべしと
問詰られて彌十は
苦痛に
堪兼迚も免れぬ處と覺悟を
此度の
改暦にても
其譯を
知らずして十二月の三日が正月の
元日になると
計りいふて、
夢中にこれを
聞き
夢中にこれを
傳へなば
實に
驚くべき
事なれども、
平生より
人の
讀むべき
書物を
讀み
それは
何ぞのお
間違ひなるべし
私お
客樣にお
懇親はなし
池の
端よりお
供せしに
相違は
無けれど
車代賜るより
外に
御用ありとは
覺えず
其譯仰せられて
車代の
頂戴お
願ひ
下されたしと
一歩も
動かんとせぬ
芳之助を