“難(むづか)” の例文
健は待つてましたと言はぬ許りに急に難(むづか)しい顏をして、霎時(しばし)、昵と校長の揉手をしてゐるその手を見てゐた。そして言つた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
眞個(まつたく)難(むづか)しい問題である。周三が腦味噌(のうみそ)の壓搾(あつさく)するのも無理は無い。幾ら壓搾したと謂ツて、決して彼の期待するやうな名案(めいあん)は出て來はしない。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『ナニ、少(ちつ)とばかりは進上(あげ)られないッて』と帽子屋(ばうしや)が云(い)つて、『何(なん)にも無(な)いのを呉(く)れるのは難(むづか)しいけど、澤山(たくさん)有(あ)るのを呉(く)れるのは容易(ようい)なことだ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
いと難(むづか)しと思ひながらも、かくては果てじと、遊佐は気を取直して下り行くなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
都會では難(むづか)しいものに見える愛の方法も、至極簡單なものでいいことを會得させる田舍暮らしよ! 一人の少女の氣に入るためには、かの女の家族の樣式(スタイル)を呑み込んでしまふが好い。
麦藁帽子 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
まづ何(なに)よりも原書(げんしよ)の讀書力(どくしよりよく)に乏(とぼ)しいのは意外(いぐわい)でありました。それで授(さづ)ける讀本(とくほん)は難(むづか)しいのかといふのに、决(けつ)してさう難(むづか)しい書物(しよもつ)ではありません。西洋(せいやう)では高等小學校(かうとうせうがくかう)の程度位(ていどぐらゐ)でせう。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
「癒るでせうか、難(むづか)しいでせうか」といふ質問に對して
「もう難(むづか)しいか?」とメイスン氏が呟(つぶや)いた。
趣味(しゆみ)も一致(いつち)しなければ理想も違ふし、第一人生觀が違ふ………、おツと、またお前の嫌(いや)な難(むづか)しい話になツて來た。此樣(こん)なことは、あたら口(くち)に風(かぜ)といふやつなのさ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
何事(なにごと)も自分(じぶん)で勇氣(ゆうき)を起(おこ)し、難(むづか)しい事(こと)でも分(わか)らない事(こと)でも何(なん)でも自分(じぶん)が主(しゆ)に成(なつ)てする氣(き)でなければ决(けつ)して物(もの)は上達(じやうたつ)しません。どうも今日(こんにち)の女學生(ぢよがくせい)には兎角(とかく)、自主獨立(じしゆどくりつ)といふ心(こゝろ)に乏(とぼ)しいであります。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
愛(あい)ちやんは忽(たちま)ちそれが實(じつ)に難(むづか)しい競技(ゲーム)だと云(い)ふことを思(おも)ひ定(さだ)めました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)