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おもひだ
ふりがな文庫
“
思出
(
おもひだ
)” の例文
其
(
その
)
忘
(
わす
)
れ
難
(
がた
)
き
味
(
あぢ
)
に
引
(
ひ
)
かされて、
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
は
行
(
ゆ
)
くが——
行
(
ゆ
)
く
度
(
たび
)
に
思出
(
おもひだ
)
しては、
歸途
(
かへりがけ
)
に、つい、
泣
(
な
)
かされる。——いつも
歸
(
かへ
)
る
時
(
とき
)
は
日暮
(
ひぐれ
)
になる。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ボリ/\
噛
(
か
)
みつゝ、
手酌
(
てじやく
)
で、
臺附
(
だいつき
)
の
硝子杯
(
コツプ
)
を
傾
(
かたむ
)
けたが、
何故
(
なぜ
)
か、
床
(
とこ
)
の
中
(
なか
)
で
夜具
(
やぐ
)
を
被
(
かぶ
)
つて、
鹽煎餅
(
しほせんべい
)
をお
樂
(
たの
)
にした
幼兒
(
をさなご
)
の
時
(
とき
)
を
思出
(
おもひだ
)
す。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
はふと近所の家の
表札
(
へうさつ
)
に
中郷竹町
(
なかのがうたけちやう
)
と書いた
町
(
まち
)
の名を読んだ。そして
直様
(
すぐさま
)
、
此
(
こ
)
の
頃
(
ころ
)
に愛読した
為永春水
(
ためながしゆんすゐ
)
の「
梅暦
(
うめごよみ
)
」を
思出
(
おもひだ
)
した。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
不図
(
ふつと
)
さう
思出
(
おもひだ
)
したら、毎日そんな事ばかり考へて、
可厭
(
いや
)
な
心地
(
こころもち
)
になつて、自分でもどうか
為
(
し
)
たのかしらんと思ふけれど、私病気のやうに見えて?
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「躰も無論惡いが」と暫らくして友は
思出
(
おもひだ
)
したやうに、「それよりか、
精神上
(
せいしんじよう
)
の
打撃
(
だげき
)
はもツと/\胸に
徹
(
こた
)
へるね。」
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
乘
(
のせ
)
亥刻過頃
(
よつどきすぎごろ
)
鈴ヶ森迄歸り來り候處
不※
(
ふと
)
彦兵衞の事を
思出
(
おもひだ
)
し去年此所で御所刑に成りし彦兵衞は
正直者
(
しやうぢきもの
)
ゆゑ
勿々
(
なか/\
)
人殺
(
ひとごろし
)
夜盜
(
よたう
)
等は致すまじ此盜人は外に
有
(
あら
)
んと申事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さうかといつて
火
(
ひ
)
に
當
(
あた
)
らうとするのには
猶且
(
やつぱり
)
火傷
(
やけど
)
の
疼痛
(
いたみ
)
を
加
(
くは
)
へるだけであつた。
彼
(
かれ
)
は
思出
(
おもひだ
)
したやうに
泣
(
な
)
いては
又
(
また
)
泣
(
な
)
いた。
遂
(
つひ
)
には
泣
(
な
)
き
疲
(
つか
)
れてしく/\と
只
(
たゞ
)
聲
(
こゑ
)
を
呑
(
の
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
つていふ
噺
(
はなし
)
を
思出
(
おもひだ
)
して「おぢさん、ライオンは
馴
(
なれ
)
たら
鼠
(
ねづみ
)
でも
喰
(
く
)
ひませんか」と
動物園
(
どうぶつゑん
)
のおぢさんに
聞
(
き
)
きました。すると、おぢさんの
答
(
こたへ
)
はこうでした「すぐ
喰
(
く
)
つちまふ」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
甞
(
かつ
)
て
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
で
毬投
(
まりな
)
げをして
居
(
ゐ
)
て、
吾
(
わ
)
れと
吾
(
わ
)
れを
騙
(
だま
)
したといふので、
自分
(
じぶん
)
の
耳
(
みゝ
)
を
叩
(
たゝ
)
かうとしたことを
思出
(
おもひだ
)
しました、それといふのも
此
(
この
)
不思議
(
ふしぎ
)
な
子供
(
こども
)
が、
一人
(
ひとり
)
でありながら
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
幼い頃見た写真がすぐ
思出
(
おもひだ
)
