“變(へん)” の例文
新字:変
宗助(そうすけ)はもう少(すこ)し一所(いつしよ)に歩(ある)いて、屏風(びやうぶ)の事(こと)を聞(き)きたかつたが、わざ/\回(まは)り路(みち)をするのも變(へん)だと心付(こゝろづ)いて、夫(それ)なり分(わか)れた。分(わか)れる時(とき)
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
喧(かしま)しき田畑(たはた)の人聲(ひとごゑ)と(愛(あい)ちやんの知(し)つてる)變(へん)じました、——遠方(ゑんぱう)に聞(きこ)ゆる家畜(かちく)の唸(うな)り聲(ごゑ)は、海龜(うみがめ)の重々(おも/\)しき歔欷(すゝりなき)であつたのです。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
合點(がてん)行ずと考(かんが)へ居るに又々後(あと)からも女共が來り旦那樣變(へん)な客人で御座ります奧座敷(おくざしき)が明て居ますから御通りなされ御酒にしますか御膳を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此時(このとき)にふと心付(こゝろつ)くと、何者(なにもの)か私(わたくし)の後(うしろ)にこそ/\と尾行(びかう)して來(く)る樣子(やうす)、オヤ變(へん)だと振返(ふりかへ)る、途端(とたん)に其(その)影(かげ)は轉(まろ)ぶが如(ごと)く私(わたくし)の足許(あしもと)へ走(はし)り寄(よ)つた。
或(あるひ)は曰(いは)く——禮服(れいふく)や一千兩(いつせんりやう)を土用干(どようぼし)——此(こ)の大禮服(たいれいふく)は東京(とうきやう)で出來(でき)た。が、帽(ばう)を頂(いたゞ)き、劍(けん)を帶(お)び、手套(てぶくろ)を絞(しぼ)ると、坐(すわ)るのが變(へん)だ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「こりや何うしたもんだ………何うも頭が變(へん)てこりんだぞ。何をびくついてゐるんだ。まア、落着け!………そして篤(とく)と考へて見るんだ。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「それを見て、浮氣で勝手な女だが、お若はさすがに氣が變(へん)になつた。二人の男の爭ひは何んとも言ひやうもないほど凄かつたに違ひない」
この人(ひと)は傑(すぐ)れた才子(さいし)でありましたが形恰好(なりかつこう)が少(すこ)し變(へん)で、丈(せい)は高(たか)く肩(かた)が突(つ)き出(で)て、見苦(みぐる)しかつたので、人々(ひと/″\)が笑(わら)つてゐました。
同時代(どうじだい)に解釋(かいしやく)を下(くだ)されたのである、少(すこ)しく考古趣味(かうこしゆみ)を有(いう)する者(もの)は、變(へん)だなと思(おも)はざるを得(え)ないのであるが、それには又(また)それだけの理由(りゆう)が有(あ)る。
と、お互(たがひ)に微醺(びくん)を帶(お)びて變(へん)に彈(はづ)み立(た)つた氣分(きぶん)で黄包車(ワンポイソオ)を驅(か)り、再(ふたゝ)び四馬路(スマロ)の大通(おほどほり)へ出(で)たのはもう夜(よる)の一時(じ)過(す)ぎだつた。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
徳川家康(とくがはいへやす)と書(か)かずして家康徳川(いへやすとくがは)といい、楠正成(くすのきまさしげ)と書(か)かずして正成楠(まさしげくすのき)といひ、紀貫之(きのつらゆき)と書(か)かずして貫之紀(つらゆきき)といふべきか。これは餘程(よほど)變(へん)なものであらう。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
廉直(れんちよく)の・(五三)邪枉(じやわう)の臣(しん)に容(い)れられざるを悲(かなし)み、(五四)往者得失(わうしやとくしつ)の變(へん)を觀(み)る、故(ゆゑ)に(五五)孤憤(こふん)・五蠧(と)・内外儲(ないぐわいちよ)・説林(せつりん)・説難(ぜいなん)、十餘萬言(よまんげん)を作(つく)る。
一枚一枚に眼を晒(さら)し終つて後(のち)、さてあまりに尋常な周圍を見廻すときのあの變(へん)にそぐはない氣持を、私は以前には好んで味つてゐたものであつた。………
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
