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恐
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おそ
ふりがな文庫
“
恐
(
おそ
)” の例文
やがて大きなつめでひっかくような
音
(
おと
)
がすると
思
(
おも
)
うと、はじめ
真
(
ま
)
っ
黒
(
くろ
)
な
雲
(
くも
)
と
思
(
おも
)
われていたものが
急
(
きゅう
)
に
恐
(
おそ
)
ろしい
化
(
ば
)
けものの
形
(
かたち
)
になって
鵺
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
しるべの
燈火
(
ともしび
)
かげゆれて、
廊下
(
らうか
)
の
闇
(
やみ
)
に
恐
(
おそ
)
ろしきを
馴
(
な
)
れし
我家
(
わがや
)
の
何
(
なに
)
とも
思
(
おも
)
はず、
侍女
(
こしもと
)
下婢
(
はした
)
が
夢
(
ゆめ
)
の
最中
(
たゞなか
)
に
奧
(
おく
)
さま
書生
(
しよせい
)
の
部屋
(
へや
)
へとおはしぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
土神は俄に両手で耳を
押
(
おさ
)
えて一目散に北の方へ走りました。だまっていたら自分が何をするかわからないのが
恐
(
おそ
)
ろしくなったのです。
土神ときつね
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
直
(
たゞ
)
ちに
此
(
こ
)
れが
扇子
(
せんす
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
た
所爲
(
せい
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つて
急
(
いそ
)
いで
其扇子
(
そのせんす
)
を
捨
(
す
)
てました、
恰
(
あだか
)
も
縮
(
ちゞ
)
むのを
全
(
まつた
)
く
恐
(
おそ
)
れるものゝ
如
(
ごと
)
く。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
津浪
(
つなみ
)
とは
津
(
つ
)
の
浪
(
なみ
)
、
即
(
すなは
)
ち
港
(
みなと
)
に
現
(
あらは
)
れる
大津浪
(
おほつなみ
)
であつて、
暴風
(
ぼうふう
)
など
氣象上
(
きしようじよう
)
の
變調
(
へんちよう
)
から
起
(
おこ
)
ることもあるが、
最
(
もつと
)
も
恐
(
おそ
)
ろしいのは
地震津浪
(
ぢしんつなみ
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
▼ もっと見る
そのうちに彼女の身体を
吊下
(
つりさ
)
げている紐が切れ、下へ落ちてしまったのであろう。
恐
(
おそ
)
らくそれは広い海の中であったことと思われる。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
恐
(
おそ
)
ろしい
歯
(
は
)
をむきだした、茶と白のブチ犬が、アシのあいだをつき進んでくるのを見ますと、それこそ
命
(
いのち
)
のちぢまる思いをしました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
恐
(
おそ
)
る
可
(
べ
)
き
哉
(
かな
)
、
己
(
おのれ
)
より
三歳
(
みつ
)
弱
(
わか
)
い
山田
(
やまだ
)
が
既
(
すで
)
に
竪琴草子
(
たてごとざうし
)
なる
一篇
(
いつぺん
)
を
綴
(
つゞ
)
つて、
疾
(
とう
)
から
価
(
あたへ
)
を
待
(
ま
)
つ者であつたのは
奈何
(
どう
)
です、
然
(
さう
)
云
(
い
)
ふ物を書いたから
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
尤
(
もつと
)
も、あれで
若
(
も
)
しどつちかが
斷然
(
だんぜん
)
強
(
つよ
)
くでもなつたとしたら、
恐
(
おそ
)
らく
進
(
すゝ
)
まぬ方は
憤然
(
ふんぜん
)
町内を
蹴
(
け
)
つて
去
(
さ
)
つたかも知れない。
桑
(
くは
)
原、
桑
(
くは
)
原!
