ふち)” の例文
旧字:
わしはお前に忠告せねばならぬて。お前は足をつまだてゝ奈落のふちに立つてゐるのぢや。落ちぬやうに注意をしたがよい。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
澄んだ水の流れている岩の多い、渓川たにがわふちを通って、私達は歩いた。こんもりと繁った樹の間には、虎杖いたどり木苺きいちご山独活やまうどが今をさかりと生い立っていた。
「ええ、そうして、あの池のふち亀屋かめやの出店があるでしょう。——ねえ知っていらっしゃるでしょう、小野さん」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
眼のふちには泣きただらしたあとの残っているのが明々地ありありと解る。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)