疼痛(とうつう)とは疼痛(とうつう)の活(い)きた思想(しさう)である、此(こ)の思想(しさう)を變(へん)ぜしむるが爲(ため)には意旨(いし)の力(ちから)を奮(ふる)ひ、而(しか)して之(これ)を棄(す)てゝ以(もつ)て、訴(うつた)ふる事(こと)を止(や)めよ、然(しか)らば疼痛(とうつう)は消滅(せうめつ)すべし。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
其(そ)の位(くらゐ)だから變(へん)な赤(あか)い顏(かほ)もして餘計(よけい)に不愛想(ぶあいさう)にも見(み)えるのであつたが、後(のち)には相應(さうおう)に時候(じこう)の挨拶(あいさつ)もいへるやうに成(な)つたとお品(しな)は能(よ)く勘次(かんじ)へ語(かた)つたのである。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
斯(か)く獨樂(こま)の舞(ま)ひながら行燈(あんどう)の周圍(まはり)を廻(まは)るは即(すなは)ち地球(ちきう)の公轉(こうてん)と云(い)ふものにて、行燈(あんどう)を一廻(ひとまはり)まはりて本(もと)の塲所(ばしよ)へ歸(かへ)る間(あひだ)に、春夏秋冬(しゆんかしうとう)の時候(じこう)を變(へん)じ、一年を爲(な)すなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
ひよつくり變(へん)てこな夢(ゆめ)なんかを見(み)てね、平常(ふだん)優(やさ)しい事(こと)の一言(ひとこと)も言(い)つて呉(く)れる人(ひと)が母親(おふくろ)や親父(おやぢ)や姉(あね)さんや兄(あに)さんのやうに思(おも)はれて、もう少(すこ)し生(い)きて居(ゐ)やうかしら
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
戰爭(せんさう)が濟(す)むと其(そ)の翌年(よくねん)から再(ふたゝ)び輸入超過(ゆにふてうくわ)に變(へん)じ經濟界(けいざいかい)の状勢(じやうせい)は一變(ぺん)したるに拘(かゝは)らず戰後(せんご)十數年(すうねん)を經(へ)た今日(こんにち)に於(おい)ても更(さら)に改善(かいぜん)の曙光(しよくくわう)を認(みと)むることを得(え)ざる状態(じやうたい)にある。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
五年目(ごねんめ)には田地(でんち)も取返(とりかへ)し、畑(はたけ)は以前(いぜん)より殖(ふ)え、山懷(やまふところ)の荒地(あれち)は美事(みごと)な桑園(さうゑん)と變(へん)じ、村内(そんない)でも屈指(ゆびをり)の有富(いうふう)な百姓(ひやくしやう)と成(な)り終(おは)せたのです。しかも彼(かれ)の勞働辛苦(らうどうしんく)は初(はじめ)と少(すこし)も變(かは)らないのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
抑(おさ)へて之を揚(あ)げ、激(げき)して之を進(すゝ)ましむるは、教の權(けん)にして而て變(へん)なり。教も亦術(じゆつ)多し。
シャクが變(へん)になり始めたのは、去年の春、弟のデックが死んで以來のことである。
狐憑 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
その主題は、幼ひ唄ひ手の爲めに選ばれたものとしては、まつたく變(へん)な氣がした。
療治(れうぢ)の報酬(はうしう)に藥箱(くすりばこ)の進物(しんもつ)といふのは、少(すこ)し變(へん)だが、本道(ほんだう)のほかに外療(げれう)も巧者(かうしや)の玄竹(げんちく)は、若(わか)い者(もの)の怪我(けが)を十針(とはり)ほども縫(ぬ)つて、絲(いと)に絡(から)んだ血腥(ちなまぐさ)いものを、自分(じぶん)の口(くち)で嘗(な)め取(と)るといふやうな苦勞(くらう)までして
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
それ程變(へん)てこに顏が廣くなつてしまつた。
尺の青鬼(あをおに)と變(へん)じ、紅皿(べにさら)の
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『さて此(この)鼠(ねずみ)に何(なに)を話(はな)してやらうかしら?大抵(たいてい)皆(みん)な變(へん)な事(こと)ばかりだが、兎(と)に角(かく)話(はな)しても關(かま)はないだらう』と愛(あい)ちやんが思(おも)ひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