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
彼處
(
あすこ
)
を
通拔
(
とほりぬ
)
けねばならないと
思
(
おも
)
ふと、
今度
(
こんど
)
は
寒氣
(
さむけ
)
がした。
我
(
われ
)
ながら、
自分
(
じぶん
)
を
怪
(
あやし
)
むほどであるから、
恐
(
おそ
)
ろしく
犬
(
いぬ
)
を
憚
(
はゞか
)
つたものである。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
陶器師
(
とうきし
)
は、
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
って
御殿
(
ごてん
)
を
下
(
さ
)
がりました。それから、その
有名
(
ゆうめい
)
な
陶器師
(
とうきし
)
は、
厚手
(
あつで
)
の
茶
(
ちゃ
)
わんを
造
(
つく
)
る
普通
(
ふつう
)
の
職人
(
しょくにん
)
になったということです。
殿さまの茶わん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
貝塚に於て
發見
(
はつけん
)
さるる獸骨貝殼の中には
往々
(
わう/\
)
黒焦
(
くろこ
)
げに焦げたるもの有り。是等は
恐
(
おそ
)
らく
獸肉
(
ぢうにく
)
なり貝肉なり燒きて食はれたる殘餘ならん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
彼女の仕事を
妨
(
さまた
)
げることを
恐
(
おそ
)
れて、
其処
(
そこ
)
に彼女をひとり残したまま、その渓流に沿うた小径をぶらぶら上流の方へと歩いて行った。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
もう
忍耐
(
にんたい
)
が
出來
(
でき
)
ない、
萬年
(
まんねん
)
ペンをとつて
振
(
ふ
)
りあげた、その
恐
(
おそ
)
ろしい
笞
(
しもと
)
の
下
(
した
)
で
憐
(
あわれ
)
みを
乞
(
こ
)
ふかのように
鳴
(
な
)
いてゐる、それが
毆
(
たゝ
)
けるか。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
餘程
(
よほど
)
の
大火
(
おほび
)
を
焚
(
た
)
かなければ、
馬籠
(
まごめ
)
にて
見
(
み
)
たる
如
(
ごと
)
き
跡
(
あと
)
を
遺
(
のこ
)
すものでない。
竈
(
かまど
)
とか、
爐
(
ろ
)
とか、それ
位
(
くらゐ
)
の
火
(
ひ
)
の
爲
(
ため
)
に
出來
(
でき
)
たのでは
恐
(
おそ
)
らくあるまい。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
嘗
(
か
)
つてユーゴのミゼレハル、
銀器
(
ぎんき
)
を
盜
(
ぬす
)
む
一條
(
いちでう
)
を
讀
(
よ
)
みし
時
(
とき
)
に
其
(
その
)
精緻
(
せいち
)
に
驚
(
おどろ
)
きし
事
(
こと
)
ありしが、この
書
(
しよ
)
載
(
の
)
するところ
恐
(
おそ
)
らく
彼
(
か
)
の
倫
(
りん
)
にあらざるべし。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
読者は上述の説明を読んでどういう風な
面立
(
おもだ
)
ちを
浮
(
う
)
かべられたか
恐
(
おそ
)
らく物足りないぼんやりしたものを心に
描
(
えが
)
かれたであろうが
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
然
(
しか
)
し
其
(
その
)
最
(
もつと
)
も
恐
(
おそ
)
れを
懷
(
いだ
)
くべき
金錢
(
きんせん
)
の
問題
(
もんだい
)
が
其
(
その
)
心
(
こゝろ
)
を
抑制
(
よくせい
)
するには
勘次
(
かんじ
)
は
餘
(
あま
)
りに
慌
(
あわ
)
てゝ
且
(
かつ
)
驚
(
おどろ
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
醫者
(
いしや
)
は
鬼怒川
(
きぬがは
)
を
越
(
こ
)
えて
東
(
ひがし
)
に
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「こりや
恐
(
おそ
)
ろしいもんだ」と云ひながら、与次郎は鉄の
扉
(
とびら
)
をうんと
推
(
お
)
したが、錠が卸りてゐる。「
一寸
(
ちよつと
)
御待ちなさい聞いてくる」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
弦月丸
(
げんげつまる
)
には、
珍
(
めづ
)
らしく
澤山
(
たくさん
)
の
黄金
(
わうごん
)
と
眞珠
(
しんじゆ
)
とが
搭載
(
とうさい
)
されて
居
(
ゐ
)
ます、
眞珠
(
しんじゆ
)
と
黄金
(
わうごん
)
とが
夥
(
おびたゞ
)
しく
海上
(
かいじやう
)
で
集合
(
あつまる
)
と
屹度
(
きつと
)
恐
(
おそ
)
る
可
(
