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虞
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おそ
ふりがな文庫
“
虞
(
おそ
)” の例文
これに乗じて城兵は、城外へ押し出して敵を追跡し、これを殲滅しようとしたけれど、伏兵の
虞
(
おそ
)
れありとなし、謙信はこれを制止した。
老狸伝
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
このもの
凄
(
すご
)
い
虞
(
おそ
)
れが昼も夜も私を悩ました。昼はそのもの思いの
呵責
(
かしゃく
)
がひどいものであったし——夜となればこのうえもなかった。
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
しかも駈け出しては足音を聴かれる
虞
(
おそ
)
れがあるので、お琴はまた二人にささやいて、息の声さえも洩れないように、両袖で口を掩った。
半七捕物帳:55 かむろ蛇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
已に私はそれを
虞
(
おそ
)
れたのだが、春泥はこの静子の純情を知るに及んで、一層激しい嫉妬を感じ、同時に身の危険をも悟ったに相違ない。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もしまた運送の人夫が
倒様
(
さかさま
)
に櫃を置いたり、あるいは投げ出しでもしたなら、それこそ大変、生命の危険にも立ち及ぶ
虞
(
おそ
)
れがある。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
▼ もっと見る
路面に転っていると、群衆に踏みつぶされる
虞
(
おそ
)
れがあるので彼は
痛手
(
いたで
)
を
堪
(
た
)
えて、じりじりと、
商家
(
しょうか
)
の軒下へ、虫のように
匍
(
は
)
っていった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今君が誰だという事がわかると、今云った通り飛んでもない錯覚に陥って、吾輩の実験をメチャメチャに打ち壊す
虞
(
おそ
)
れがあるんだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今回両方に
温泉
(
ゆ
)
が涌いたのは天が東西引佐を結合させる為めだろうと思うけれど、却って両村繁栄を競って益〻醜態を演じる
虞
(
おそ
)
れがある。
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ここまで話すと、電車が品川へ来た。自分は新橋で下りる
体
(
からだ
)
である。それを知っている友だちは、語り
完
(
おわ
)
らない事を
虞
(
おそ
)
れるように、時々眼を
片恋
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
惜しむべきのはなはだしきなり。むかし水戸義公は日本諸寺社の古文書を写させ、水災を
虞
(
おそ
)
れて一所に置かず、諸所に分かち置かれしという。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それは青空に
一抹
(
いちまつ
)
の黒雲を望み見て、雨の襲来を
虞
(
おそ
)
るる旅人の心と同じ虞れであって、心より払わんとするも払い得ない一種の雲影であった。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
開けてはならない函の
蓋
(
ふた
)
を開けてしまったのである。これは人類滅亡の第一歩を踏み出したことになる
虞
(
おそ
)
れが十分にある。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
根附の材料は種々あるので、日本は良材が多いのですから、
檜
(
ひのき
)
などよく使われましたが、その質が余り硬くないので、磨滅する
虞
(
おそ
)
れがあります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
その約に
負
(
そむ
)
かざらんことを
虞
(
おそ
)
るる者と、恩中に恩を顧みざる者とは、おのおのその務むべきところを務むるに
専
(
もっぱら
)
なりき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又
嘗
(
かつ
)
て曰く、西北の辺務は、一に
以
(
もっ
)
て
卿
(
けい
)
に
委
(
ゆだ
)
ぬと。其の材武称許せらるゝ
是
(
かく
)
の如し。タメルランの
来
(
きた
)
らんとするや、帝また別に
虞
(
おそ
)
るゝところあり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
病気を
虞
(
おそ
)
れるお銀の心着けで、机のなかには箸箱に箸もあったし、飯食い茶碗も紙に包んで持って来たのであったが、それはそのままにしておいた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
たとひ
四邊
(
あたり
)
に
火災
(
かさい
)
の
虞
(
おそ
)
れがないように
考
(
かんが
)
へられた
場合
(
ばあひ
)
に
於
(
おい
)
ても、
遠方
(
えんぽう
)
の
火元
(
ひもと
)
から
延燒
(
えんしよう
)
して
來
(
く
)
ることがあるからである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
