思出おもいい)” の例文
やがて国許くにもとへ立帰る侍が、大路の棟の鬼瓦をながめて、故郷さとに残いて、月日を過ごいた、女房の顔を思出おもいいで、たえて久しい可懐なつかしさに、あの鬼瓦がその顔に瓜二つじゃと申しての
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
して見ると、「過ぎし日の事思出おもいいでて泣く、」といったりあるいは末節の、「われは此処彼処ここかしこにさまよう落葉おちば」といったのはやはり詩人の Jeux d'esprit(心の遊戯)であったのだ。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
われ思出おもいいづ、くれない黄昏たそがれ