へり)” の例文
旧字:
そして小さな細かい気泡きほうが、茶碗ちやわんの表面に浮びあがり、やがて周囲のへりに寄り集つた。その時私はまた一つの角砂糖を壺から出した。
田舎の時計他十二篇 (新字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
図248は別の鉢で、この底部には簡単な編みようをしたむしろの形がついている。図249と250はその他の破片で、へりや柄や取手もある。
それも下座敷の穢い室で、畳のへりは擦り切れ、壁に新聞の附録か何かの美人画がはりつけてあって、狭い床の間には古机が一つ横倒しになっています。
或る男の手記 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
日の暮れ方の薄暗がりに小広い処で、ポッポと焚く火は沼のへりゆえ、空へうつりまして炎々えん/\としますから、又作は気をみ巡査は来やしないかと思っていますと
たった一人ひとりで、そんな山奥やまおく瀑壺たきつぼへりくらすことになって、さびしくはなかったかとっしゃるか……。ちっともさびしいだの、気味きみがわるいだのということはございませぬ。
そしてしばらく、真中にかたまり合つて踊りながら、さつと別れて茶碗のへりに吸ひついて行つた。それは丁度、よく訓練された団体遊戯マスゲームが、号令によつて、行動するやうに見えた。
田舎の時計他十二篇 (新字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
れから車を沼のへりまで引き込み、の荷をおろし、二人で差担さしかつぎにして、沼辺ぬまべり泥濘道ぬかるみみちを踏み分け、よしあし茂るかげえまして、車夫は心得て居りますから、枯枝かれえだなどを掻き集め
紙幣を出す時、そのへりが極めて僅かでも裂けていると、文句をいわれる。その結果、裂けた紙幣はごく少ししか流通していない。事実、折目の所がちょっと裂けたのを除いては、皆無である。