べ
)
き
祟
(
たゝり
)
があります。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「では、
恐
(
おそ
)
れながら、今、皇后のお腹においでになりますお子さまは、男のお子さまと女のお子さまと、どちらでいらっしゃりましょう」
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
かういふ
點
(
てん
)
から
見
(
み
)
ますと、これらの
土器
(
どき
)
は
恐
(
おそ
)
らく
專門
(
せんもん
)
の
土器製造人
(
どきせいぞうにん
)
が、その
工場
(
こうば
)
で
作
(
つく
)
つたのを
各地
(
かくち
)
に
賣
(
う
)
り
出
(
だ
)
したものにちがひありません。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
問はゞ左りへ
綾
(
あや
)
なし越前とやら
名
(
めい
)
奉行でも何の
恐
(
おそ
)
るゝ事やあらんと
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
は
縛
(
いまし
)
めの繩の
縷
(
より
)
さへ戻す氣で引れ行くこそ
不敵
(
ふてき
)
なれ。
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
但
(
たゞ
)
し
同棲後
(
どうせいご
)
の
彼女
(
かのぢよ
)
は、
決
(
けつ
)
して
幸福
(
かうふく
)
ではなかつた。
恐
(
おそ
)
らく
彼女
(
かのぢよ
)
もさう
云
(
い
)
ふ
運命
(
うんめい
)
を
掴
(
つか
)
まうと
思
(
おも
)
つて、
彼
(
かれ
)
のところへ
来
(
き
)
たのではなかつたであらう。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
大蛇
(
おろち
)
は人形を見ると、それを生きた人間と思ったのでしょう、いきなり大きな
鎌首
(
かまくび
)
をもたげて、
恐
(
おそ
)
ろしい
勢
(
いきおい
)
で
寄
(
よ
)
ってきました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
恁うして
淋
(
さび
)
しい一生を送ツて
行
(
い
)
かなきやならないかと思ふと、僕は
自分
(
じぶん
)
の
將來
(
せうらい
)
といふものが
恐
(
おそ
)
ろしいやうな氣がしてならない。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
重二郎も
恐
(
おそ
)
る/\入りますと、春見は
刀箪笥
(
かたなだんす
)
から刀を出し、
此方
(
こちら
)
の箪笥から紋付の着物を出して、着物を着替え、
毛布
(
けっと
)
を
其処
(
そこ
)
へ敷き延べて
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして、これを
名残
(
なご
)
りの意識のひらめきが、すっと消えると共に、彼女の眼の中でも、
末期
(
まつご
)
の
恐
(
おそ
)
れやおびえの色が、やっと消えたのである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
恐
(
おそ
)
ろしい
力
(
ちから
)
があって、
世間
(
せけん
)
から
怖
(
こわ
)
がられている
一人
(
ひとり
)
の
魔女
(
まじょ
)
でしたから、
誰一人
(
たれひとり
)
、
中
(
なか
)
へはいろうという
者
(
もの
)
はありませんでした。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
さてはわが
身
(
み
)
を
恐
(
こは
)
がらないのか、ちつとも
恐
(
こは
)
いと
思
(
おも
)
つてゐない。この
児
(
こ
)
の
眼
(
め
)
には、あたしの
恐
(
おそ
)
ろしい
白栲
(
しろたへ
)
が、
御主
(
おんあるじ
)
のそれと
同
(
おな
)
じに
見
(
み
)
えるのだ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
このあわれな熊は、見るからに
恐
(
おそ
)
ろしそうなようすをしていましたが、まだ一度も人に害を加えたことはありませんでした。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
恐
(
おそ
)
らく大革命の騒ぎの
最中
(
さなか
)
でも、世界大戦の混乱と
動揺
(
どうよう
)
の中でも、食事の時だけはこういう態度を持ち続けたであろう。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
恐
(
おそ
)
ろしさで
体
(
からだ
)
が、がたがたふるえてきた。大あわてで
仕事
(
しごと
)
をすませ、
道具
(
どうぐ
)
を片づけると、あたふたと
部屋
(
へや
)
をでていった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
此
(
こゝ
)
に
入
(
い
)
れられてゐるよりも
貴方
(
あなた
)
に
取
(
と
)
つて
奈何
(
どう
)
でせうか?
