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參詣人
參詣人へも
愛想よく
門前の
花屋が
口惡る
嚊も
兎角の
蔭口を
言はぬを
見れば、
着ふるしの
浴衣、
總菜のお
殘りなどおのずからの
御恩も
蒙るなるべし
圖らず
迷信家の
信仰心を
喚起し、
或は
又山師輩の
乘ずる
處となつて、
忽ちの
間に
評判大評判『お
穴樣』と
呼び『
岩窟神社』と
唱へ、
參詣人引きも
切らず。
東の
門から
入つて、
露店と
參詣人との
雜沓する
中を、
葵の
紋の
幕に
威勢を
見せた
八足門の
前まで
行くと、
向うから
群衆を
押し
分けて、
脊の
高い
武士がやつて
來た。