へん)” の例文
新字:
明治十二年めいじじゆうにねんふね横濱よこはまきまして、そのころ出來できてゐました汽車きしや東京とうきよう途中とちゆう汽車きしやまどからそこらへん風景ふうけいながめてをりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
此中四個の表面へうめんには額の部に「一の字」形隆まり有り、また兩方りやうはうみみへんより顎の邊へ掛けて「への字」を倒さにしたるかたの隆まりも有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
そして人買ひとかひからはなれましたのは、へんからは、とほいか、かたちえません、たかやますそにある、田舍ゐなかのお醫師いしやいへでございました。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「然し日本の學者は西洋と違つてみんな貧乏ですから、生活問題と云ふ事が微妙な力で其のへんの處を調和させて行くのです。」
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
召て其方ひそかに彼が旅宿のへんへ參り密々明日の出立の時間じかんを聞合せ參るべしと申付らる近習はやがて上本陣の邊りへ立越便宜びんぎ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うなると昨夜さくやあたゝかな「スープ」や、狐色きつねいろの「フライ」や、蒸氣じようきのホカ/\とつてる「チツキンロース」などが、食道しよくだうへんにむかついてる。
と、ぼく早速さつそく呶鳴どなりはしたものの、口へんには微苦笑びくせうおさへきれぬ始末しまつじつは二人の對局振たいきよくふりを如何にもへうし得てゐるのだ。
むゝ、あの貧人ひんじんから是非ぜひどくもとめうわい。……なんでもへんであった。祭日さいじつゆゑ貧乏店びんばふみせしまってある。……いや、なう/\! 藥種屋やくしゅやはおりゃるか?
大正十二年たいしようじゆうにねん關東大地震かんとうだいぢしんおい熱海港あたみこう兩翼りようよくすなはきた衞戍病院分室えいじゆびよういんぶんしつのあるへんみなみ魚見崎うをみざきおいてはなみたか四五尺しごしやくしかなかつたが、船着場ふなつきばでは十五尺じゆうごしやく
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そのへんは、どつちをいてもふかやまばかりで、ぢいやにでもいてかなければ、とても幼少ちひさ時分じぶんとうさんがひとりでかれるところではありませんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それ何處どこに」と宗助そうすけいたとき、かれ自分じぶんいまとまつてゐる宿屋やどや名前なまへを、宗助そうすけをしへた。それは三條さんでうへんの三流位りうぐらゐいへであつた。宗助そうすけその名前なまへつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おつぎはどうかするとへん雀斑そばかすが一しゆ嬌態しなつくつてあまえたやうなくち利方きゝかたをするのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
どくなれど此處こゝれて眞直まつすぐゆきしゝと小路こみちりぬ、なんこと此路このみち突當つきあたり、ほかまがらんみちえねば、モシおたくはどのへんでと覺束おぼつかなげにとはんとするとき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ツイ今しがた、たまりに居る八五郎から耳打をされました。あのへんは洲崎の金六が繩張りで——」
松並木まつなみききると、いしだたみのだら/\ざかがあつて、へんから兩側りやうがは茶店ちやみせならんでゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うま月毛つきげの、——たし法師髮ほふしがみうまのやうでございました。たけでございますか? たけ四寸よきもございましたか? ——なにしろ沙門しやもんことでございますから、そのへんははつきりぞんじません。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もうつてくれ、無邪氣むぢやきないたづらをして、そのへんをかきみだすのは辛抱しんぼうするが、不潔ふけつなことをするおそれがある、つてもらない、そのまゝ默認もくにんしてゐるうちに、とこに、またたれた。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
... だれいてるものがなかつたので一そう復習ふくしふをするに都合つがふでした)『——さア、大分だいぶ人里ひとざととほはなれた——緯度ゐど經度けいどへんまでてるでせう?』(あいちやんは緯度ゐどなにか、經度けいどなにか、 ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
うして、四へんをきよろ/\見廻みまはしながら。
何卒右へん之處御憐察被成下度奉希候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
あるはかなかからは、木棺内もくかんない死體したいむねのあたりに、まるぎよくつくつたへきといふものや、くちへんからはせみかたちをしたぎよくかざりなどがました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
一體いつたいあのへんには、自動車じどうしやなにかで、美人びじん一日いちにちがけと遊山宿ゆさんやど乃至ないし温泉をんせんのやうなものでもるのか、うか、まだたづねてません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
岩石がんせきつるぎのやうに削立つゝたつて荒磯あらいそへんだのを、兵曹へいそう元氣げんきまかせて引廻ひきまはされたので、ひどつかれてしまつた。
請取うけとりそれより呉服橋へ掛り四日市へと來懸きかゝるに當時そのころは今とちがひ晝も四日市へんさびしく人通ひととほまれなれば清三郎は惡僕わるもの二人ふたりと共に此處に待伏まちぶせなし居たり又七は金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うちにはおいしい玉子たまご御馳走ごちそうしてれるにはとりつてありました。とうさんが裏庭うらにはて、きりしたあたりをあるまはつてますと、そのへんにはにはとりあそんでました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こんな冗談じようだんまじりのはなしを、主人しゆじんはいくらでもつゞけるので、宗助そうすけむをへんまではられてつた。けれどもはらなかけつして主人しゆじんやう太平樂たいへいらくにはかなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかるに第二だいに方面ほうめんおいては、歐洲おうしゆうとくにドイツへん優秀ゆうしゆう學者がくしやおほあらはれ、近年きんねんわがくに此點このてんについてかれ一歩いつぽゆづつてゐたかのかんがあつたが、大正十二年たいしようじゆうにねん關東大地震かんとうだいぢしん以來いらい
