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泥龜
新聞記者などが大臣を
誹るを見て「いくら新聞屋が
法螺吹いたとて、大臣は親任官、新聞屋は素寒貧、月と
泥龜程の違ひだ」などゝ
罵り申候。
はげてる
癖に、いやに
臆病だね——
何、
泥龜だつたがね、のさ/\と
岸へ
上つて
來ると、
雨と
一所に、どつと
足もとが
川になつたから、
泳ぐ
形で
獨りでにげたつけ。
夢のやうだ。
眞個ですな、いまお
話のその
邊らしい。……
私の
友だちは
泥龜のお
化どころか、
紺蛇目傘をさした
女郎の
幽靈に
逢ひました。……おなじく
雨の
夜で、
水だか
路だか
分らなく
成りましてね。