された。けれど想像とは
丸
(
まる
)
で違つてゐた。
野梅
(
やばい
)
の若木が二三
本
(
ぼん
)
処々
(
ところ/\
)
に立つて
居
(
ゐ
)
るばかり、
他
(
た
)
に樹木とてはないので、
何
(
なん
)
だか墓のやうな気がしなかつた。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
目
(
め
)
を
失
(
なく
)
した
男
(
をとこ
)
が、
其
(
その
)
失
(
なく
)
した
目
(
め
)
といふ
寶
(
たから
)
をば
忘
(
わす
)
れぬ
例
(
ためし
)
。
如何
(
どん
)
な
拔群
(
ばつくん
)
な
美人
(
びじん
)
をお
見
(
み
)
せあっても、それは
只
(
たゞ
)
其
(
その
)
拔群
(
ばつくん
)
な
美
(
び
)
をも
拔
(
ぬ
)
く
拔群
(
ばつくん
)
な
美人
(
びじん
)
を
思出
(
おもひだ
)
さす
備忘帳
(
おぼえちゃう
)
に
過
(
す
)
ぎぬであらう。さらば。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
『
過去
(
くわこ
)
は
思出
(
おもひだ
)
すのも
不好
(
いや
)
だ、と
云
(
い
)
つて、
現在
(
げんざい
)
も
亦
(
また
)
過去
(
くわこ
)
と
同樣
(
どうやう
)
ではないか。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それとも、かつて
知
(
し
)
つてた
人
(
ひと
)
として
思出
(
おもひだ
)
すこともなくお
互
(
たがひ
)
に
忘
(
わすれ
)
られてゐたかもしれない。そして、またもしも
電車
(
でんしや
)
で、お
互
(
たがひ
)
に
東京
(
とうきやう
)
に
來
(
き
)
てゐたならば、
顏
(
かほ
)
を
合
(
あは
)
せるやうなこともあるかもしれない。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
ア
痛
(
いて
)
え、
何
(
なに
)
をするんだ。妻「
余
(
あんま
)
り
向脛
(
むかうずね
)
の毛が
多過
(
おほすぎ
)
るから三
本
(
ぼん
)
位
(
ぐらゐ
)
抜
(
ぬ
)
いたつて
宜
(
い
)
いや、痛いと思つたら
些
(
ちつ
)
たア
性
(
しやう
)
が
附
(
つ
)
くだらう。亭「ア
痛
(
いて
)
え。妻「痛いと思つたら、
女房
(
にようばう
)
も
宜
(
よろ
)
しくてえのを
思出
(
おもひだ
)
すだらう。 ...
八百屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
石碑
(
せきひ
)
を
力
(
ちから
)
だ==
右
(
みぎ
)
に
行
(
ゆ
)
けば
燕州
(
えんしう
)
の
道
(
みち
)
==とでもしてあるだらうと
思
(
おも
)
つて
見
(
み
)
りや、
陰陽界
(
いんやうかい
)
==は
氣障
(
きざ
)
だ。
思出
(
おもひだ
)
しても
悚然
(
ぞつ
)
とすら。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は第一に「
小梅
(
こうめ
)
の
伯母
(
をば
)
さん」と
云
(
い
)
ふのは
元
(
もと
)
金瓶大黒
(
きんぺいだいこく
)
の
華魁
(
おいらん
)
で明治の初め
吉原
(
よしはら
)
解放の時
小梅
(
こうめ
)
の
伯父
(
をぢ
)
さんを頼つて来たのだとやら
云
(
い
)
ふ話を
思出
(
おもひだ
)
した。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
思出
(
おもひだ
)
して
見
(
み
)
ると
未
(
ま
)
だ
奇談
(
きだん
)
があつた。
母
(
はゝ
)
や
妻
(
さい
)
や
親類
(
しんるゐ
)
の
子供
(
こども
)
や、
女中
(
ぢよちう
)
や、
遠
(
とほ
)
くも
無
(
な
)
いので
摘草
(
つみくさ
)
かた/\
見物
(
けんぶつ
)
に
來
(
き
)
た
事
(
こと
)
が
有
(
あ
)
つた。
其時
(
そのとき
)
は
生憎
(
あいにく
)
何
(
なに
)
も
出
(
で
)
ないので、
採集袋
(
さいしふぶくろ
)
へ
摘草
(
つみくさ
)
を
入
(
い
)
れて
歸
(
かへ
)
つた
事
(
こと
)
もあつた。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ロミオ
他
(
ほか
)
のと
較
(
くら
)
ぶれば
彌〻
(
いよ/\
)
彼女
(
あれ
)
をば
絶美
(
ぜつび
)
ぢゃと
言
(
い
)
はねばならぬことになる。
美人
(
びじん
)
の
額
(
ひたひ
)
に
觸
(
ふ
)
るゝ
彼
(
あ
)
の
