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人形娘
この
父さんは、
金之助さんを
人形扱いにする
袖子のことを
笑えなかった。なぜかなら、そういう
袖子が、
実は
父さんの
人形娘であったからで。
それほど
恐ろしい
勢いで
母さんから
引いて
行った
潮が——十五
年の
後になって——あの
母さんと
生命の
取りかえっこをしたような
人形娘に
差して
来た。
その
自分の
好みから
父さんは
割り
出して、
袖子の
着る
物でも、
持ち
物でも、すべて
自分で
見立ててやった。そして、いつまでも
自分の
人形娘にしておきたかった。