わづ)” の例文
久し振でお目にかかつて何か申たい事は沢山たんとあるやうなれど口へ出ませぬは察して下され、では私は御別れに致します、随分からだをいとふてわづらはぬ様に
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼は、控へ目な、何かに心を奪はれてゐるやうな、何かを思ひわづらつてさへゐるやうな性質の人なのであつた。
主人しゆじんとし送迎そうげいわづらはしいやうことつたが、その態度たいどには何處どこしてくさ/\したところみとめられなかつた。言葉遣ことばづかひ活溌くわつぱつであつた。かほはつや/\してゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一度いちどつてようようで、まだかけたことのない堀切ほりきりへ……いそさふらふほどに、やがてくと、きぞわづらはぬいづれあやめが、はゞかりながらばかりでびてた。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ナニかまはぬ、ゆるすからい。登「しからば御免ごめんを……エヘヽヽういふ事にいたしますか。殿「ウム、骨格こつかくぢやな。登「へい、おかげさまで四十五さいまで一わづらうたことはござりませぬ。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
入つて行つて、これ以上わづらはせるには忍びなかつたのでせう。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
ひさぶりでおにかゝつてなにまをしたいこと澤山たんとあるやうなれどくちませぬはさつしてくだされ、ではわたし御別おわかれにいたします、隨分ずいぶんからだをいとふてわづらはぬやう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つたふるところ怪異くわいいしよおほくは徳育とくいくのために、訓戒くんかいのために、寓意ぐういだんじて、勸懲くわんちやうとなすにぎず。けだをしへのために、鬼神きしんわづらはすものなり人意じんいいづくん鬼神きしん好惡かうをさつむや。
怪談会 序 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
父親てゝおや医者いしやといふのは、頬骨ほゝぼねのとがつたひげへた、見得坊みえばう傲慢がうまん其癖そのくせでもぢや、勿論もちろん田舎ゐなかには苅入かりいれときよくいねはいると、それからわづらう、脂目やにめ赤目あかめ流行目はやりめおほいから
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)