幸福
(
しあはせ
)
な
假面
(
めん
)
どもは、
孰
(
ど
)
れも
黒々
(
くろ/″\
)
と
製
(
つく
)
ってはあれど、それが
却
(
かへ
)
って
其
(
その
)
底
(
そこ
)
の
白
(
しろ
)
い
面
(
かほ
)
を
思出
(
おもひだ
)
さする。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
彼女
(
かれ
)
は、それをじつと
見
(
み
)
つめてゐると、また
昔處女
(
むかしゝよぢよ
)
であつた
折
(
をり
)
に、
病
(
やまひ
)
の
爲
(
た
)
めに
常
(
つね
)
に
淋
(
さび
)
しかつた
自分
(
じぶん
)
の
心
(
こゝろ
)
を
思出
(
おもひだ
)
したのであつた。まち
子
(
こ
)
の
足
(
あし
)
は、十六の
終
(
をは
)
り
頃
(
ころ
)
から
人
(
ひと
)
なみに
座
(
すは
)
ることが
出來
(
でき
)
なかつた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
坊主
(
ばうず
)
が
自分
(
じぶん
)
に
向
(
むか
)
つて
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
を
為
(
し
)
たのを、フト
思出
(
おもひだ
)
したのが、
殆
(
ほと
)
んど
無意識
(
むいしき
)
に
挙動
(
ふるまひ
)
に
出
(
で
)
た。ト
尠
(
すくな
)
からず
一同
(
いちどう
)
を
驚
(
おどろ
)
かして、
皆
(
みな
)
だぢ/\と
成
(
な
)
つて
退
(
すさ
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
今更
(
いまさら
)
云
(
い
)
ふも
愚痴
(
ぐち
)
なれど………ほんに思へば………岸より
覗
(
のぞ
)
く
青柳
(
あをやぎ
)
の………と
思出
(
おもひだ
)
す
節
(
ふし
)
の、ところ/″\を
長吉
(
ちやうきち
)
は
家
(
うち
)
の
格子戸
(
かうしど
)
を
開
(
あ
)
ける時まで
繰返
(
くりかへ
)
し
繰返
(
くりかへ
)
し歩いた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
あはれ
其時
(
そのとき
)
那
(
あ
)
の
婦人
(
をんな
)
が、
蟇
(
ひき
)
に
絡
(
まつは
)
られたのも、
猿
(
さる
)
に
抱
(
だ
)
かれたのも、
蝙蝠
(
かうもり
)
に
吸
(
す
)
はれたのも、
夜中
(
よなか
)
に
𩳦魅魍魎
(
ちみまうりやう
)
に
魘
(
おそ
)
はれたのも、
思出
(
おもひだ
)
して、
私
(
わし
)
は
犇々
(
ひし/\
)
と
胸
(
むね
)
に
当
(
あた
)
つた
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私は
永代橋
(
えいたいばし
)
を渡る時活動する此の
河口
(
かはぐち
)
の光景に接するやドオデヱがセヱン河を往復する荷船の生活を
描
(
ゑが
)
いた可憐なる
彼
(
か
)
の「ラ・ニベルネヱズ」の一小篇を
思出
(
おもひだ
)
すのである
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
お
秋
(
あき
)
が
納戸
(
なんど
)
に
居
(
ゐ
)
た
姿
(
すがた
)
を、
猛然
(
まうぜん
)
と
思出
(
おもひだ
)
すと、
矢張
(
やつぱ
)
り
鳴留
(
なきや
)
まぬ
猫
(
ねこ
)
の
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
が、
豫
(
かね
)
ての
馴染
(
なじみ
)
でよく
知
(
し
)
つた。お
秋
(
あき
)
が
撫擦
(
なでさす
)
つて、
可愛
(
かはい
)
がつた、
黒
(
くろ
)
、と
云
(
い
)
ふ
猫
(
ねこ
)
の
聲
(
こゑ
)
に
寸分
(
すんぶん
)
違
(
たが
)
はぬ。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
道子
(
みちこ
)
は
上野
(
うへの
)
から
省線電車
(
しやうせんでんしや
)
に
乗
(
の
)
り
松戸
(
まつど
)
の
駅
(
えき
)
で
降
(
お
)
りたが、
寺
(
てら
)
の
名
(
な
)
だけは
思出
(
おもひだ
)
すことができたものゝ、その
場処
(
ばしよ
)
は
全
(
まつた
)
く
忘
(
わす
)
れてゐるので、
駅前
(
えきまへ
)
にゐる
輪
(
りん
)
タクを
呼
(
よ
)
んでそれに
乗
(
の
)
つて
行
(
ゆ
)
くと
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
