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晩
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おそ
ふりがな文庫
“
晩
(
おそ
)” の例文
夕餉
(
ゆうげ
)
が少し
晩
(
おそ
)
くなって済んだ、女房は一風呂入ろうと云う、糸七は寐る前にと、その間をふらりと宿を出売、奥の院の道へ向ったが
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると日頃丈夫な父親が急に不眠症を起して、
突如
(
いきなり
)
宿へ転地して来た。もう
厭
(
いや
)
も応もなかった。仕舞ったと気がついたが、もう
晩
(
おそ
)
い。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それはいつもムク犬がするように、今夜は少し
晩
(
おそ
)
くなったけれども、やはりその例で挨拶に来たものとばかり思ったからであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「私、こんなに
晩
(
おそ
)
く、この寂しい
小徑
(
こみち
)
にあなたをお殘ししては置けない氣がします、あなたが馬にお乘りになれるのを見るまでは。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
尚
(
な
)
ほ一層の探索と一番の熟考とを
遂
(
と
)
げて後、
来
(
きた
)
る
可
(
べ
)
くは再び来らんも
晩
(
おそ
)
からず、と失望の
裏
(
うち
)
別に幾分の得るところあるを
私
(
ひそか
)
に喜べり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
しかし
慧敏
(
けいびん
)
で健康な資質の人間は太陽が明らかにのぼったことを忘れない。われらの偏見をすてるには
晩
(
おそ
)
すぎるということはない。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
と大声あげて、
団扇
(
うちわ
)
太鼓をたたきながら、
唱名
(
しょうみょう
)
しているのを、ひょいひょい
寝覚
(
ねおぼえ
)
のままに聞くほど、
晩
(
おそ
)
くまで念じていることがあった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
それから
又
(
また
)
『
毒
(
どく
)
』と
記
(
しる
)
してある
瓶
(
びん
)
から
澤山
(
たくさん
)
飮
(
の
)
めば、それが
屹度
(
きつと
)
晩
(
おそ
)
かれ
早
(
はや
)
かれ
體
(
からだ
)
の
害
(
がい
)
になるものだと
云
(
い
)
ふことを
决
(
けつ
)
して
忘
(
わす
)
れませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
母親のお
豊
(
とよ
)
は学校の時間割までをよく
知抜
(
しりぬ
)
いているので、長吉の帰りが一時間早くても、
晩
(
おそ
)
くても、すぐに心配して
煩
(
うるさ
)
く質問する。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
起きて下さらなくっちゃ、
晩
(
おそ
)
くなるじゃありませんかと云った。御作さんの
旦那
(
だんな
)
は九時を聞いて、今床の上に起き直ったところである。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
光一は父と語るひまがなかった、父は伯父さんと共に外出して夜
晩
(
おそ
)
く帰った、光一は
床
(
とこ
)
にはいってから校長のことばかりを考えた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
お嬢様は毎日々々お念仏
三昧
(
ざんまい
)
で入らっしゃいますよ、今日は盆の事ですから、
方々
(
ほう/″\
)
お参りにまいりまして、
晩
(
おそ
)
く帰る
処
(
ところ
)
でございます
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
マンチュアに
蟄
(
ちっ
)
してござれ、
忠實
(
まめやか
)
な
僕
(
をとこ
)
を
求
(
もと
)
め、
時折
(
ときおり
)
、
其
(
その
)
男
(
をとこ
)
して
此方
(
こなた
)
の
吉左右
(
きッさう
)
を
知
(
し
)
らせう。さ、
手
(
て
)
を。もう
晩
(
おそ
)
い。さらばぢゃ、
機嫌
(
きげん
)
よう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
十悪の徒、五逆の悪人でも、救いを求めれば救うてくれる慈悲光の
弥陀
(
みだ
)
尊仏に対面させてから後、城太郎に会わせてやって
晩
(
おそ
)
くはない。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十一月も
晩
(
おそ
)
くのある金曜日の夜、この物語と交渉のある人物の中の最初の人の前に横わっていたのは、ドーヴァー街道であった。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「……お母さんは、時どき夜
晩
(
おそ
)
くから、
小父
(
おじ
)
さんと一緒にお酒を飲みに行かれますので、また今夜も、そんな事かと思って……」
銀座幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