私
(
わたくし
)
は
此
(
こゝ
)
より
惡
(
わる
)
い
所
(
ところ
)
は
無
(
な
)
いと
思
(
おも
)
ひます。
若
(
も
)
し
然
(
さ
)
うならば
何
(
なに
)
を
貴方
(
あなた
)
は
那樣
(
そんな
)
に
恐
(
おそ
)
れなさるのか?
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
若
(
も
)
しも
太古
(
たいこ
)
において
國民
(
こくみん
)
が、
地震
(
ぢしん
)
をそれほどに
恐
(
おそ
)
れたとすれば、
當然
(
たうぜん
)
地震
(
ぢしん
)
に
關
(
くわん
)
する
傳説
(
でんせつ
)
が
太古
(
たいこ
)
から
發生
(
はつせい
)
してゐる
筈
(
はず
)
であるが、それは
頓
(
とん
)
と
見當
(
みあ
)
たらぬ。
日本建築の発達と地震
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
「それはこうだ。その
鶏
(
にわとり
)
という
奴
(
やつ
)
はトッテクーと鳴くのだ。取って食うと鳴いたら
最後
(
さいご
)
、どんなものでも取って食ってしまうのだ。
恐
(
おそ
)
ろしい奴だ。」
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
その
外
(
ほか
)
には
事業
(
じぎょう
)
成功
(
せいこう
)
の
祈願
(
きがん
)
、
災難
(
さいなん
)
除
(
よ
)
けの
祈願等
(
きがんとう
)
いろいろございます。これは
何
(
いず
)
れの
神社
(
じんじゃ
)
でも
恐
(
おそ
)
らく
同様
(
どうよう
)
かと
存
(
ぞん
)
じます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
文字の精は、また、彼の
脊骨
(
せぼね
)
をも
蝕
(
むしば
)
み、彼は、
臍
(
へそ
)
に顎のくっつきそうな
傴僂
(
せむし
)
である。しかし、彼は、
恐
(
おそ
)
らく自分が傴僂であることを知らないであろう。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そして
輕
(
かる
)
く
跳
(
おど
)
りあがる心を
制
(
せい
)
しながら、その城壁の頂きに
恐
(
おそ
)
る恐る檸檬を据ゑつけた。そしてそれは上出來だつた。
檸檬
(旧字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
そして気味わるく
物凄
(
ものすご
)
い顔をした、雲助のような男たちに
脅
(
おび
)
やかされたり、
黒塚
(
くろづか
)
の
一軒家
(
いっけんや
)
のような家に
泊
(
とま
)
って、
白髪
(
しらが
)
の
恐
(
おそ
)
ろしい
老婆
(
ろうば
)
に
睨
(
にら
)
まれたりした。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
それほど
恐
(
おそ
)
ろしい
勢
(
いきお
)
いで
母
(
かあ
)
さんから
引
(
ひ
)
いて
行
(
い
)
った
潮
(
しお
)
が——十五
年
(
ねん
)
の
後
(
のち
)
になって——あの
母
(
かあ
)
さんと
生命
(
せいめい
)
の
取
(
と
)
りかえっこをしたような
人形娘
(
にんぎょうむすめ
)
に
差
(
さ
)
して
来
(
き
)
た。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
...
