むつ)” の例文
むつかしい仕事をひきうけて、それを成るべく疲れないで仕遂げようとする前の晩は、西枕で寝るのが一番いいとしてあります。
此方こつちへお出でなはツとくれやす。』と女は、むつかしい字の書いてある唐紙からかみを開けて、二人ふたりを次ぎの十疊へいざなふた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
私にはわかりません——それを申上げるのはむつかしうございます——決して目につく程の事ではございませんけれど、あの方が、あなたに物を仰しやればお解りになりますよ。
むつかしい書物を手にしている。
今世風の教育 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
自分でなくてはその解決はむつかしいとさへ思つてゐたが、門を出る時には、これからの日本は何よりも教育が大事だと思ひ込んでゐたらしかつた。
しかし私の云ひ度いことを口に云ひ現はすのはむつかしい。フアンディンは、あなたも知つてるやうに、物の音などはかすかになつてこだまして消えてしまふやうな深い森にうづもれてゐるのだ。
何故といつて、倫理はそれを実地に行ふのには随分むつかしい事も多いが、唯講義するだけなら、書物とそして静かな聴衆ききてさへあつたら十分なのだから。
そして台所の附近まはりをうろ/\捜し廻つてゐたが、お茶が入れてないのを見ると、急にむつかしい顔をして薬鑵やくわんの湯を台所一杯にぶちけて引き揚げて往つた。
居合はす実業家達は、このむつかしい漢語ことばを聞くと、また感心したやうに一斉に首をつた。勝田蔵相は苦し紛れに「犬馬」のやうにあんぐり口をけて笑つた。
海洋自由の問題が、英国と米国との間にどうやらむつかしいこだはりを拵へさうになつて来た。
い小僧をさがすのは、い主人を捜すよりもずつとむつかしい。い主人に出会つた小僧は、無論仕合せには相違ないが、い小僧に出会つた主人の仕合せとは比べものにならない。
「短い演説はむつかしいものだとむかしから言ひ伝へてきたものだが、わしはずつと以前ほんとに短い演説で、すばらしく立派なのをやつたことがあつた。演説はたしかに大受おほうけだつたよ。」
ひとには何かとむつかしい事をさせたがるものだ。
可哀かあいさうに生活くらしむつかしいんだわ。」