)” の例文
火の風にれて家から家に移つて行くいきほひ、人のそれを防ぎねて折々発する絶望の叫喚さけび、自分はあの刹邪せつなこそ確かに自然の姿に接したと思つた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
私には詳しい事は判りねますけれども、若し天一坊を公方様の御胤と認める時は、必ず天一坊は相当の高い位につかれるに相違ございませんのです。
殺された天一坊 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
その手に属したお茶ッぴい連も一人去り二人さりして残少のこりずくなになるにつけ、お勢も何となく我宿恋しく成ッたなれど、まさかそうとも言いねたか、漢学は荒方あらかた出来たとこしらえて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
食すべき「たのみ」のえさがないから、蛇奴も餓死うえじにに死んでしまいもしようが、なまじいの花くだし五月雨さみだれのふるでもなくふらぬでもなく、生殺なまごろしにされるだけに蛇奴も苦しさに堪えねてか
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)