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
種々さま/″\いはくのつきし難物なんぶつのよしなれども、もたねばならぬ義理ぎりありてひきうけしにや、それともちゝこのみて申うけしか、そのへんたしかならねど勢力せいりよくおさ/\女房天下にようぼうてんかと申やうな景色けしきなれば
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
にはには子供等こどもら村落むらものがぞろつとたつこのさわぎをわらつてた。そのへんにはむづかしさうなものはひとつもられなかつた。彼等かれらつゝんだやはらかな空氣くうきはる徴候きざしでなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
(に)腰のへんに一段の仕切りを爲して此中に種々しゆ/″\の小模樣を畫きたるもの。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ぐわつすゑであつた。府下ふか澁谷しぶやへんある茶話會さわくわいがあつて、工學士こうがくしせきのぞむのに、わたしさそはれて一日あるひ出向でむいた。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一番いちばんはじめにあるのは、いはゆる『原石器げんせつき』としようするものでありまして、これはちょっとたところでは、そのへんころがつてゐるいし破片はへんすこしもかはらない
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
柳川君やながはくんわたくしすぐ黄乳樹わうにうじゆはやしへんで、はからずも君等きみら急難きふなんをおたすもうしたときから、左樣さうおもつてつたのです。
かこち昨夜ゆうべ四日市よつかいちへんなる三人の若い者此處こゝ妓樓あそびやそれ遊興あがりて夜をふか宿いねるに間もなく夜はしらみたりと若い者に起され今朝けさしもぶつ/\とつぶやきながら妓樓あそびや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とうさんがあそまはつた谷間たにまと、谷間たにまむかふのはやしも、そのへんからよくえました。やまやまかさなりつたむかふのはうには、祖父おぢいさんのきな惠那山ゑなざんが一ばんたかところえました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
地表下ちひようか一二里いちにりあるひふかくて五六里以内ごろくりいないへんらしく想像そう/″\せられる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
みちもんあり、門内もんない兩側りやうがは小松こまつをならべゑて、奧深おくふかすまへるいへなり。主人あるじは、巣鴨すがもへん學校がくかう教授けうじゆにてつたひと
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
スカンヂナビヤへんける湖水こすい氾濫はんらん惹起ひきおこしたものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
まだあひだ氣丈夫きぢやうぶでありました。まちうちですから兩側りやうがはいへつゞいてります。へんみづ綺麗きれいところで、軒下のきした兩側りやうがはを、きよなみつた小川をがはながれてます。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
もしみませぬと、とてみちつうじません、ふりやんでくれさへすれば、雪車そります便宜たよりもあります、御存ごぞんじでもありませうが、へんでは、雪籠ゆきごめといつて、やまなか一夜いちやうち
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
れいの(ほぞんかけたか)をへんでは、(きよきよらツ、きよツ/\)とくらしい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
眞個まつたくですな、いまおはなしのそのへんらしい。……わたしともだちは泥龜すつぽんのおばけどころか、紺蛇目傘こんじやのめをさした女郎ぢよらう幽靈いうれいひました。……おなじくあめで、みづだかみちだかわからなくりましてね。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
以前いぜんは、へん樣子やうすもこんなではかつた。涼風すゞかぜ時分じぶんでも、團扇うちは片手かたてに、手拭てぬぐひげなどして、派手はで浴衣ゆかたが、もつと川上かはかみあたりまで、きしをちらほら徜徉ぶらついたものである。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それを子供こどもたちが目笊めざるせるのが、「摘草つみくさをしたくらゐざる澤山たくさん。」とふのである。三光社さんくわうしや境内けいだいは、へん一寸ちよつと子供こども公園こうゑんつてる。わたしうちからさしわたし二町にちやうばかりはある。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いましがた、永代橋えいたいばしわたつたところで、よしとけて、あの、ひとくるまげて織違おりちがふ、さながら繁昌記はんじやうき眞中まんなかへこぼれてて、あまりそのへんのかはりやうに、ぽかんとしてつたときであつた。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……それも本意ほいなさのひとつであつた。が、あらためて祈念きねんした。やうなわけで、へんであつたらう。見上みあげるやうな入道にふだうが、のろりとしつはひつてた。づんぐりふとつたが、年紀としは六十ばかり。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またか、とむかしの名僧めいそうのやうに、おしかりさへなかつたら、こゝで、番町ばんちやう七不思議なゝふしぎとかとなへて、ひとつにかぞへたいくらゐである。が、なにめづらしがることはない。高臺たかだいだからへんにはないのらしい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
隣屋となりこのへんむねならぶる木屋きや大家たいけで、のきひさし屋根やねうへまで、ひし木材もくざい積揃つみそろへた、眞中まんなかけて、空高そらだか長方形ちやうはうけい透間すきまからおよそ三十でふけようといふみせ片端かたはしえる、木材もくざいかげになつて
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)