明日更に審査するとして
大薬
(
マハウシャダ
)
その家に還ると、毘女何故
晩
(
おそ
)
かったかと問うと、委細を語り何とか決断のしようがないかと尋ねた。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
殊
(
こと
)
に
今日
(
こんにち
)
は鉄道も有り電信も有る世界にて警察の力を
潜
(
くゞ
)
り
果
(
おお
)
せるとは
到底
(
とうてい
)
出来ざる所にして、
晩
(
おそ
)
かれ早かれ露見して罰せらるゝは一つなり。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
感情の
晩
(
おそ
)
い冒険が、旅にあるこのなまけ者のために、あるいはまだ取っておいてありはせぬかと、自分の厳粛な疲れた心をぎんみしてみた。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
晩
(
おそ
)
かれ早かれ、降参しなければなるまい。ところが、我慢をすればするほど、
溜
(
たま
)
るわけだ。今すぐやっちまえば、ぽっちりしか出ないんだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
どうせ自分は動物を馴らすのが下手なのだから、
晩
(
おそ
)
かれ早かれ逃げられるにきまつてゐるものなら、早く片がついた方がいゝかも知れない。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
晩
(
おそ
)
かれ早かれ破裂を見ないでは
止
(
や
)
まないような前途の不安が二人を支配した。岸本は膳を前にして、黙って節子と対い合うことが多かった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
此大きな無遠慮な
吾儘坊
(
わがままぼっ
)
ちゃんのお客様の為に、主婦は
懐炉
(
かいろ
)
を入れてやった。
大分
(
だいぶ
)
落
(
おち
)
ついたと云う。
晩
(
おそ
)
くなって風呂が
沸
(
わ
)
いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蓋
(
けだ
)
し
乙夜
(
いつや
)
の覧を経るという。一介の
草莽
(
そうもう
)
、区々たる姓名にして、聖天子の垂知を蒙るは、何の栄かこれに加えん。児の死する、何ぞ
晩
(
おそ
)
きや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そのうえには、どんよりした鉛筆でぼかしたような曇った日ざしが、
晩
(
おそ
)
い秋頃らしく、重く、低い
雲脚
(
くもあし
)
を
垂
(
た
)
れていたのです。
寂しき魚
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
アーストロフ いいや、
晩
(
おそ
)
くなるでしょう。どうして……とてもとても……(下男に)君すまないが、ウオトカを一杯たのむよ。ほんとにさ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
これは
異
(
い
)
な願ひを聞くものかな、
晩
(
おそ
)
かれ早かれ、いづれ持たねばならぬ妻なれば、
相應
(
ふさ
)
はしき縁もあらばと、
老父
(
われ
)
も疾くより心懸け居りしぞ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
その夜、かの女は
晩
(
おそ
)
く、こんなことを話し合える夫と妻とについて内心不思議がりながら、逸作に規矩男と自分との経過のあらましを話した。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
天保丁酉は柏軒が既に二十八歳になつてゐる。その学に志した時が二十前後であつたと云ふに
契
(
かな
)
はない。是は
晩
(
おそ
)
きに失する。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
熊さんのお
内儀
(
かみ
)
さんは、
馬鹿
(
ばか
)
正直なかわりに疑い深いたちでした。このごろ熊さんの帰りが
晩
(
おそ
)
いのに腹をたてていました。
日輪草:日輪草は何故枯れたか
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
島の
小女
(
おとめ
)
は心ありてかく
晩
(
おそ
)
くも源が舟頼みしか、そは高きより見下ろしたまいし妙見様ならでは知る者なき秘密なるべし。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
既往の事は
姑
(
しばら
)
く
措
(
お
)
いて、これよりは何卒国家の為に誠実真面目になつてこの国の倒れる事を一日も
晩
(
おそ
)
からしめんことを御願申すのでございます。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
五月十四日、
昨夜
(
さくや
)
父が
晩
(
おそ
)
く帰って来て、僕を修学旅行にやると云った。母も嬉しそうだったし祖母もいろいろ
向
(
むこ
)
うのことを聞いたことを云った。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「ケイズ釣に来て、こんなに
晩
(
おそ
)
くなって、お前、もう一ヶ処なんて、そんなぶいきなことを言い出して。もうよそうよ。」
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その晩は、真智子の母が訪ねて来て、みんなと
