あた)” の例文
朝晩魚があたらしかつたり、庭先の砂地にかにが出てゐたり、隣家となりの井戸端に海水着が沢山干されてあつたりしてゐると、やはり避暑地の晴々とした安楽を感じる。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
そして、朝のあたらしい、光りに対する歓喜の為めに、無意識に床のなかゝら、つやゝかなゆたかな片腕をさしのべて、枕際の窓のカーテンを引きあげようとした。
咲いてゆく花 (新字新仮名) / 素木しづ(著)
伊豆の温泉と、南国の太陽と、それにあたらしい小魚とが、私の身体に、再び生気を吹き込んでくれたような気がした。その冬は案外元気よく過ごして、しみじみ自然の恵みという言葉を味わった。
ジストマ退治の話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)