むずかし)” の例文
それに対して抵抗し反撥することはむずかしかった。理不尽に陥ってまでもそれをあえてすることはないとかれは思っていたからである。
子として父のおもかげを写して見ようとする場合にすらそれだ。まして他の人の俤をやである。それにつけてもつくづく創作のむずかしいことを知る。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
門口かどぐちまで送り、母なる人が一寸ちょっと上って茶を飲めと勧めたを辞し自宅へと帰路にきましたが、或むずかしなぞをかけられ、それを解くと自分の運命の悲痛がことごと了解わかりでもするといったような心持がして
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
大分だいぶ談判がむずかしかッたと見えますネ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
つくづく岸本は自分の現状を打破することのむずかしいのを思った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)