と
背中
(
せなか
)
から
抱
(
だ
)
き
締
(
し
)
めて、づる/\と
遠
(
とほ
)
くへ
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
かれたやうに
成
(
な
)
つて、
雪枝
(
ゆきえ
)
は
其時
(
そのとき
)
の
事
(
こと
)
を
思出
(
おもひだ
)
した。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
白菊
(
しらぎく
)
の
咲
(
さ
)
く
頃
(
ころ
)
、
大屋根
(
おほやね
)
へ
出
(
で
)
て、
棟瓦
(
むねがはら
)
をひらりと
跨
(
また
)
いで、
高
(
たか
)
く、
高
(
たか
)
く、
雲
(
くも
)
の
白
(
しろ
)
きが、
微
(
かすか
)
に
動
(
うご
)
いて、
瑠璃色
(
るりいろ
)
に
澄渡
(
すみわた
)
つた
空
(
そら
)
を
仰
(
あふ
)
ぐ
時
(
とき
)
は、あの、
夕立
(
ゆふだち
)
の
夜
(
よ
)
を
思出
(
おもひだ
)
す……そして
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「あの
時
(
とき
)
の
事
(
こと
)
はお
忘
(
わす
)
れなすつて
下
(
くだ
)
さいまし……
思出
(
おもひだ
)
しても
慄然
(
ぞつ
)
とするんでございますから……」
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
船蟲
(
ふなむし
)
が
群
(
むら
)
がつて
往來
(
わうらい
)
を
驅
(
か
)
けまはるのも、
工場
(
こうぢやう
)
の
煙突
(
えんとつ
)
の
烟
(
けむり
)
が
遙
(
はる
)
かに
見
(
み
)
えるのも、
洲崎
(
すさき
)
へ
通
(
かよ
)
ふ
車
(
くるま
)
の
音
(
おと
)
がかたまつて
響
(
ひゞ
)
くのも、
二日
(
ふつか
)
おき
三日
(
みつか
)
置
(
お
)
きに
思出
(
おもひだ
)
したやうに
巡査
(
じゆんさ
)
が
入
(
はひ
)
るのも
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
晝間
(
ひるま
)
あのお
春
(
はる
)
が
納戸
(
なんど
)
に
絲
(
いと
)
を
繰
(
く
)
つて
居
(
ゐ
)
る
姿
(
すがた
)
を
猛然
(
まうぜん
)
と
思出
(
おもひだ
)
すと、
矢張
(
やつぱ
)
り
啼留
(
なきや
)
まぬ
猫
(
ねこ
)
の
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
が、
豫
(
かね
)
ての
馴染
(
なじみ
)
でよく
知
(
し
)
つた、お
春
(
はる
)
が
撫擦
(
なでさす
)
つて
可愛
(
かはい
)
がつた
黒
(
くろ
)
と
云
(
い
)
ふ
猫
(
ねこ
)
の
聲
(
こゑ
)
に
寸分
(
すんぶん
)
違
(
ちが
)
はぬ。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
分
(
わか
)
つたかい、
一寸
(
ちよいと
)
いま
思出
(
おもひだ
)
せないから、
然
(
さ
)
うしてお
置
(
お
)
きな、
又
(
また
)
氣
(
き
)
が
附
(
つ
)
いたら
申
(
まを
)
さうから。
片しぐれ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
分
(
わか
)
つたかい。
一寸
(
ちよつと
)
いま
思出
(
おもひだ
)
せないから、
然
(
さ
)
うしてお
置
(
お
)
きな、
又
(
また
)
氣
(
き
)
が
着
(
つ
)
いたら
申
(
まを
)
さうから。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
潮
(
しほ
)
は
其
(
そ
)
の
時々
(
とき/″\
)
變
(
かは
)
るのであらうが、
祭
(
まつり
)
の
夜
(
よ
)
は、
思出
(
おもひだ
)
しても、
何年
(
なんねん
)
にも、いつも
暗
(
くら
)
いやうに
思
(
おも
)
はれる。
時候
(
じこう
)
が
丁
(
ちやう
)
ど
梅雨
(
つゆ
)
にかゝるから、
雨
(
あめ
)
の
降
(
ふ
)
らない
年
(
とし
)
の、
月
(
つき
)
ある
頃
(
ころ
)
でも、
曇
(
くも
)
るのであらう。
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
の
事
(
こと
)
を
思出
(
おもひだ
)
すもの、
外
(
ほか
)
に
何
(
なに
)
が
居
(
ゐ
)
ようも
知
(
し
)
れない
時
(
とき
)