それでもパストゥールは危険を
虞
(
おそ
)
れて大いにためらいましたが、ついに同情の念に動かされてその治療を試みることに決心し、予防接種を行いました。
ルイ・パストゥール
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
お千代は十二時になったのを知って、店の内はまだしまわずにいたが電車のなくなるのを
虞
(
おそ
)
れて一人先へ外へ出た。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼女と親しい交際が出来そうにでもなったらば、絶えず想像をたくましゅうしている彼の気まぐれが、いつか真実性を帯びて来る
虞
(
おそ
)
れがあるからである。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
成効するにしても、病院を出た
後
(
あと
)
でなければ会う訳に行かないんだから、遅くなる
虞
(
おそ
)
れがあると津田が注意した時、お延はまた意外な返事を彼に与えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それは危險な主義ぢやございませんか。だつて、
濫用
(
らんよう
)
される
虞
(
おそ
)
れがあるといふことが直ぐに分りますから。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
これは豪雨のときに氾濫する
虞
(
おそ
)
れの多い溪の水からこの温泉を守る防壁で、片側はその壁、片側は崖の壁で
温泉
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
なんとなれば、数において非常に違ったものの対立は、いつか優勝劣敗の破綻を来たす
虞
(
おそ
)
れがあるからです。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
相当に馬を
譴責
(
けんせき
)
することでしょう——もし、乱暴の主人でしたなら、危険の
虞
(
おそ
)
れある
荒
(
あば
)
れ馬として、売り飛ばすか、つぶしにすることか知れたものではない。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その氷の山に
対
(
むこ
)
うて居るような、骨の
疼
(
うず
)
く
戦慄
(
せんりつ
)
の快感、其が失せて行くのを
虞
(
おそ
)
れるように、姫は夜毎、鶏のうたい出すまでは、殆、祈る心で待ち続けて居る。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
……そこで俺は思うのだ、いつお主が、隠者のような生活から脱け出して、俺を強請りに来はしまいかとな。この
虞
(
おそ
)
れをなくすにゃア、お主をこの世から……
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、軽輩が、信じている如き天下となれば、当然、そうした天下にした功労は、軽輩の手に移って、自分らの現在の地位は、逆になる
虞
(
おそ
)
れがあった。だから
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
自分
(
じぶん
)
の一
時
(
じ
)
の
心理
(
しんり
)
を
標準
(
へうじゆん
)
とし、
之
(
これ
)
を
正
(
たゞ
)
しいものと
獨斷
(
どくだん
)
して、
他
(
た
)
の一
時
(
じ
)
の
心理
(
しんり
)
を
否認
(
ひにん
)
することは
兎角
(
とかく
)
誤妄
(
ごもう
)
に
陷
(
おちい
)
るの
虞
(
おそ
)
れがある。これは
大
(
おほい
)
に
考慮
(
かうりよ
)
しなければならぬ
事
(
こと
)
である。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
果して自由なるものが
如何
(
いか
)
なる権利あるいは権力であるかを了解する者が少くないかを
虞
(
おそ
)
れる。
デモクラシーの要素
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
将来またこうした強請に合うのを
虞
(
おそ
)
れましたので、その男のいう通り南米へ行って必ず二度と英国へ足踏みしないという誓を立てれば、お金をやっても可いといったのです
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
しかし一言の下にこの理窟を打ち破つてしまつては彼は面目を失ふことの代りに話は手切れになつてしまふ
虞
(
おそ
)
れを思つて見た。で白川はさぐりをいれるつもりでかう云つた。
瘢痕
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
あなたが私と口をきいて、もしそれがヒンクマン氏に聞こえると、どうしてあなたが独り言をいっているのかとおもって、この部屋へうかがいに来る
虞
(
おそ
)
れがありますから……
世界怪談名作集:17 幽霊の移転
(新字新仮名)
/
フランシス・リチャード・ストックトン
(著)
唯敢
(
ただあへ
)
てこれを
為
(
せ
)
ざるは、
窃
(
ひそか
)
に望は
繋
(
か
)
けながらも、行くべき
方
(
かた
)
の
怨
(
うらみ
)
を解かざるを
虞
(
おそ
)
るる
故
(
ゆゑ
)
のみ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
古人にして
然
(
しか
)
り、今所証の浅き予にして悟を説かんとす、説く
所或
(
あるひ
)
は其の一膜を
剥