忘(わす)れはせまじ餘り情(なさけ)なき仕方(しかた)なりと利兵衞を恨(うら)みけるが吉三郎は素(もと)より孝心(かうしん)深(ふか)ければ母を慰(なぐさ)め利兵衞殿斯の如く約束(やくそく)を變(へん)じ音信(おとづれ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
皆(みんな)が壓(おさ)へても、震(ふる)へ上(あが)るやうに、寢臺(ねだい)の上(うへ)から、天井(てんじやう)を見(み)て、あれ/\彼處(あすこ)に變(へん)なものが居(ゐ)て、睨(にら)みます、とつて頂戴(ちやうだい)、よう、とつて頂戴(ちやうだい)。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
宗助(そうすけ)は坐(すわ)つて五分(ふん)と立(た)たないうちに、先刻(さつき)の笑聲(わらひごゑ)は、此(この)變(へん)な男(をとこ)と坂井(さかゐ)の家族(かぞく)との間(あひだ)に取(と)り換(か)はされた問答(もんだふ)から出(で)る事(こと)を知(し)つた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此(この)東風(ひがしかぜ)が吹(ふ)いて來(き)た爲(ため)に、吾(わ)が輕氣球(けいきゝゆう)は、忽(たちま)ち進行(しんかう)の方向(ほうかう)を變(へん)じて、今度(こんど)は、陸(りく)の方面(ほうめん)から斜(なゝめ)に、海洋(かいやう)の方(ほう)へと吹(ふ)きやられた。
人類學會(じんるゐがくくわい)の會員(くわいゐん)として、モールス氏(し)のお墨附(すみつき)? を持(も)つて居(ゐ)るのは先(ま)づ僕(ぼく)だけだらうと考(かんが)へて、これを水谷氏(みづたにし)に話(はな)すと、水谷氏(みづたにし)は變(へん)な顏(かほ)をして。
例(たと)へば、印度(いんど)の三眼(め)の明王(めうわう)は變(へん)じて通俗(つうぞく)の三眼(め)入道(にふだう)となり、鳥嘴(てうし)の迦樓羅王(かろらわう)は變(へん)じてお伽噺(とぎばなし)の烏天狗(からすてんぐ)となつた。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
一日(にち)餘處(よそ)へ行(い)つて居(ゐ)た日(ひ)は滅切(めつきり)と少(すくな)くなつて居(ゐ)るのを或(ある)時(とき)ふと發見(はつけん)して少(すこ)し不快(ふくわい)に且(かつ)變(へん)に思(おも)ひつゝあつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
維新(いしん)の變(へん)に彼(か)れは靜岡(しづをか)のお供(とも)、これは東臺(とうだい)の五月雨(さみだれ)にながす血汐(ちしほ)の赤(あか)き心(こヽろ)を首尾(しゆび)よく顯(あら)はして露(つゆ)とや消(き)えし、水(みづ)さかづきして別(わか)れし限(ぎ)りの妻(つま)へ形見(かたみ)が此美人(このびじん)なり
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
全(まつた)くわき眼(め)も振(ふ)らないやうな蜂(はち)の動作(どうさ)は變(へん)に嚴肅(げんしゆく)にさへ見(み)えた。そして、瞬(またた)きもせずに見詰(みつ)めてゐる内(うち)に、夫(をつと)はその一心(しん)さに何(なに)か嫉妬(しつと)に似(に)たやうなものを感(かん)じた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「然う。まア、然うなんだらう、頭(あたま)が變(へん)にフラ/\するし、其に胸(むね)が何うも。」
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
彼(かれ)の發狂者(はつきやうしや)らしい所(ところ)は、始終(しゞゆう)氣(き)の張(は)つた樣子(やうす)と、變(へん)な眼付(めつき)とをするの外(ほか)に、時折(ときをり)、晩(ばん)になると、着(き)てゐる病院服(びやうゐんふく)の前(まへ)を神經的(しんけいてき)に掻合(かきあ)はせると思(おも)ふと、齒(は)の根(ね)も合(あ)はぬまでに全身(ぜんしん)を顫(ふる)はし
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さて、これまでつい少女(をとめ)の名(な)をつけることを忘(わす)れてゐましたが、もう大(おほ)きくなつて名(な)のないのも變(へん)だと氣(き)づいて、いゝ名(な)づけ親(おや)を頼(たの)んで名(な)をつけて貰(もら)ひました。その名(な)は嫋竹(なよたけ)の赫映姫(かぐやひめ)といふのでした。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
