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煩
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はん
ふりがな文庫
“
煩
(
はん
)” の例文
千句を示せとならば千句を示すべし。しかれどもそは
徒
(
いたずら
)
に
煩
(
はん
)
を増すのみ。千句万句
尽
(
ことごと
)
く皆この種の句たることを明言しなば則ち足らん。
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
我々が林中の木を一本一本に叙述するの
煩
(
はん
)
を避けて、自然を
怖
(
おそ
)
れて逃がれんとするがごとくもてなすと、ますます自然に近くなります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
類品
(
るゐひん
)
は
他
(
た
)
より
出
(
い
)
でたれど
此所
(
ここ
)
に
掲
(
か
)
げたるものは武藏荏原郡大森貝塚より出でたるなり。骨器の類は此他種々
有
(
あ
)
れど
煩
(
はん
)
を
厭
(
いと
)
ひて
記
(
しる
)
さず
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
私は其
都度
(
つど
)
形容する
煩
(
はん
)
を避けたが、松村がこの苦心談をしている間の、嬉し相な様というものは、全く
見物
(
みもの
)
であった。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
和服では
裾
(
すそ
)
が寒くて
堪
(
たま
)
らない上に、私のやせぎすは、腹が内側へ
凹
(
へこ
)
んでいるために、日に幾度ともなく、帯を締め直す
煩
(
はん
)
に堪えない事もあるのである。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
▼ もっと見る
そして彼等の反対のもの、即ち表現の才能が有りあまって、しかも詩的霊魂の欠ける詩人は、引例の
煩
(
はん
)
までもなく、吾人の周囲到るところに発見できる。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
皆一気に流動性を持った調べを以て歌いあげている歌であるが、万葉の「なりにけるかも」の例は実に敬服すべきものなので、
煩
(
はん
)
をいとわず書抜いて置いた。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
これに次ぐものはオイルランプなり、これまた
一行人
(
いちこうじん
)
をして、手に
提燈
(
ちょうちん
)
を携ふの
煩
(
はん
)
とわかれしむ。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ルヴェルの作品では、今一々数えあげるの
煩
(
はん
)
を避けるが、一つとしてうれしくないものはない。
ポオとルヴェル
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
したがってその作品にオルガン曲は
夥
(
おびただ
)
しく、神来の名曲も
甚
(
はなは
)
だ少なくないが、ここには
煩
(
はん
)
を避けて、そのレコードされた曲のうち最も代表的なものを掲げるに止めておく。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
わたくしはその
煩
(
はん
)
にたえない。あえてあからさまに過去と現在とを告げて徴求の源をふさぐ。
なかじきり
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
自分も初めての触目だし、おそらくまだ世間にも紹介されたことのない物にちがいないので、
煩
(
はん
)
をいとわず、以下内容を詳述して、いささか、武蔵研究者の資に供そうと思う。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
論争する
煩
(
はん
)
に耐えないことを知り、わが友人の指導するままに左へ曲り、右に曲り、車からおりて人に訊いたうえ、あと戻りをし、というぐあいに
温和
(
おとな
)
しく云うことを聞いた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
作者註。彼女が示した誓約書の内容は話の順序として
茲
(
ここ
)
に紹介する必要があるばかりでなく、この文案を作製した綿貫なる男の性格を想像せしむるに足るから、
煩
(
はん
)
を
厭
(
いと
)
わず原文のままを
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また議論の質を表現するのが目的であるにかかわらず、量的にくどくどと細箇条を説明せねばならぬ。それが私に不得手な事であるのみならず、私自身の表現としては
煩
(
はん
)
と
迂
(
う
)
とに堪えない。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そは恐らく卿等が
卒読
(
そつどく
)
の
煩
(
はん
)
に堪へざる所ならん。されど予はその例証として、今日も猶予が胸底に歴々たる一場の光景を語らざるを得ず。予は当時十六歳の少年にして、明子は
未
(
いまだ
)
十歳の少女なりき。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
長き舌を出して液体を舐むるという動物的の挙動が、これに結び付けられおる諸点は心理遺伝学中、動物心理の遺伝発露に就て研究すべき好参考材料なれども、ここには
煩
(
はん
)
を避けて冗説せざるべし。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
養ひ教ふるの
煩
(
はん
)
に
堪
(
た
)
へざるものなり
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
このゆえに真に
自家証得底
(
じかしょうとくてい
)
の
見解
(
けんげ
)
あるもののために、拘泥の
煩
(
はん
)
を払って、でき得る限り彼らをして第一種の解脱に近づかしむるを道徳と云う。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
リストの作曲はルービンシュタインの所論を
俟
(
ま
)
つまでもなく、きわめて
饒舌
(
じょうぜつ
)
で表面的で、わけてもピアノ曲は技巧重点主義で、
煩
(
はん
)
に堪えざらんとする者は決して少なくない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
論争する
煩
(
はん
)
に耐えないことを知り、わが友人の指導するままに左へ曲り、右に曲り、車からおりて人に訊いたうえ、あと
戻
(
もど
)
りをし、というぐあいに
温和
(
おとな
)
しく云うことを聞いた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
(特に自由詩論に関するものは、多くの人から誤解された。)自分はこれ等の人に対し、一々答解することの
煩
(
はん
)
を避けた。なぜなら本書の出版が、一切を完全に果すことを信じたからだ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
しまいには
煩
(
はん
)
に堪えかねて、門を閉めてしまった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頑固もいいが、立て通すつもりでいるうちに、自分の勉強に障ったり、毎日の業務に
煩
(
はん
)
を及ぼしたり、とどのつまりが骨折り損の
草臥儲
(
くたびれもう
)
けだからね
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妖婆
(
ようば
)
、
按摩
(
あんま
)
、
頓馬
(
とんま
)
に至るまでを使用して国家有用の材に
煩
(
はん
)
を及ぼして
顧
(
かえり
)
みざる以上は——猫にも覚悟がある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さすがの
寺僧
(
じそう
)
もここまでは手が届かぬと見えて、当座は掃除の
煩
(
はん
)
を避けたものか、または
堆
(
うずた
)
かき落葉を興ある者と
眺
(
なが
)
めて、打ち棄てて置くのか。とにかく美しい。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“煩”の意味
《名詞》
(ハン)わずらわしさ。
(出典:Wiktionary)
煩
常用漢字
中学
部首:⽕
13画
“煩”を含む語句
煩悶
煩悩
可煩
煩累
煩瑣
長煩
御煩
子煩悩
煩悩即菩提
恋煩
大煩
煩聒
心煩
思煩
気煩
煩悩熾盛
煩雑
煩惱
煩労
煩悩児
...