仔細わけ)” の例文
ロレ (傍を向きて)それはおそうせねばならぬ仔細わけが、此方こちわかってをらなんだらなア!……あれ、御覽ごらうぜ、ひめ此庵こゝにわせられた。
すると又そのうちに吾輩がタッタ一人で、淋しい絶影島まきのしまの離れ家に引込んだ話を風の便りに聞いたので、これには何か仔細わけが在りそうだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
来て見るとの始末で、仔細わけは知らぬが七兵衛老爺じじいの箒のもとに、一人の女が殴り倒されているので、めずにはられぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「妙に仔細わけがありさうで氣を揉ませるぢやありませんか。いきなりあの家へ當つて見ませうか、十手を見せて締め上げれば、わけはありませんよ」
何か仔細わけがありそうでしたけれど、義姉は何時も私には詳しいことは言いませんし、私も訊かないようにしていました。
土から手が (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
お役人によく仔細わけを話して、そうでなければほかにその道の人を頼んで、兵馬さんを助けるようにして上げてくださいまし、おかみの牢内から盗み出すなんて
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
なにそれは店の手代に粂之助というい男があるから事にったらあの好い男と仔細わけでもありはしないか、と云いもしまいが、ひょっとして其様なことを云われた日には
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「——そういえば真中まんなかのはなかったよ、……朝になると。……じゃあ何か仔細わけがあるのかい。」
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
早い話が、この戸部近江之介を筆頭ひっとうに御書院番の一同である。もっとも、これには色いろ仔細わけのあることだが、いったい普段から総がかりで新役の神尾喬之助につらく当ってよろこんでいる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
にはたすくるひとし、此小このちいさきすてたまふに仔細わけはあるまじ、美事みごとすてゝ此家このいゑきみものにしたまふおか、りて見給みたまへ、れをばてゝ御覽ごらんぜよ、一ねん御座ござりまするとて、はたと白睨にらむを
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこでヤット仔細わけがわかりかけた呉青秀は、芬子さんを取り落したまま、いた口がふさがらずにいると、その膝に両手を支えた芬子さん
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「妙に仔細わけがありそうで気を揉ませるじゃありませんか。いきなりあの家へ当ってみましょうか、十手を見せて締め上げれば、わけはありませんよ」
救いにきたった人々に仔細わけを話して、七兵衛も共々に其処そこらを尋ね廻ったが、何分にも暗黒くらがりと云い、四辺あたりには森が多いので、更に何の手懸てがかりも無かった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
仔細わけがあるんだ、あの坊さんに意趣も遺恨もあるわけじゃあねえが、頼まれたことが一つあるんだ、それは名前は言わねえが、ほかの宗旨の奴から頼まれたというのは、これがんりき
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ろくでなしの和郎わろめが!……(ロミオに對ひて)もし/\、貴下こなたさまえ、最前さいぜんまうしましたが、わしひいさまが、貴下こなたさがしていとの吩咐いひつけでな、その仔細わけあとにして、うてくことがござります
清「いゝや左様でねえ、是には深い仔細わけのある事だろう」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それは、兄さん、仔細わけはないじゃありませんか。」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
してその先祖はなぜこの三ツのものを悪魔だとめたのか。この三ツのものを悪魔とめるには何か深い仔細わけがあるのか。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「でも、狂人きちがいになるには何か仔細わけがあるでしょう。」と、冬子は目眦まなじりげて追窮ついきゅうした。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「お騷がせして何んとも相濟みません。が、これには深い仔細わけがございます」
はやうせねばならぬ仔細わけを、なん會得ゑとくめされたか?
「あら、うすれば仔細わけはないよ。」
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なぜそのようにふるえるのだ。なぜその仔細わけを俺に隠すのだ。一体貴様のる事は俺にはちっとも訳が解からぬぞ。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「なるほど、仔細わけがありそうだ。詳しく聴きましょうか」
「あら、こうすれば仔細わけないよ。」
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
奥さんが仔細わけを尋ねるもなく立ち上って、帽子を冠って、新しい靴下の上から、古い庭穿にわばきを突かけると、自転車にまたがりながらドンドン都の方へ走り出した。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「成程、仔細わけがあり相だ。詳しく聽きませうか」
けれども義兄にいさんの方は、そんな模様がないばかりか、絵をく道具をスッカリ持ち出していらっしゃる様子……これには何か深い仔細わけがある事と思いながら
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
仔細わけが無くて、只無暗にこのような重宝なものを悪魔だとさだめるわけはあるまい。その仔細わけを云え
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
ストーン氏はこの言葉を聞くとやっと仔細わけ判然わかったらしく点頭うなずいた。けれども、それと同時にいよいよこの女に興味を持ち初めたらしく身体からだをすこし乗り出して来た。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ヘエ。飛んでもない。それにはチットばかり仔細わけが御座いますんで……ヘエ。実はこの間、旦那様からどこか涼しい処に別荘地はないかと、お話が御座いましたので……」
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ハハハ。今の門下で皆伝を許いた者はまだ一人もない。その仔細わけが解かったかの……」
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「そうです。その仔細わけをお話ししますから……ドウゾ……ドウゾ……聞いて下さい」
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「……と云うてもわかるまいが……これには深い仔細わけがあるのじゃ」
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それは斯様かよう仔細わけで御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)