天之を生みて、天之を死(ころ)す、一に天に聽(まか)さんのみ、吾れ何ぞ畏れん。吾が性は即ち天なり、躯殼(くかく)は則ち天を藏(おさ)むるの室なり。精氣(せいき)の物と爲るや、天此の室に寓(ぐう)す。遊魂(いうこん)の變(へん)を爲すや、天此の室を離(はな)る。
少し變(へん)だぞ、といふ者がふえて來た。
狐憑 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
『私(わたし)は今(いま)屹度(きつと)罰(ばつ)せられるんだわ、斯(か)うして自分(じぶん)の涙(なみだ)の中(なか)に溺(おぼ)れるなンて—眞箇(ほんと)に奇態(きたい)だわ!けども今日(けふ)は何(なに)も彼(か)も皆(みん)な變(へん)よ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其(そ)の鄰(となり)、其(そ)の鄰(となり)、其(そ)の上(うへ)、其(そ)の下(した)、並(なら)んで、重(かさな)つて、或(あるひ)は青(あを)く、或(あるひ)は赤(あか)く、或(あるひ)は黒(くろ)く、凡(およ)そ臼(うす)ほどの、變(へん)な、可厭(いや)な獸(けもの)が幾(いく)つともなく並(なら)んだ。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
それも下女(げぢよ)が臺所(だいどころ)で働(はた)らいてゐるときは、未(ま)だしもだが、清(きよ)の影(かげ)も音(おと)もしないとなると、猶(なほ)の事(こと)變(へん)に窮屈(きゆうくつ)な感(かん)じが起(おこ)つた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
誰(たれ)でも左樣(さう)だが、戰爭(いくさ)の首途(かどで)とか、旅行(たび)の首途(かどで)に少(すこ)しでも變(へん)な事(こと)があれば、多少(たせう)氣(き)に懸(か)けずには居(を)られぬのである。
見定め變(へん)に應(おう)じて事を計(はか)らはんこそ十全の策(さく)と云べしと理(り)を盡(つく)して申ければ皆一同に此議に同ず道理(もつとも)の事とて評議は此に決定したり然(さら)ば急(いそ)ぎ大坂へ旅館(りよくわん)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
成功(せいこう)した其時(そのとき)の嬉(うれ)しさも思出(おもひい)でるが、併(しか)し多(おほ)くは其時(そのとき)一處(いつしよ)に行(い)つた友(とも)の、死(し)んだのや、遠(とほ)ざかつたのや、いろ/\それを懷出(おもひいだ)して、時々(とき/″\)變(へん)な感情(かんじやう)に打(う)たれもする。
もう一年(ねん)も生(い)きて居(ゐ)たら誰(だ)れか本當(ほんたう)の事(こと)を話(はな)して呉(く)れるかと樂(たの)しんでね、面白(おもしろ)くも無(な)い油引(あぶらひ)きをやつて居(ゐ)るが己(お)れ見(み)たやうな變(へん)な物(もの)が世間(せけん)にも有(あ)るだらうかねえ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「お内儀(かみ)さん變(へん)なこと聞(き)くやうでがすが帶(おび)にする布片(きれ)はどの位(くれえ)有(あ)つたらえゝもんでがせうね」と聞(き)いた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
で、たとへば「思(おも)はぬ大利(たいり)あり」とか「物事(ものごと)に蹉跌(さてつ)あり、西方(せいはう)凶(きやう)」などといふ、考(かんが)へれば馬鹿(ばか)らしい暗示(あんじ)が卓子(テーブル)を圍(かこ)む氣持(きもち)を變(へん)に動(うご)かすこと我(われ)ながらをかしいくらゐだ。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
さなきだに彼(かれ)の憔悴(せうすゐ)した顏(かほ)は不幸(ふかう)なる内心(ないしん)の煩悶(はんもん)と、長日月(ちやうじつげつ)の恐怖(きようふ)とにて、苛責(さいな)まれ※(ぬ)いた心(こゝろ)を、鏡(かゞみ)に寫(うつ)したやうに現(あら)はしてゐるのに。其廣(そのひろ)い骨張(ほねば)つた顏(かほ)の動(うご)きは、如何(いか)にも變(へん)で病的(びやうてき)で有(あ)つて。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)