(
は
)
ぎ、更に其の一膜を剥ぎ、かくして永久竟に人をして其の核心に達せざらしめんことを
虞
(
おそ
)
る。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
そしてまごまごしていれば両側二三十間の高さから霜解のために落ちて来る岩石に打ち砕かるる
虞
(
おそ
)
れがあるので、已むなく異常な決心をしてその亀裂の中を匍い登ったのであった。
みなかみ紀行
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
肺病患者の泊った室へ寝てさえ伝染の
虞
(
おそ
)
れがあるというのに狭い室内で肺病患者の吐き出した空気を呼吸してその上に啖の中の細菌を舞上げられてはこれほど危険な事はありますまい。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
われらの本質の成長の原動力はもっと奥深いところにある。私はこれらのものがその原動力を活発ならしむことに役立たずして、むしろこれを萎微せしむる結果をきたすことを
虞
(
おそ
)
れる。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
また
遁
(
に
)
げられては大変だという
虞
(
おそ
)
れで、心が一杯になった浩は、恥も外聞も忘れて、四這いになるほど体をかがめ、どんなに昼見たら穢いか分らない道の片側にぴったり身を引きそばめて
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
前
(
まへ
)
には
此横穴
(
このよこあな
)
の
前
(
まへ
)
まで、
參詣人
(
さんけいにん
)
を
寄
(
よ
)
せたのであるが、それでは
線香
(
せんかう
)
で
燻
(
くす
)
べたり、
賽錢
(
さいせん
)
を
投付
(
なげつ
)
けたりするので、
横穴
(
よこあな
)
の
原形
(
げんけい
)
の
毀損
(
きそん
)
する
虞
(
おそ
)
れが
有
(
あ
)
る
爲
(
ため
)
に、
博士
(
はかせ
)
は
取調上
(
とりしらべじやう
)
の
必用
(
ひつよう
)
から、
先日
(
せんじつ
)
警察
(
けいさつ
)
に
交渉
(
かうしよう
)
し
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ちやうど隣村へ嫁入つてゐる姉の眼が少し悪くて
姑
(
しうと
)
の小言の種になつてゐた際で、眼病が一家の疾のごと断定されはしまいかとの
虞
(
おそ
)
れから、母は私の
伊達
(
だて
)
眼鏡を嫌ひ
厭味
(
いやみ
)
のありつたけを言つたが
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
やはり真実を
歪
(
ゆが
)
めるような見かたをすることもあろうし、いずれにしてもおちついた学問的の研究の妨げられる
虞
(
おそ
)
れがないでもないから、このようにして呼びさまされた研究が真の研究の道を進み
日本歴史の研究に於ける科学的態度
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
延せば他から養子を迎えるという
虞
(
おそ
)
れに過ぎぬようでした。
暴風雨の夜
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
今に奥から、呼びに来はしまいかと
虞
(
おそ
)
れて。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこをいつまでも徘徊しているのは、人の目に立つ
虞
(
おそ
)
れがあるので、半七はここで源次に別れて、ひとまず引き揚げることにした。
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
早いところ地上との通信連絡を回復しておかないと、気球がどこへ流れていったか、
皆目
(
かいもく
)
手懸
(
てがか
)
りがなくなる
虞
(
おそ
)
れがあるのである。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
うっかりすると謀殺か強盗の
廉
(
かど
)
で首を絞められるかも知れない
虞
(
おそ
)
れが十分にある。そんなにまで恐しい事件にタッタ一人で触れて来たのだ。
けむりを吐かぬ煙突
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
姑息
(
こそく
)
な手段は却って発覚の
虞
(
おそ
)
れがある。そこであなたは内臓を害するとか、指を切るという様な常套手段を排して、思い切った方法を選んだ。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
アリヤヌスの『
印度記
(
インジカ
)
』に、ヘラクレス老いて一女あったが相当な婿なし、王統の絶ゆるを
虞
(
おそ
)
れ自らその娘を
妻
(
めと
)
ったとある。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
妖怪変化は、そのまま葬っては、幽冥界から再び帰ってくる
虞
(
おそ
)
れがある。まず皮を剥いで取って置き、
骸
(
むくろ
)
は油をかけて焼いてしまえ、これ者共。
純情狸
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
虞
常用漢字
中学
部首:⾌
13画
“虞”を含む語句
虞美人草
虞翻
英虞
虞氏
虞美人
虞舜
数行虞氏
疑虞
虞初
危虞
虞候
上虞
不虞
伊良虞
伊良虞岬
伊良虞能島之
虞林
虞書暦象俗解
虞廷
虞姫
...