、
其
(
そ
)
の
蔀
(
しとみ
)
を
開
(
あ
)
けるのは。」
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ふと
思出
(
おもひだ
)
したれば、
鄰國
(
りんごく
)
富山
(
とやま
)
にて、
團扇
(
うちは
)
を
賣
(
う
)
る
珍
(
めづら
)
しき
呼聲
(
よびごゑ
)
を、こゝに
記
(
しる
)
す。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
又
(
また
)
思出
(
おもひだ
)
す
事
(
こと
)
がある。
故人
(
こじん
)
谷活東
(
たにくわつとう
)
は、
紅葉先生
(
こうえふせんせい
)
の
晩年
(
ばんねん
)
の
準門葉
(
じゆんもんえふ
)
で、
肺病
(
はいびやう
)
で
胸
(
むね
)
を
疼
(
いた
)
みつゝ、
洒々落々
(
しや/\らく/\
)
とした
江戸
(
えど
)
ツ
兒
(
こ
)
であつた。(かつぎゆく
三味線箱
(
さみせんばこ
)
や
時鳥
(
ほとゝぎす
)
)と
言
(
い
)
ふ
句
(
く
)
を
仲
(
なか
)
の
町
(
ちやう
)
で
血
(
ち
)
とともに
吐
(
は
)
いた。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此方
(
こなた
)
も、
又
(
また
)
墓
(
はか
)
から
草鞋穿
(
わらぢばき
)
で
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たやうな
古
(
ふる
)
い
男
(
をとこ
)
に
逢
(
あ
)
つたので、
忘
(
わす
)
れるともなく
紛
(
まぎ
)
れたが、
祭禮
(
まつり
)
の
太鼓
(
たいこ
)
と
云
(
い
)
ふにつけて、
夢見
(
ゆめみ
)
る
耳
(
みゝ
)
に、
一撥
(
ひとばち
)
、どろ/\と
入
(
はひ
)
つたやうに、
目
(
め
)
覺
(
さ
)
むるばかり
思出
(
おもひだ
)
した。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
とフト
思出
(
おもひだ
)
したやうに
花籠
(
はなかご
)
を、ト
伏目
(
ふしめ
)
で
見
(
み
)
た、
頬
(
ほゝ
)
に
菖蒲
(
あやめ
)
が
影
(
かげ
)
さすばかり。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
で、
見
(
み
)
なくつても、
逢
(
あ
)
はないでも、
忘
(
わす
)
れもせねば
思出
(
おもひだ
)
すまでもなく、
何時
(
いつ
)
も
身
(
み
)
に
着
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
ると
同樣
(
どうやう
)
に、
二個
(
ふたつ
)
、
二人
(
ふたり
)
の
姿
(
すがた
)
も
亦
(
また
)
、十
年
(
ねん
)
見
(
み
)
なからうが、
逢
(
あ
)
はなからうが、そんなに
間
(
あひだ
)
を
隔
(
へだ
)
てたとは
考
(
かんが
)
へない。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
般若湯
(
はんにやたう
)
を
少
(
すこ
)
しばかり、
幸
(
さいは
)
ひ
腥
(
なまぐさ
)
を
口
(
くち
)
にせぬ
場合
(
ばあひ
)
で、
思出
(
おもひだ
)
すに
丁
(
ちやう
)
ど
可
(
い
)
い。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
雪枝
(
ゆきえ
)
は、
思出
(
おもひだ
)
すのも、
口惜
(
くや
)
しさうに
歯噛
(
はが
)
みをした。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
其
(
それ
)
を
思出
(
おもひだ
)
して、……
独
(
ひと
)
りで
笑
(
わら
)
つた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
思出
(
おもひだ
)
したやうに
唐突
(
だしぬけ
)
にいつた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あゝ、
思出
(
おもひだ
)
す。……
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
思出
(
おもひだ
)
す。……
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思
常用漢字
小2
部首:⼼
9画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“思出”で始まる語句
思出草