“へん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヘン
語句割合
38.7%
20.3%
13.3%
7.7%
4.8%
3.9%
2.4%
1.9%
1.7%
1.5%
1.2%
1.0%
変怪0.2%
奇妙0.2%
異常0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
このへんは鬼怒川水力電気の工事があるので、至る処、鬼のような工夫に逢う。大きな鶴嘴つるはしを手にして大道の上に五人十人休んでいる。
婆さんが云うには、あの鳴き声はただの鳴き声ではない、何でもこの辺にへんがあるに相違ないから用心しなくてはいかんと云うのさ。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かしましき田畑たはた人聲ひとごゑと(あいちやんのつてる)へんじました、——遠方ゑんぱうきこゆる家畜かちくうなごゑは、海龜うみがめ重々おも/\しき歔欷すゝりなきであつたのです。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
此中四個の表面へうめんには額の部に「一の字」形隆まり有り、また兩方りやうはうみみへんより顎の邊へ掛けて「への字」を倒さにしたるかたの隆まりも有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
彼らの読書の種類は『源氏』とか『古今集』とかいう一部の王朝文学にへんし、それに禅門ぜんもん法語類ほうごるいの知識が加わっていた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかしこの理由を以てヨブをへんすることは出来ない。この大なる差異は、キリストを知ると知らぬに基因するのである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
金太郎は路傍の道しるべの石に片足をかけて、自轉車にまたがつたまゝ憩みながら、今ばんたつといふへん事をした。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
先生は同じ言葉を二へん繰り返した。その言葉は森閑しんかんとした昼のうちに異様な調子をもって繰り返された。私は急に何ともこたえられなくなった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三角塔形をした色彩の強烈な糖菓、サンドウィッチが五六へん、それから菓子店に特有な神秘的なボルド酒とシェリ酒の瓶が二本。
このへん飾馬考かざりうまかんがへ』『驊騮全書くわりうぜんしよ』『武器考證ぶきかうしよう』『馬術全書ばじゆつぜんしよ』『鞍鐙之辯くらあぶみのべん』『春日神馬繪圖及解かすがしんばゑづおよびげ』『太平記たいへいきおよ巣林子さうりんし諸作しよさくところおほあへ出所しゆつしよあきらかにす
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
婦人は普通の俗字だも知るはまれにて漢字からもじ雅言がげんを知らず仮名使てにをはだにもわきまへずへんつくりすらこころ得ざるに、ただ言語ことばをのみもて教へてかかするわが苦心はいふべうもあらず。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
これよりして、私は、茶の煮えると言うもの、およそこのへんしるした雀の可愛さをここで話したのである。時々微笑ほほえんでは振向ふりむいて聞く。娘か、若い妻か、あるいはおもいものか。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのころわたくしは、もう幾度いくたび経験けいけんがありますので、さほどにもおもいませんでしたが、はじめて人間にんげん臨終りんじゅう出会であっときは、なんとまァ変怪へんなものかしらんとおどろいてしまいました。
「初めはパイロットかと思つてゐました。でもパイロットが笑ふ筈はない。私は確かに笑ひ聲をきいたのですよ。それも奇妙へんなのを。」
……僕はどうも生れつき異常へんなんです。子供の時から自分は友達と異っているということに気がついていました。時々突然に家を飛びだしてどこかに隠れて独りぼっちになろうとしました。
誰? (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
四季袋しきぶくろ紐短ひもみじかにげたるが、此方こなたを見向ける素顔の色あをく、口のべにさで、やや裏寂うらさびしくも花の咲過ぎたらんやうの蕭衰やつれを帯びたれど、美目のへんたる色香いろか尚濃なほこまやかにして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
愛せらるるの資格を標榜ひょうぼうしてはばからぬものは、いかなる犠牲をも相手にせまる。相手を愛するの資格をそなえざるがためである。へんたる美目びもくに魂を打ち込むものは必ず食われる。小野さんはあやうい。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
駭然がいぜんとして夢かうつつ狐子こしへんせらるるなからむやと思えども、なお勇気をふるいてすすむに、答えし男急にびとめて、いずかたへ行くやと云う。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)