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其年
それも縁なら是非なしと愛に
暗んで男の性質も
見分ぬ長者のえせ
粋三国一の
狼婿、取って
安堵したと知らぬが仏様に
其年なられし跡は
其年の
京都の
冬は、
音を
立てずに
肌を
透す
陰忍な
質のものであつた。
安井は
此惡性の
寒氣に
中てられて、
苛いインフルエンザに
罹つた。
欺き
取仕合よしと
微笑合是を
斯してあゝしてと
奢る事
而已談合けり
偖其年も
暮明れば
享保九年春も三月と
成しに
江戸中大火に付此白子屋も
諸侯方を
始め
多分の
用を