臣
(
しん
)
竊
(
ひそか
)
に
起
(
き
)
の
(九九)
留心
(
りうしん
)
無
(
な
)
きを
恐
(
おそ
)
る」と。
武矦
(
ぶこう
)
即
(
すなは
)
ち
曰
(
い
)
はん、「
奈何
(
いかん
)
せん」と。
君
(
きみ
)
、
因
(
よ
)
つて
武矦
(
ぶこう
)
に
謂
(
い
)
つて
曰
(
い
)
へ、「
試
(
こころ
)
みに
(一〇〇)
延
(
ひ
)
くに
公主
(
こうしゆ
)
を
以
(
もつ
)
てせよ。 ...
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
あなたと語り合うことは、
恐
(
おそ
)
ろしく、眼を
見交
(
みかわ
)
すことが、楽しく、
黙
(
もく
)
して身近くあるよりも、ただ訳もなく
一緒
(
いっしょ
)
に遊んでいるほうが、
嬉
(
うれ
)
しかったのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
恐
(
おそ
)
らく
口
(
くち
)
から
出任
(
でまか
)
せに、
大
(
たい
)
して
苦勞
(
くろう
)
なしに
作
(
つく
)
つたとおもはれますが、それが
皆
(
みな
)
下品
(
げひん
)
でなく、あっさりとほがらかに
明
(
あか
)
るい
氣持
(
きも
)
ちで
詠
(
よ
)
み
上
(
あ
)
げられてゐます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「物事は当って
砕
(
くだ
)
けろさ。俺達だけじゃないよ、こんな生活は山のようにあるんだから
恐
(
おそ
)
れる事はないだろう」
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
美
(
うつく
)
しうて、
賢
(
かしこ
)
うて、
予
(
わし
)
を
思
(
おも
)
ひ
死
(
じに
)
さする
程
(
ほど
)
に
賢過
(
かしこす
)
ぎた
美人
(
びじん
)
ゆゑ、
恐
(
おそ
)
らくは
冥利
(
みゃうり
)
が
盡
(
つ
)
き、よもや
天國
(
てんごく
)
へは
登
(
のぼ
)
れまい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
恐
(
おそ
)
らく
一生涯
(
いっしょうがい
)
の落ちつく先をちらとでも見たいのだ、ばかばかしい話だが、そんなふうに言うより
外
(
ほか
)
はない。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
教会内
(
けふくわいない
)
に
偽善者
(
ぎぜんしや
)
の
潜伏
(
せんぷく
)
し居るを知りながら
其
(
その
)
破壊
(
はくわい
)
を
恐
(
おそ
)
れて之を
排除
(
はいぢよ
)
し得ざるものなり、
教会
(
けうくわい
)
独立
(
どくりつ
)
を
唱
(
とな
)
へながら世の
賛同
(
さんどう
)
を得ざるが故に
躊躇
(
ちうちよ
)
遁逃
(
とんとう
)
するものなり
時事雑評二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
何より
恐
(
おそ
)
ろしいのは、両派の
巨頭連
(
きょとうれん
)
が、自分たちの勢力を張るために、青年将校の意を
迎
(
むか
)
えることに
汲々
(
きゅうきゅう
)
として、全軍に
下剋上
(
げこくじょう
)
の風を作ってしまったことだ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「いや、
些
(
ち
)
つとも。」彼は反對に私が思ひ出を悉く尊重して呉れたと云つた。だが本當に彼は私がさほど氣にするにも當らぬことを氣にするのを
恐
(
おそ
)
れてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
恐
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
“恐”を含む語句
恐怖
可恐
恐々
恐入
恐慌
恐懼
恐縮
恐竜
恐悦
恐喝
恐惶
恐気
恐多
空恐
恐山
恐惶謹言
恐悚
恐迫
大恐悦
恐怖心
...