晩
(
おそ
)
くまで話しこんだ。真智子も無論一緒について来ていた。話は今日の出来事で持ちきりだった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
これ
蓋
(
けだ
)
し、すでに腹の畑は
肥
(
こや
)
しができ、掘り起こされて
土壤
(
どじょう
)
が柔かになり、
下種
(
かしゅ
)
の時
晩
(
おそ
)
しと待っているところに、空飛ぶ鳥が
偶然
(
ぐうぜん
)
一
粒
(
りゅう
)
墜
(
おと
)
したり
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
君! マダム・ハヤミの奴、大理石の
経帷子
(
きょうかたびら
)
きこんで昨夜
晩
(
おそ
)
く神戸へ行ったぞ、おい、君。女の肉体讃美はよさないか。
飛行機から墜ちるまで
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
あたりがすっかり
静
(
しず
)
まりきったのは、もうその
日
(
ひ
)
もだいぶん
晩
(
おそ
)
くなってからでしたが、そうなってもまだ
哀
(
あわ
)
れな
子家鴨
(
こあひる
)
は
動
(
うご
)
こうとしませんでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そこで弟子たちが注意申し上げて、「ここは寂しき所、はや時も
晩
(
おそ
)
し。人々を去らしめ、
周囲
(
まわり
)
の里また村に
往
(
ゆ
)
きて、己がために食物を買わせ給え」
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
そういう時に、細君が一座敷つとめて、
晩
(
おそ
)
くなってから、亭主の座敷に顔を出したりすると、また座が賑やかになる。
パーティ物語
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
それが
晩
(
おそ
)
かれ早かれ克服されなければならない懸案であることには僕も至極同感なのだが、仮に
何時
(
いつ
)
の日かこの遠いイメージが実現されたにしても
翻訳の生理・心理
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
蒼蠅
(
うるさい
)
よ、などという母ではない。何処迄も相手になって、其意味を説明して呉れて、もう
晩
(
おそ
)
いから黙ってお
寐
(
ね
)
と優しく言って、又
彼方
(
あちら
)
向いて了った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
もう
晩
(
おそ
)
かった。招かれてる二人の友は夜中に帰っていった。クリストフはシュルツと二人きりになった。彼は言った。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
晩
(
おそ
)
くまで仕事をしてから床に
這入
(
はい
)
つたので、重々しい
睡気
(
ねむけ
)
が頭の奥の方へ追ひ込められて、一つのとげ/\した
塊的
(
かたまり
)
となつて彼の気分を不愉快にした。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
僕は小学校を卒業したばかりで十五歳、月を数えると十三歳何ヶ月という頃、民子は十七だけれどそれも生れが
晩
(
おそ
)
いから、十五と少しにしかならない。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
妻も私の研究に非常に興味を持ち、私の助手として働いてくれました。私たちは朝
夙
(
はや
)
くから夜
晩
(
おそ
)
くまで働きました。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「子供がどうして
佳
(
い
)
い悪いがわかるものかね。たとえよかったにしても、秦には及ばないよ。秦の方がだめになったら、その時にしても
晩
(
おそ
)
くはないよ。」
阿英
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
気に
障
(
さ
)
へましたのですか昨日午後ふいと外出致しまして、夕方
晩
(
おそ
)
くお酒をいたゞいて帰つて参りましたがそれきり
碌
(
ろく
)
に口もきかないで
寝
(
やす
)
んでるのですよ。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
もちろん老人の心にて孫の生まるるは悦ぶことなれども、孫の誕生が
晩
(
おそ
)
しとて、これをその子の不幸と言うべからず。試みに天下の父母たる者に問わん。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
フランクの世に知らるることの
甚
(
はなは
)
だ
晩
(
おそ
)
かった原因ではあるが、同時にそれは、ルーテル派の信仰に生涯を託して
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
“晩”の意味
《名詞》
(バン)夕方。
(出典:Wiktionary)
“晩”の解説
晩(ばん)とは、夕暮れと夜の間の時間帯のことであり、どちらの意味でも使われる。ただし、最近は「夜」という意味に変化しつつある。
(出典:Wikipedia)
晩
常用漢字
小6
部首:⽇
12画
“晩”を含む語句
晩餐
早晩
昨晩
晩食
晩方
毎晩
晩秋
晩春
明晩
晩酌
晩飯
前晩
歳晩
晩景
晩稻
一晩
今晩
晩餐会
晩稲
翌晩
...